お金と暮らしの基礎知識
2023.06.23
生活福祉資金貸付制度とは?審査基準から通るコツまで徹底解説
「生活福祉資金貸付制度の審査は厳しい?」
「生活福祉資金貸付制度のうちどの制度を利用すれば良い?」
本記事では、生活福祉資金貸付制度の概要や審査基準、審査に通るコツをご紹介しています。また、審査に落ちた時の対処法など審査に関する情報を網羅しています。
お読みいただくことで、利用目的に応じた生活福祉資金貸付制度の選び方や審査基準がわかり、安心して申請できるようになりますよ。
今すぐ生活福祉資金貸付制度の審査基準を知りたい方は、以下からご確認ください。
生活福祉資金貸付制度とは生活困窮者が低金利で借りられる制度
- 無利子または低利で借りられる公的支援制度
- 低所得者世帯・高齢者世帯・障害者世帯を対象
- 相談窓口は所属する市区町村の社会福祉協議会
無利子または低利で借りられる公的支援制度
生活福祉資金貸付制度とは、生活困窮者が低金利で借りられる制度のことです。生活の立て直しをを目的としていることから、現在無職の人でも就業の意思があると判断されれば融資を受けられます。
生活福祉資金融資制度の利用では、必ずしも連帯保証人を立てる必要はありません。しかし、連帯保証人の有無で金利が変わるため、なるべく低金利にしたい人は連帯保証人を準備しましょう。
生活福祉資金融資制度の利用において、連帯保証人を立てる場合は無利子で借り入れできますが、連帯保証人を立てない場合は年1.5%の金利が発生します。とはいえ、民間の金融機関からお金を借りる場合と比較すると、年1.5%の金利は非常に低いため連帯保証人なしでも金利負担を抑えられるでしょう。
低所得者世帯・高齢者世帯・障害者世帯を対象
生活福祉資金貸付制度の対象となるのは、低所得者世帯・高齢者世帯・障害者世帯です。それぞれの世帯の概要は以下の通りです。
- 低所得者世帯:必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯
- 障害者世帯:身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者等の属する世帯
- 高齢者世帯:65歳以上の高齢者の属する世帯
上記のいずれかの世帯であれば、生活福祉資金貸付制度の利用対象となるため、費用を検討している場合は窓口に相談に行きましょう。
相談窓口は所属する市区町村の社会福祉協議会
生活福祉資金貸付制度を利用したい場合、まずは相談窓口である市区町村の社会福祉協議会に相談します。担当者に現在の家計状況などを伝え、貸付が必要と判断されると都道府県社会福祉協議会に必要書類を提出し、本審査に入ります。
社会福祉協議会の多くは市役所内に設置されています。ただし、一部の市区町村では市役所から独立して設置されている場合もあるため、お住まいの自治体に確認しましょう。
なお、社会福祉資金融資制度の実施主体は都道府県社会福祉協議会です。そのため、必ず都道府県社会福祉協議会で審査が行われます。
生活福祉資金貸付制度の審査基準7つ
【生活福祉資金貸付制度の審査基準】
- 障害者手帳を交付された家族のいる人
- 65歳以上の高齢者と同居している人
- 住民税非課税の人
- 居住地・住所がある人
- 収入が年金だけの人
- 外国籍の人でも申請可能
1.障害者手帳を交付された家族のいる世帯かどうか
1つ目の審査基準は、障害者手帳を交付された家族のいる世帯かどうかです。なぜなら、障害者手帳を交付された家族のいる世帯であれば、世帯収入の基準を緩和してもらえるからです。
障害者世帯とは、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている家族と同居している世帯のことです。障害者世帯の所得基準は自治体によって異なるため、事前に確認をして基準を満たしているかを確認しましょう。
2.65歳以上の高齢者と同居している世帯かどうか
65歳以上の高齢者と同居している世帯かどうかという審査基準も設けられています。なぜなら、65歳以上の高齢者と一緒に住んでいる世帯は年収の基準が緩和されるからです。
65歳以上の高齢者は、健康であっても正社員として働くことは厳しく、世帯主を金銭的にサポートすることが困難です。そのため、年金収入だけの高齢者世帯はもちろん、働いていても生活が困難な高齢者世帯は生活福祉資金貸付制度に申請できます。
3.住民税非課税の世帯かどうか
住民税非課税の目安は単身世帯で約年収90万円
住民税非課税世帯も生活福祉資金貸付制度の対象です。住民税非課税世帯とは、収入が少ないことによって住民税の納税を免除されている世帯のことです。
住民税非課税の対象となる基準は、世帯人数や自治体によって異なります。例えば、単身世帯であれば年収90万円〜100万円ほどで住民税が免除になるケースがほとんどです。
なお、所得金額とは年収から給与所得控除を差し引いた金額のことであり、給与が住民税非課税の基準となるわけではありません。
住民税非課税世帯の所得基準は市区町村ごとに異なる
住民税非課税世帯の所得基準は、市区町村ごとに異なります。各市区町村の公式ホームページで、住民税非課税世帯の所得基準が確認できるため、お住まいの市区町村のホームページから住民税非課税世帯の所得基準をご確認ください。
一例として、単身世帯の一部市区町村の住民税非課税世帯の所得基準は以下の通りです。
市区町村 | 住民税非課税世帯の所得基準 |
北海道札幌市 | 45万円以下 |
青森県青森市 | 41.5万円以下 |
茨城県常陸大宮市 | 28万円以下 |
東京都港区 | 35万円以下 |
石川県金沢市 | 42万円以下 |
島根県出雲市 | 38万円以下 |
愛媛県松山市 | 41.5万円以下 |
沖縄県那覇市 | 32万円以下 |
4.居住地・住所があるか
居住地や住所があるかも審査基準です。なぜなら、生活福祉資金貸付制度はあくまでも貸付制度であり、返すことが前提の制度だからです。
審査時に提出する書類には住民票も含まれます。居住地や住所がなく住民票が提出できない人は、そもそも生活福祉資金貸付制度に申し込めません。
住居がない人は、住居確保給付金が案内されます。まずは、住居がなくて生活に困窮している人は、まずは住居確保給付金の利用を検討しましょう。
5.収入が年金だけであるか
年金収入のみで生計を立てている人は優遇してもらえます。
生活福祉資金貸付制度は、65歳以上の高齢者世帯も対象です。これは、65歳以上の高齢者になると正社員として雇用してもらえる可能性が低く、世帯主として生計を立てることが困難だからです。
ただし、年金を受け取っていてもパートなどで収入があり、年金と合算した収入が一定以上の金額を超えていると貸付の対象外となります。そのため、確実に生活福祉資金貸付制度を利用する場合は、収入が年金だけである必要があります。
6.返済できると認められるか
制度利用で生活の立て直しができると認められることも審査において重要です。なぜなら、生活福祉資金貸付制度はあくまでもお金を借りる制度であり、返済していかなければならないからです。
制度利用で生活の立て直しができると認められるには、アルバイト・パートでも収入からの返済が可能と判断されることです。また、申込時点で無職であっても働く意思があることが伝われば利用できます。
ただし、アルバイトやパートで世帯所得基準を上回っていると、そもそも生活福祉資金貸付制度を利用できません。アルバイトやパートをしていても、各市区町村が定める世帯所得基準を下回る収入の世帯が制度の対象です。
7.貸付を受けることにより自立が見込まれるかどうか
貸付を受けることにより、自立が見込まれるかどうかという点も審査の項目に含まれます。なぜなら、生活福祉資金貸付制度は自立する意思があることが前提の制度だからです。
現時点で生活に困窮していても、貸付を受けることで生計の立て直しが図れるか、現在は無職でもアルバイトやパートをして自立しようとする意思があるかといった点も確認されます。もし、貸付をしても自立を見込めないと判断された場合は審査に落ちます。
生活福祉資金貸付制度の審査落ちになる10の原因
【生活福祉資金貸付制度の審査落ちになる原因】
- 生活保護を受けている
- 他の公的支援制度を受けている
- 申請した内容に誤りがある
- すでに生活福祉資金貸付制度の連帯保証人である
- ある程度の経済力がある
- 多重債務者である
- 民生委員と相談しない
- 返済不能と判断されるほど収入が低い
- 離職してから2年が経過している
1.住民票の住所に住んでいない
1つ目の原因として、住民票の住所に住んでいないことが挙げられます。住民票の住所に住んでいないことで審査に落ちる理由は、生活福祉資金貸付制度の審査基準の1つに「住居がある人」という項目があるからです。
生活福祉資金貸付制度に申し込む際には、住民票の提出が求められます。審査では、住んでいる場所と住民票の現住所地が一致しているかを確認するため、住民票の住所に住んでいないことが発覚すると審査に落ちます。
2.生活保護を受けている
生活保護を受けている人も審査に落ちます。なぜなら、生活福祉資金貸付制度は生活保護世帯は借りられないからです。
生活保護を受給していても、利用できる国の制度はあります。しかし、生活福祉資金貸付制度は生活保護と並行して受給することは認められていないため、生活保護の受給が発覚すると審査に落ちたり、そもそも審査を受けることはできません。
生活保護を受給しているものの、生活に困窮している人は一時扶助を申請しましょう。
3.他の公的支援制度を受けている
他の公的支援制度を受けていることが発覚すると審査に落ちます。なぜなら、生活福祉資金貸付制度は他の公的融資制度との併用は認められないからです。
例えば、失業して生活に困窮しているため生活福祉資金貸付制度を利用したいと思っていても、失業等給付金を受けている場合は生活福祉資金貸付制度は利用できません。このように、他の公的支援を受けている人は借りられないためご注意ください。
4.申請した内容に誤りがある
申請内容に虚偽があると審査に落ちます。申請内容に虚偽があることで審査に落ちる理由は、信用がなくなるからです。
生活福祉資金貸付制度は貸付制度であるため、審査では信用性が重視されます。信用性が低いと、貸し付けても返済が遅延したりするリスクが高いと判断されてしまうため審査に落ちやすくなります。
意図的に虚偽の申請をすることはもちろん、意図的ではなくても申請内容に誤りがあると審査に落ちやすくなるため、正確な申請内容をご提出ください。
5.すでに生活福祉資金貸付制度の連帯保証人である
すでに生活福祉資金貸付制度の連帯保証人になっている人は利用対象外です。なぜなら、連帯保証人になっているということは実質借金をしていることと同じだからです。
また、生活福祉資金貸付制度に限らず他人の借金の連帯保証人になっている人も貸付の対象外となります。連帯保証人になっている、つまりすでに借金をしている人は、返済能力が低いと判断されるため貸付の対象外となります。
6.ある程度の経済力がある
ある程度の経済力がある人も審査に落ちます。なぜなら、生活福祉資金貸付制度には利用のための収入基準があるからです。
生活福祉資金貸付制度は、貸付制度であることからある程度の返済能力は求められます。しかし、あくまでも生活に困窮している人を対象としているため、一定の収入がある人は利用できません。ある程度の経済力がある人は、民間の金融機関の利用を勧められます。
ある程度の収入はあるものの生活に困窮している場合、まずは相談に行くと生活福祉資金貸付制度を利用できるのか、民間の金融機関を利用しなければならないのかが明確にできるでしょう。
7.多重債務者である
多重債務者であることが発覚すると審査に落ちます。なぜなら、多重債務者は返済能力がないと判断されるからです。
多重債務者とは、他の消費者金融やカードローンなどで借り入れを繰り返している人のことを指します。借り入れを繰り返していると、それだけお金に困っていると判断され、返済能力がないと見なされます。
生活福祉資金貸付制度は、生活の立て直しを目的に貸し付ける制度です。多重債務者に関しては、過剰融資になりさらに生活が困窮するリスクがあると判断されるため審査に落ちます。
8.民生委員と相談しない
民生委員と相談しない人も審査に落ちます。なぜなら、生活福祉資金貸付制度は税金を元に借りているからです。
生活福祉資金貸付制度を利用したいと考えた場合、まずは民生委員に相談して貸し付ける必要があるかどうかを判断します。この際、生活状況や家計について確認が必要となり、正確な情報を伝える必要があります。
借り入れ後は民生委員と定期的に面談をし、家計の立て直しができているかを確認していく必要がありますが、借り入れ前も民生委員との面談が必要です。民生委員との相談を拒否したり、積極的に協力しない人は利用できません。
9.返済不能と判断されるほど収入が低い
返済不能と判断されるほど収入が低い人も審査に落ちます。なぜなら、生活福祉資金貸付制度は借金だからです。
生活福祉資金貸付制度の審査では、貸倒れリスクがないかを判断しています。収入が若干あっても償還期限内に返済できないと判断される程度の収入では、借り入れすることはできません。
生活福祉資金貸付制度はあくまでも貸付制度、つまり借金であり、返済能力がない人は融資を受けることはできません。
10.離職してから2年が経過している
離職してから2年が経過している場合も審査に落ちやすいです。なぜなら、離職してから時間が空き過ぎていると働く意思がないと思われてしまうからです。
離職の理由は様々ですが、あまりに離職してから期間が空いていると、働こうとしても病気や怪我などの事情で働けない、または働く意思がない人と判断されます。生活福祉資金貸付制度は生活の立て直しを目的とした貸付制度のため、働く意思がない人は制度利用の対象外です。
経済的に困窮しており、貸し付けによって自立を目指せる状況ではないと判断されると審査に落ちます。
生活福祉資金貸付制度の審査に通りやすくする3つのコツ
【生活福祉資金貸付制度の審査に通りやすくするコツ】
- 収入の減少は一時的であることを説明する
- どれくらいの金額が必要かまとめた書類を提示する
- 今は無職でも就職を希望している意思を示す
1.収入の減少は一時的であることを説明する
1つ目のコツは、収入の減少は一時的であることを説明することです。なぜなら、収入が減少していると返済能力が低いと判断されて審査に落ちやすくなるからです。
生活福祉資金貸付制度は、生活の立て直しを目的とした貸付制度で、一時的に収入が減少した世帯を対象としています。日常的に収入が少ない世帯は対象外であることから、収入の減少が日常的であると判断されると審査に落ちます。
そのため、日常的ではなく一時的な収入の減少によって生活が苦しい旨を伝えることで、生活を立て直す余地があると判断されて審査に通りやすくなるのです。
2.どれくらいの金額が必要かまとめた書類を提示する
どれくらいの金額が必要かまとめた書類を提示することも、審査に通りやすくなるコツです。なぜなら、必要とする金額をわかりやすく説明できる書類があると、借りたお金を不正利用する可能性がなくなるからです。
生活福祉資金貸付制度に限らず、貸付の審査では信頼性が非常に大切です。そのため、不正利用しないという意思を示すことで信頼性が高くなり、審査に通りやすくなります。
必要書類を提出する際は、必要書類以外に見積書や積算書などの必要金額がわかる書類も提出することが重要です。
3.今は無職でも就職を希望している意思を示す
現在は無職でも就業を希望しているという意思を示すことも審査に通るコツの1つです。なぜなら、生活福祉資金貸付制度は無職で収入がない人でも、就労するための努力をすれば借り入れ可能だからです。
無職の人でも就職を希望する意思を示せば借り入れできるのは、生活福祉資金貸付制度が生活の立て直しを目的としているからです。就業して自立するという意思があることがわかれば、就業するまでの期間や給与が入るまでの期間の生活をサポートするために貸付してくれます。
生活福祉資金貸付制度の審査は最短2週間
生活福祉資金貸付制度の融資までにかかる時間は、最短でも2週間〜1ヶ月程度です。
生活福祉資金貸付制度を利用したいと思った場合、すぐに申し込みができるわけではなく、まずは担当者に相談しなければなりません。担当者が現在の状況を聞いて生活福祉資金貸付制度の利用が必要と判断してから、申し込み手続きが始まります。また、書類を提出してもさらに都道府県社会福祉協議会に提出し、都道府県社会福祉協議会で審査が行われるなど、多くの手順を踏まなければならないのです。
融資までに時間がかかり、実際にお金が借りられるまでの期間の生活が苦しい場合は緊急小口資金を利用できます。緊急小口資金は最短7日で借り入れできるため、生活福祉資金貸付制度を利用できるようになるまでの繋ぎとして活用可能です。
最短7日で借りられる緊急小口資金でも生活がままならない場合は、即日融資が可能な消費者金融のカードローンや既にお持ちのクレジットカードのキャッシングを利用するなど、他のお金を借りる方法を検討しましょう。
生活福祉資金貸付制度の審査に落ちたときの8つの対策
【生活福祉資金貸付制度の審査に落ちたときの対策】
- 借りていた借金を返済する
- 自立相談支援事業を利用する
- 世帯の収入・資産の状況を詳細に伝える
- 資金の使い道を審査が通りやすいものに設定する
- 住居がない人は生活困窮者住居確保給付金を申請する
- 障害年金か生活福祉資金かを選択する
- 首都圏の人は生活サポート基金に相談する
- 再申請しても借り入れできない場合は民間金融機関を検討する
1.借りていた借金を返済する
1つ目の対策は、借りていた借金を返済することです。なぜなら、借り入れ残高が多いと融資が不承認になるからです。借り入れ残高が多いと、お金に切羽詰まっているため返済能力がないと判断されて審査に落ちます。
生活福祉資金貸付制度はあくまでも貸付制度であるため、借り入れ残高が多い状況で借り入れをするとさらに借金の負担が大きくなり、生活の立て直しが困難になります。そのため、借りていた借金を返済することで審査に通りやすくなります。
2.自立相談支援事業を利用する
自立相談支援事業を利用するという対処法もあります。
自立相談支援事業とは、生活困窮者の生活の立て直しを支援する福祉事業のことです。各市区町村に自立相談支援機関が設置されており、自立支援機関を窓口として生活の立て直しに関する相談ができます。
自立相談支援事業の利用を断ることで審査に落ちる理由は、2015年の生活困窮者自立支援法の改正時に、低所得世帯が生活福祉資金貸付制度を利用する場合は、自立相談支援事業との連携が必須と定められたからです。つまり、法律で自立相談支援事業の利用が定められているため、利用を断ると確実に審査に落ちます。
3.世帯の収入・資産の状況を詳細に伝える
世帯の収入や資産の状況を詳細に伝えることも対策の1つです。なぜなら、源泉徴収票や通帳の提出は生活が困窮しているという証拠になるからです。
世帯の収入や資産の状況を詳細に伝える手段として、源泉徴収票や通帳などの提出が最も有効ですが、どうしても提出が難しい場合は離職票や退職事例、所得税の確定申告書などで代用できます。世帯の収入や資産状況を詳細に伝えて、本当に生活に困窮しているということを伝えましょう。
4.資金の使い道を審査が通りやすいものに設定する
資金の使い道を審査が通りやすいものに設定するという対策もあります。なぜなら、生活福祉資金貸付制度は資金の使い道が決まっているからです。
審査が通りやすい資金の使い道としては、生活資金や職業訓練施設の資金などがあります。ギャンブルや交遊費には利用できないため、資金の使い道に設定することは避けましょう。
生活福祉資金貸付制度を受けたい場合、担当者は必ず資金の使い道を確認します。この際、生活福祉資金貸付制度が利用できる資金の使い道を設定しましょう。
5.住居がない人は生活困窮者住居確保給付金を申請する
住居がない人は、生活困窮者住居確保給付金を申請しましょう。なぜなら、住居がない人は生活福祉資金貸付制度を利用できないからです。
生活福祉資金貸付制度では、住民票を提出する必要があったり、審査時に住民票に記載の住所に実際に住んでいるかどうかの確認が行われます。そのため、住居がないことを隠すことはできず、審査に落ちてしまいます。
住居がない人は、生活福祉資金貸付制度ではなく住居の確保への利用を目的とした生活困窮者住居確保給付金を申請しましょう。生活困窮者住居確保給付金はハローワークで申請でき、120万円以上借りられることもあります。
6.障害年金か生活福祉資金かを選択する
障害年金か生活福祉資金かを選択することも対策になります。なぜなら、生活福祉資金貸付制度と障害年金は併用できないからです。
障害年金を受け取っており、今後も継続して受け取りたい場合は生活福祉資金貸付制度は利用できません。障害年金だけでは生活がままならない場合は、福祉資金や不動産担保型生活資金といった障害年金と併用できる他の融資制度の利用を検討しましょう。
7.首都圏の人は生活サポート基金に相談する
首都圏にお住まいの人は、生活サポート基金に相談してみましょう。
生活サポート基金とは、首都圏を中心に借金返済や生活再生に関する相談を受けている一般社団法人のことです。生活サポート基金の対象となる地域は、東京都と神奈川県・埼玉県・千葉県にお住まいの人です。生活サポート基金に相談すれば、家計に合わせた収支バランスの見直しを提案してもらえたり、ローンの返済プランを親身になってサポートしてもらえます。
首都圏に住んでいる人限定の対策方法にはなりますが、生活福祉資金貸付制度だけではなく生活サポート基金の利用もおすすめです。
8.再申請しても借り入れできない場合は民間金融機関を検討する
上記の対策をして再申請しても借り入れできない場合は、民間金融機関の利用を検討するのも1つの手です。なぜなら、生活福祉資金貸付制度が利用できなくても民間金融機関であれば審査に通る可能性があるからです。
特に、一定の収入がある人は民間の金融機関を勧められます。この際、無理に生活福祉資金貸付制度に申し込んでも審査に落ちる可能性が高いため、民間金融機関の利用を検討した方が良いでしょう。
生活福祉資金貸付制度は用途別に4種類ある
- 総合支援資金
- 福祉資金
- 教育支援資金
- 不動産担保型生活資金
1.総合支援資金|生活を立て直すために借りられる資金
総合支援資金とは、失業中の人や低所得の世帯など生活を送ることが経済的に難しい場合に、生活を立て直すことを目的に利用できるお金のことです。貸付の対象となるのは低所得者世帯、かつ公的な書類などで本人確認が可能であることです。
総合支援資金は、利用用途に応じてさらに生活支援費・住宅入居費・一時生活再建費の3つに分けられます。それぞれ用途や限度額が異なるため、利用目的に合った費用を借りる必要があります。
生活支援費は生活を再建するための資金
生活支援費の基本情報 | |
貸付限度額 | 単身世帯は月15万円以内、2人以上の世帯月20万円以内 |
保証人 | 不要(ただし連帯保証人がいれば金利が下がる) |
金利 | 連帯保証人ありは無利子、連帯保証人なしは年1.5% |
措置期間 | 6ヶ月 |
償還期限 | 据置期間経過後10年以内 |
生活支援費とは、生活が立て直すまでの生活費に使えるお金のことです。生活支援費であれば、生活費として毎月15〜20万円の借り入れが可能であるため、低所得者でも生活しやすくなるでしょう。
借り入れ期間は原則3ヶ月間であるため、3ヶ月以内に仕事先を見つけたり生活を立て直す必要があります。その他の要件は以下の通りです。
貸付条件:以下の全ての要件に該当していること | |
1 | 低所得者 |
2 | 公的な書類で本人確認ができる |
3 | 住居を有する |
4 | 継続的な支援を受けることに同意している |
5 | 返済が見込める |
6 | 公的給付または公的な貸付を受けられず生活費を賄えない |
7 | 暴力団員ではない |
住宅入居費は敷金・礼金等賃貸住宅契約のための資金
住宅入居費の基本情報 | |
貸付限度額 | 40万円 |
保証人 | 不要(ただし連帯保証人がいれば金利が下がる) |
金利 | 連帯保証人ありは無利子、連帯保証人なしは年1.5% |
措置期間 | 6ヶ月 |
償還期限 | 据置期間経過後10年以内 |
住宅入居費とは、住居を確保するために必要なお金のことです。敷金や礼金等賃貸住宅契約のための資金として使うことができ、賃貸契約で必要な費用を40万円まで借りられます。
住宅入居費の要件は以下の通りです。
貸付条件:以下の全ての要件に該当していること | |
1 | 低所得者 |
2 | 公的な書類で本人確認ができる |
3 | 住居を有するまたは貸付によって住居の確保が見込める |
4 | 継続的な支援を受けることに同意している |
5 | 返済が見込める |
6 | 公的給付または公的な貸付を受けられず生活費を賄えない |
7 | 暴力団員ではない |
一時生活再建費は公共料金・債務整理等の一時的に必要な資金
一時生活再建費の基本情報 | |
貸付限度額 | 60万円 |
保証人 | 不要(ただし連帯保証人がいれば金利が下がる) |
金利 | 連帯保証人ありは無利子、連帯保証人なしは年1.5% |
措置期間 | 6ヶ月 |
償還期限 | 据置期間経過後10年以内 |
一時生活再建費とは、公共料金の支払いや債務整理に必要な費用などに対して一時的に貸付を行ってもらえるサービスのことです。具体的な使用用途としては、就職や転職を前提とした技能習得費用、滞納している公共料金やローンの立て替え費用、債務整理をするために必要な経費などの費用などが挙げられます。
一時生活再建費の要件は以下の通りです。
貸付条件:以下の全ての要件に該当していること | |
1 | 低所得者 |
2 | 公的な書類で本人確認ができる |
3 | 住居を有するまたは貸付によって住居の確保が見込める |
4 | 継続的な支援を受けることに同意している |
5 | 返済が見込める |
6 | 公的給付または公的な貸付を受けられず生活費を賄えない |
7 | 暴力団員ではない |
2.福祉資金|主に医療や介護を受けるための資金
福祉資金は、主に医療や介護を受けるための資金を貸し付ける制度とされていますが、広い使用目的が認められているため、自分の世帯が何の資金の貸し付けを受けられるのか分からない場合は、とりあえず福祉資金の申し込みをするのがおすすめです。
長期の利用・返済ができる福祉費、他の融資を受けるまでの短期間のつなぎ用途で貸し付けられる緊急小口資金の2つに分かれます。
- 福祉費
- 緊急小口資金
用途が多種、上限額も高い福祉費
福祉費とは、生活福祉資金貸付制度の中でも利用用途が幅広く、資金の用途に応じて上限額が決まります。例えば、主な利用目的は福祉用具や介護サービスに必要な費用などですが、個人事業主が事業を維持するための資金としても利用可能です。福祉費全体の限度額は最大580万円です。
それぞれの資金の概要は以下の通りです。
貸付限度額 | 保証人 | 金利 | 据置期間 | 償還期限 | |
生業を営むための費用 | 460万円 | 不要 | ・連帯保証人あり:無利子 ・連帯保証人なし:年1.5% | 6ヶ月 | 据置期間経過後20年以内 |
住宅の増改築や補修、公営住宅の譲り受けに必要な経費 | 250万円 | 不要 | ・連帯保証人あり:無利子 ・連帯保証人なし:年1.5% | 6ヶ月 | 据置期間経過後20年以内 |
障害者用の自動車購入費用 | 170万円 | 不要 | ・連帯保証人あり:無利子 ・連帯保証人なし:年1.5% | 6ヶ月 | 据置期間経過後20年以内 |
負傷または疾病の療養に必要な経費またはその期間中の生計維持費 | 230万円 | 不要 | ・連帯保証人あり:無利子 ・連帯保証人なし:年1.5% | 6ヶ月 | 据置期間経過後20年以内 |
介護または障害者サービスの利用費またはその期間中の生計維持費 | 230万円 | 不要 | ・連帯保証人あり:無利子 ・連帯保証人なし:年1.5% | 6ヶ月 | 据置期間経過後20年以内 |
冠婚葬祭に必要な資金 | 50万円 | 不要 | ・連帯保証人あり:無利子 ・連帯保証人なし:年1.5% | 6ヶ月 | 据置期間経過後20年以内 |
災害発生で必要な資金 | 150万円 | 不要 | ・連帯保証人あり:無利子 ・連帯保証人なし:年1.5% | 6ヶ月 | 据置期間経過後20年以内 |
住居の移転または給排水設備の設置に必要な経費 | 50万円 | 不要 | ・連帯保証人あり:無利子 ・連帯保証人なし:年1.5% | 6ヶ月 | 据置期間経過後20年以内 |
技能習得に必要な経費またはその期間中の生計維持費 | 580万円 | 不要 | ・連帯保証人あり:無利子 ・連帯保証人なし:年1.5% | 6ヶ月 | 据置期間経過後20年以内 |
転職などで必要な経費 | 50万円 | 不要 | ・連帯保証人あり:無利子 ・連帯保証人なし:年1.5% | 6ヶ月 | 据置期間経過後20年以内 |
その他日常生活で必要な経費 | 50万円 | 不要 | ・連帯保証人あり:無利子 ・連帯保証人なし:年1.5% | 6ヶ月 | 据置期間経過後20年以内 |
無利子で連帯保証人不要で最短7日で借りられる「緊急小口資金」
緊急小口資金は、他の資金の融資が受けられるまでの生活に使えるお金のことです。緊急小口資金は最短1週間で10万円まで借りられるのが特徴で、つなぎの資金として借りられます。
緊急小口資金の概要は以下の通りです。
緊急小口資金の基本情報 | |
貸付条件 | 低所得世帯/障害者世帯/高齢者世帯 |
貸付限度額 | 10万円 |
保証人 | 不要 |
金利 | 無利子 |
措置期間 | 2ヶ月 |
償還期限 | 据置期間経過後最長12ヶ月以内 |
3.教育支援資金|子供の進学、就学のための資金
教育支援費は学費の捻出が難しい低所得者世帯を対象に、無利子で資金を貸し付ける制度です。資金の利用目的によって、教育支援費と就学支度費の2種類に分かれます。
- 教育支援費
- 就学支度費
教育支援費は子供の授業料などに使える資金
教育支援費とは、子どもの授業料など教育のために使える資金です。授業料だけでなく、設備費や修学旅行の費用、通学の定期代などに使うことも認められています。
教育支援費の概要は以下の通りです。
教育支援費の基本情報 | |
貸付条件 | 低所得世帯(生計の維持はできているものの、学費の支払いのための貸付が必要な世帯に限る) |
貸付限度額 | 高校:月3.5万円以内高専:月6万円以内短大:月6万円以内大学:月6.5万円以内 |
保証人 | 不要 |
金利 | 無利子 |
措置期間 | 卒業後6ヶ月 |
償還期限 | 卒業後の据置期間終了後最長20年以内 |
就学支度費は子供が入学の際に必要な資金
就学支度費とは、子どもの就学のために必要なお金のことです。入学金、制服、靴などの購入代、通学用自転車の購入代、初年度6ヶ月分の通学費などに使えます。
就学支度費の要件は以下の通りです。
就学支度費の基本情報 | |
貸付条件 | 低所得世帯(生計の維持はできているものの、学費の支払いのための貸付が必要な世帯に限る) |
貸付限度額 | 50万円 |
保証人 | 不要 |
金利 | 無利子 |
措置期間 | 卒業後6ヶ月 |
償還期限 | 卒業後の据置期間終了後最長20年以内 |
4.不動産担保型生活資金
不動産担保型生活資金は、持ち家を担保として生活資金を借り入れる制度です。不動産を所持している高齢者世帯向けの制度が不動産担保型生活資金で、さらに不動産を所持している高齢者世帯の中でも、生活保護の需給が必要と認められた低所得世帯向けの制度が要保護世帯向け不動産担保型生活資金です。
- 不動産担保型生活資金
- 要保護世帯向け不動産担保型生活資金
不動産担保型生活資金は持ち家を担保に借りられる資金
不動産担保型生活資金は、所有している不動産を担保にして生活資金の支援を受ける制度のことです。不動産を保有している高齢者世帯を貸付対象としています。
不動産担保型生活資金の要件は以下の通りです。
不動産担保型生活資金の基本情報 | |
貸付条件 | 不動産を有する高齢者世帯 |
貸付限度額 | 不動産評価額の70%程度(不動産評価額は1,000万円〜1,500万円以上) |
保証人 | 不要 |
金利 | 年3.0%または長期プライムレートのいずれか低い利率 |
措置期間 | 契約終了後3ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期間終了時 |
要保護世帯向け不動産担保型生活資金は生活保護対象の資金
要保護世帯向け不動産担保型生活資金は、生活保護を受給している高齢者世帯が、不動産を担保にして生活資金を借りる制度のことです。生活保護を受給していて、低所得かつ不動産がある高齢者向けの制度と言えるでしょう。
要保護世帯向け不動産担保型生活資金の要件は以下の通りです。
要保護世帯向け不動産担保型生活資金の基本情報 | |
貸付条件 | 生活保護を受給していて不動産を有する高齢者世帯 |
貸付限度額 | 不動産評価額の70%程度(不動産評価額は500万円以上が条件) |
保証人 | 不要 |
金利 | 年3.0%または長期プライムレートのいずれか低い利率 |
措置期間 | 契約終了後3ヶ月以内 |
償還期限 | 据置期間終了時 |
生活福祉資金貸付制度のメリット4つ
【生活福祉資金貸付制度のメリット】
- 無利子、低利子で借りられる
- 返済期間が最長20年で無理なく返済できる
- 連帯保証人なしでも借りられる
- 民間の金融機関に断られても借りられる
1.無利子、低利子で借りられる
生活福祉資金貸付制度には、無利子または低利子で借りられるというメリットがあります。生活福祉資金貸付制度が無利子または低利子で借りられる理由は、生活苦を救済するための制度だからです。
民間の金融機関からお金を借りる場合、無利子でお金を借りられるものはありません。また、民間の金融機関の中でも特に低金利である銀行のカードローンでも1.5〜15.0%前後が一般的であることから、利子があっても1.5%程度で借りられる生活福祉資金貸付制度は低利子であることがわかります。
2.返済期間が最長20年で無理なく返済できる
返済期間が最長20年と長く、無理なく返済できるというメリットもあります。
生活福祉資金貸付制度には複数の種類がありますが、それぞれの返済期間は以下の通りです。
- 総合支援資金:据置期間(6ヶ月)経過後10年以内
- 福祉費:据置期間(6ヶ月)経過後20年以内
- 教育支援費:卒業後の据置期間(6ヶ月)終了後最長20年以内
- 不動産担保型生活資金:据置期間(契約終了後3ヶ月)終了時
3.連帯保証人なしでも借りられる
連帯保証人なしでも借りられるというメリットもあります。
生活福祉資金貸付制度は、連帯保証人の有無で金利が変わりますが、必ずしも連帯保証人が必要という規定はありません。そのため、連帯保証人が立てられないという人でも利用できます。
また、連帯保証人を立てると無利子ですが、連帯保証人を立てないと1.5%の金利が発生します。金利が発生するとはいえ、1.5%と低金利で借り入れ可能です。
4.民間の金融機関に断られても借りられる
民間の金融機関に断られても借りられるという点もメリットです。
例えば、民間の金融機関は低所得者や年金受給者、高齢者は利用できません。なぜなら、低所得者や高齢者、年金受給者は返済リスクが低く、貸倒れリスクがあると判断されるからです。しかし、生活福祉資金融資貸付制度は生活に困窮している人を対象にした貸付制度です。そのため、民間の金融機関では断られる低所得者や高齢者、年金受給者も要件を満たせば利用できます。
民間の金融機関の審査に落ちた場合は、生活福祉資金貸付制度を利用できないか相談してみると良いでしょう。
生活福祉資金貸付制度のデメリット2つ
【生活福祉資金貸付制度のデメリット】
- 審査に時間がかかるので急ぎの対応ができない
- 連帯保証人へ相談が必要
1.審査に時間がかかるので即日借り入れができない
生活福祉資金貸付制度には、即日借り入れできないというデメリットがあります。生活福祉資金貸付制度が即日で借り入れできない理由は、審査に時間がかかるからです。
生活福祉資金貸付制度では、相談するとすぐに申し込めるわけではなく、家計の現状を伝えて担当者が利用の可否を判断し、必要書類を提出して都道府県社会福祉協議会が審査をする、という多くの手順を踏まなければなりません。そのため、審査に時間がかかって借り入れまでに最低1週間はかかります。
民間の金融機関であれば即日で借り入れできる場合もあるため、とにかく早くお金が必要という場合は即日融資に対応している民間の金融機関を利用した方が良いでしょう。
2.連帯保証人へ相談が必要
連帯保証人に相談が必要という点もデメリットです。
生活福祉資金貸付制度は、必ずしも連帯保証人を立てる必要はありません。しかし、連帯保証人を立てると無利子で借り入れできるため、なるべく連帯保証人を立てたいという人もいるでしょう。
しかし、連帯保証人に相談すると生活が困窮していることがバレてしまいます。生活に困窮していることを周りに知られたくない場合は、連帯保証人を立てない代わりに利子が発生します。
生活福祉資金貸付制度の手続、必要書類について
手続の前に社会福祉協議会で相談する
生活福祉資金貸付制度を利用したいと思ったら、まずは各市区町村に設置されている社会福祉協議会にて相談をします。どのような目的でお金が必要なのか、どの程度生活が困窮しているのかなどを伝えましょう。
担当者は、生活状況から生活福祉資金貸付制度の利用が必要かを判断し、必要と判断した場合は利用目的からどの制度が最適かを提案してくれます。
福祉費、教育支援資金、不動産担保型生活資金であれば、そのまま社会福祉協議会で手続きできます。しかし、総合支援資金と緊急小口資金は自立相談支援機関の利用が必須であることから、自立相談支援機関にも相談に行かなければなりません。
必要書類は資金によって異なるので事前に確認する
生活福祉資金貸付制度を利用することが決まれば、必要書類を提出します。必要書類は資金によって異なるため、担当者が指示する書類をご準備ください。融資までの時間を少しでも短くしたい場合は、手続きをスムーズに進めるために必要書類を事前に準備しておくとよいでしょう。
なお、どの資金を利用する場合でも家計の収入がわかる書類や、生活困窮に陥った理由がわかる書類の提出は必ず求められます。家計の収入がわかる書類とは給与明細、源泉徴収票、通帳の写しなどの書類、生活困窮者に陥った理由がわかる書類とは離職票などです。また、住民票などの世帯状況がわかる書類も求められるため、共通して必要な書類は事前に準備しておくことをおすすめします。
総合支援資金や緊急小口資金は自立相談支援機関に相談する
総合支援資金や緊急小口資金の申請は、社会福祉協議会だけではなく自立相談支援事業にも相談しなければなりません。総合支援資金や緊急小口資金の手続きを進めることになった場合は、各市区町村に設置されている自立相談支援事業に相談に行きましょう。相談に行くと、自立相談支援機関で仕事を探すための支援を受けることもでき、生活の立て直しがしやすくなります。
また、総合支援資金は自立に向けた計画書や収入減少を証明できる書類が必要です。自立相談支援事業に相談するタイミングで、合わせて必要書類の準備も進めましょう。
福祉資金は使用目的を示す書類を事前に用意する
福祉資金は、使用目的を示す書類の提出も必要です。なぜなら、福祉資金は資金の用途の幅が広いからです。
福祉資金を借りることになった場合は、他の必要書類と共に資金使途がわかる見積書やパンフレットも提出しましょう。
緊急小口資金は収入が減少したことがわかる書類が必要
緊急小口資金を利用する場合は、収入が減少したことがわかる書類などを求められます。収入が減少した書類の一例としては、以下のような書類が挙げられます。
- 離職票
- 源泉徴収票
- 給与明細
- 通帳の写し など
収入が減少して目の前の生活もままならないということを証明しましょう。
教育支援資金は入学したことがわかる書類が必要
教育支援資金は、合格通知書や入学金が確認できる書類を求められます。なぜなら、教育支援資金は就学や教育に関する費用を支援する制度だからです。
どの学校に入学し、どの程度の資金が必要なのかを明確に示しましょう。
不動産担保型生活資金は登記簿や公図を準備する
不動産担保型生活資金を利用する場合は、登記簿謄本や公図を用意する必要があります。なぜなら、不動産担保型生活資金は不動産を担保にする貸付制度だからです。
担保にする不動産について、登記簿謄本や公図を提出して不動産の価値を示しましょう。
生活福祉資金の貸付制度に申し込む流れ
生活福祉資金貸付制度を利用する場合、申込の流れは以下の通りです。
- 社会福祉協議会へ相談の申込みを行う
- 必要に応じて自立支援相談事業に相談に行く
- 市区町村の社会福祉協議会へ申請書類等を提出する
- 都道府県社会福祉協議会から審査結果が通知される
- 貸付決定通知書が届いた場合は借用書を提出する
- 登録した口座に資金が振り込まれる
生活福祉資金貸付制度を利用したいと思ったら、まずは市区町村の役場で相談を行います。市区町村の社会福祉協議会で相談すると、世帯収入などから貸付制度の利用可否について判断がなされます。貸付制度の利用が必要と判断された場合は、手順2以降の手続きに進みます。
一定の収入がある場合や要件を満たしていない場合は、利用を断られたり他の制度の利用や民間の金融機関の利用を勧められることもあります。この場合は、勧められた方法でお金を借りられないか検討しましょう。
生活福祉資金貸付制度に関するよくある質問
生活福祉資金貸付制度に関する質問はどこにすればいいですか?
社会福祉協議会に直接相談に行くか、社会福祉協議会または厚生労働省のコールセンターに質問しましょう。
中には、SNSなどで相談したりYahoo!知恵袋の回答を参考にする人もいます。しかし、これらは個人的な見解のため、参考程度に留める方がよいでしょう。
生活福祉資金貸付制度に関する質問がある場合は、社会福祉協議会や厚生労働省のコールセンターで確実な情報を得るべきです。
生活福祉資金貸付制度の審査基準は地域によって異なりますか?
審査基準は地域ごとに異なります。
なぜなら、市区町村によって収入制限を規定しているからです。
例えば、利用の目安となる低所得者は同じ単身世帯でも、北海道札幌市は45万円以下であるのに対し、東京都港区は35万円以下です。地域ごとの審査基準は、各市区町村が公開している要件を確認するか、担当者に確認しましょう。
生活福祉資金の特例貸付はいつまで申請可能ですか?
令和4年9月30日までであることからすでに終了しており、現時点で申請することはできません。
なお、生活福祉資金の特例貸付とは新型コロナウイルス感染症の影響による休業や失業により、収入が減少した人を対象にした貸付制度です。
生活福祉資金を償還免除となるのはどういった場合ですか?
社会福祉協議会が、災害や病気などで支払いが困難と判断した場合です。
社会福祉協議会が生活福祉資金の償還免除を判断した場合は返済義務がなくなることから、無理に返済を進める必要がなくなります。万が一、社会福祉協議会が償還免除を認めていないにも関わらず返済を滞ると、償還期限の翌日から年3.0%の延滞利子が発生するため、やむを得ず返済が遅れそうな場合は早めに担当者に相談しましょう。
債務整理のために生活福祉資金は使えますか?
自己破産などの債務整理をおこなうための費用には利用できない可能性が極めて高いです。債務整理が必要な人の貸付には消極的だからです。
とはいえ、生活福祉資金には一時生活再建費という債務整理に利用できる資金があります。ただし、一時生活再建費は債務整理への利用が認められているものの、債務整理が必要な人に貸し付けても返済能力が低いと判断されるため、なかなか利用できないのが現実です。
失業した場合はいつまで生活福祉資金貸付制度で借り入れできますか?
生計の維持が困難になった世帯は、生活の再建を目的に借り入れできます。
借り入れ期間は原則として定められていますが、期間内に再建できない場合は担当者に相談しましょう。
生活福祉資金はどのように返済すればいいですか?
口座振替(自動引き落とし)で返済します。
ただし、返済日や返済額は地域によって異なるため、担当者に確認しておきましょう。
生活福祉資金貸付制度の審査を受けるには社会福祉協議会へ相談しよう
生活福祉資金貸付制度は、生活に困窮している人に対して生活の再建を目的に貸付をする制度です。生活福祉資金貸付制度を利用したい場合は、まずは社会福祉協議会に相談に行って借り入れできるかを判断してもらう必要があります。
また、生活福祉資金貸付制度は申込から借り入れまでに2週間〜1ヶ月程度かかります。融資までの期間を短くするためには、事前に必要書類を揃えておくことが重要です。必要書類は利用する資金の種類によって異なりますが、共通して必要となる書類は早めに準備しておきましょう。
生活福祉資金貸付制度は何度でも再審査できます。しかし、申請を繰り返しても審査に通らない場合は、民間金融機関の利用も検討しましょう。
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