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2024.05.10

住宅ローン団信ってどんな内容?生命保険との違いとは?【住宅FP関根が答える!Vol.100】

みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
住宅購入者向けの相談を行っているとよくいただく質問があります。「これから住宅ローンに3大疾病や8大疾病保障団信をつける予定なのですが、こういった保障があれば、一般的な医療保険やがん保険には入らなくて良いのでしょうか?」というものです。

住宅ローンにおける、3大疾病や8大疾病などの保障と民間の生命保険会社での医療保険やがん保険とでは加入目的が違うため、私自身は団体信用生命保険で手厚い保障に入っていたとしても、民間の医療保険やがん保険への加入は必要だと考えております。本日は住宅ローンに付帯される住宅ローンの団体信用生命保険と民間の生命保険会社における医療保険、がん保険の違いを解説いたします。

住宅ローンの団体信用生命保険

10年ほど前まで住宅ローンの団体信用生命保険は死亡及び高度障害のみで契約される方が多かったのですが、ここ数年、ネット銀行を中心に格安な保険料で充実した団体信用生命保険が提供され始めたため、がん団信や3大疾病、8大疾病団信などの保障を上乗せする人が増えてきています。

3大疾病、8大疾病団信の保障内容とは?

ここで疾病団信の保障内容を整理していきたいと思います。例えば代表的な某メガバンクの8大疾病保障付き住宅ローンを例に考えてみます 。

3大疾病とはがん、急性心筋梗塞、脳卒中のことをいい、8大疾病とは、この3大疾病のほかに、高血圧性疾患、慢性腎不全、慢性膵炎、糖尿病、肝硬変になった場合をいいます。

3大疾病団信が適用される条件はどういったときでしょうか。がんに関しては、生まれて初めてがんと診断確定された時に住宅ローン残高が0円になると書かれていますが、このがんは「上皮内がんを除く」とされています。現在、がんの検査技術が進んでおり、ステージ0期など早期に発見されることも多くなっているのですが、そういった早期のがんである上皮内がんでは住宅ローンの残高は消滅しません。

また、急性心筋梗塞により団体信用生命保険が適用されるには、労働制限を必要とする状態が60日以上続いた場合とされています。脳卒中は言語障害や運動失調、麻痺などの神経学的後遺症が残った状態が60日以上続いた場合となっています。急性心筋梗塞や脳卒中は比較的軽い状態で発症する方も多い病気ですが、軽い状態で入院をする場合、数日間の入院を経てすぐに社会復帰する人も多いのです。しかし、そういった軽度な場合には保障の対象にはなりません。

次に、高血圧性疾患、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎に関してですが、高血圧性疾患や糖尿病は多くの方が罹患している成人病です。皆さんの周りにも、高血圧性疾患や糖尿病の診断を受け、薬を服用している人も多いと思います。ただ、そういった方々も薬を飲みながら一般的な生活を送っていることと思います。このように薬を服用しながら一般的な生活を送っている場合、住宅ローン残高が消滅することはありません。例に出した銀行の場合、これらの病気で就業不能状態が1ヵ月を超えて継続した場合、1ヵ月単位で住宅ローンの支払いが免除され、その状態が1年以上続いた場合に住宅ローン残高が消滅します。つまり、高血圧性疾患や糖尿病などになり、それが原因で就業不能状態に1年以上なって初めて住宅ローン残高が消滅するという非常に厳しい条件となっています。

団信に加入していれば、民間の保険は不要なのか?

ここまでで住宅ローンに付帯される団体信用生命保険の内容を確認していただきました。しかし、住宅ローンに疾病保障が付いていれば民間の生命保険は要らないということにはなりません。そもそも団体信用生命保険が保障されているのは住宅ローンを支払っている期間だけです。例えば、35歳で家を買い住宅ローンを払っていったとします。65歳の定年退職時に住宅ローンを全て完済した場合、その時点で団体信用生命保険は消滅してしまいます。

人は歳をとってからの方が病気になる確率が高くなります。厚生労働省が発表している「患者調査、3大疾病の年齢階級別の受療率」によると、40代後半における3大疾病の受診割合は人口10万人に対して170人程度なのに対し、60代後半になると710人程度まで上がっていき、70代後半になると1300人程度80代後半になると1650人程度まで上がっていきます。住宅ローンは60代で支払いが完了する人が多いですが、むしろ3大疾病を始めとする病気のリスクは60代以降が重要になってきます。

※参考:令和2年(2020)患者調査|厚生労働省

また国立がん研究センターが発表している「がん統計」によると、一生涯でがんと診断確定される人の割合は、、男性で65.5%、女性で51.2%となっています。女性の場合、乳がんに限っていえば50歳前後で罹患のピークがきますが、乳がん以外だとやはり60歳以降、男女ともにがんの罹患率が急激に増えています。

※参考:最新がん統計|国立研究開発法人国立がん研究センター

3大疾病に罹患した場合の平均在院日数も年齢が上がるにつれ長くなっていくということを考えると、医療保険やがん保険はむしろ60歳以降をどういった形で用意するかということが重要になってきます。そのための用意が住宅ローン団信のみの場合、1番必要な年齢のときには保障はなくなってしまいます。

住宅ローンに付帯される3大疾病や、8大疾病団信は必要ないの?

人はどういった病気にいつなるのかはわからないため、それぞれお考えいただきたいテーマです。こういった疾病団信は働き盛りの年齢に大きい病気をしてしまうことで住宅ローンが払えなくなってしまうといったリスクに備えるものです。30代40代のときには子育てをしながら住宅ローンを払っていくことになります。そういった年齢の時に大きい病気になってしまった場合、仕事にも制限が出てしまい年収が落ちやすいです。しかしそんなときでも住宅ローンの支払いや子どもの教育費は待ってはくれません。そういった子育て年代における万が一を保障してくれるのが住宅ローン団信に付帯される疾病保障といえます。

一方で、民間の生命保険は病気の罹患率が上がり、また収入も年金収入のみになってしまう老後に備えるための保障とはいえ、保障の目的が違うため、理想は両方の保障があると安心だと思われますが、ご自身でそれぞれお考えいただく必要があります。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直

ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。

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