著名人・専門家コラム
2024.08.29
50歳以上だと特約付団信への加入が難しくなる?【住宅FP関根が答える!Vol.113】
みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
みなさんはどのようなときに保険を見直そうと考えますか。生命保険の見直しのタイミングは何度かあるといわれていますが、一般的に多いのは結婚をして子どもができたとき、住宅を購入したときがよくいわれるタイミングです。住宅を購入し、生命保険の見直しと深く絡んでくるのが住宅ローンに付加される団体信用生命保険です。
団体信用生命保険とは、民間の金融機関で住宅ローンを組んだ際に自動的に付帯される生命保険であり、住宅ローンの借入者が死亡もしくは所定の高度障害になった場合、その時の住宅ローン残高相当額が保険金として金融機関に支払われることにより、住宅ローン借入者はそれ以降の住宅ローンを返済する必要がなくなる保険です。
この団体信用生命保険は、加入年齢に限らず同一の保険料がかかります。民間の生命保険会社の生命保険料は、年齢が若いほど保険料が安く、年齢が上がるにつれて保険料は高くなりますが、住宅ローンに付帯される団体信用生命保険は、年齢や性別に関係なく同一です。住宅ローンを組んで住宅を購入した場合、この団体信用生命保険が付帯される分、そのご家庭の必要保障額が変わることが多く、住宅購入時に生命保険の見直しが必要だといわれる理由です。
この団体信用生命保険には死亡及び所定の高度障害になったときに支払われる「一般団信」と、この一般団信に特約として上乗せをする形で保障を広げることができる、がん100%団信や3大疾病団信、5大疾病団信や7大疾病団信などを用意している金融機関が多いです。
特約として保障を上乗せすることができる金融機関を見ていきます。がん100%団信特約を用意している代表的な金融機関としてauじぶん銀行、SBI新生銀行、PayPay銀行、みずほ銀行などがあり、また5大疾病特約を用意している金融機関としてauじぶん銀行、7大疾病の三菱UFJ銀行、8大疾病の三井住友銀行などが挙げられます。
これらの特約を上乗せすると、当然特約保険料がかかります。この特約保険料は多くの場合、金利に上乗せする形で支払うこととなります。がん100%団信を上乗せする場合、多くの金融機関で金利0.1%の上乗せ、5大疾病や7大疾病等では、金利0.2%から0.3%程度上乗せして特約をつける場合が多いです。万が一のときのため、ぜひ付けておきたい特約ですが、死亡及び所定の高度障害が用意されている一般団信と比べ、加入条件が厳しくなっています。
まずは告知内容です。団体信用生命保険は、生命保険に加入するため、加入する際に健康上の告知をする必要があります。
ただ一般男性の場合の告知は以下の内容です。
- 直近3ヶ月以内の医師の診察や治療、投薬があったか?
- 告知日より3年以内の手術があったか?
- 手足の欠損や、機能障害などがあるのか?
これらを告知するだけなのですが、3大疾病や5大疾病などをつけた場合には上記の内容に加えて、過去2年以内の健康診断における要再検査、要精密検査や要治療などの指摘がなかったかが問われることが多いです。そのため直近2年以内に受けた健康診断の結果で良い数値が出ていない場合、審査結果によっては3大疾病特約、5大疾病特約などの特約の上乗せを断られる可能性も考えられます。
また、がん100%団信や5大疾病団信、7大疾病団信、8大疾病団信などは年齢制限を設けていることが多く、以下のような年齢制限が多いです。
銀行名 | 団信 | 年齢制限 |
auじぶん銀行 | 5大疾病 | 満50歳まで |
がん100% | 満50歳まで | |
SBI新生銀行 | がん100% | 満50歳未満 |
PayPay銀行 | がん100% | 満50歳まで |
三菱UFJ銀行 | 7大疾病 | 満50歳まで |
みずほ銀行 | がん100% | 満50歳まで |
三井住友銀行 | 8大疾病 | 満56歳未満 |
以上のように満50歳を過ぎると団信の特約を上乗せすることができなくなってしまうことが多いのです。その理由としては、40歳を過ぎた頃から3大疾病による死亡者数の数が上がっていく傾向にあるからです。
日本における住宅取得の平均年齢は一般的に38歳といわれています。仮に38歳で35年ローンを組んだ場合、完済予定年齢は73歳です。完済するまでには子育て期間を超えてくる人が多いと思います。その子育て真っ盛りの時期に3大疾病に罹患した場合、治療費がかかることはもちろん、仕事の休みなども調整し、収入も一時的に落ちることも考えられます。そんな時に住宅ローンの返済が必要なくなるというのは、家族にとっての大きな安心だと思います。
本来、こういった保障というものは民間の生命保険で準備したいものですが、民間の生命保険で3大疾病に罹患した際に、一時金で1,000万円や2,000万円などが一括で支払われる保険に加入するには高額な保険料が必要となります。そのため、金利に0.1~0.3%を上乗せするだけで加入することができる団体信用生命保険における特約は、お勧めの加入の仕方だと思います。ぜひ民間の生命保険と並行して検討してみてください。
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WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。