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2024.04.12
教育費ってこんなにかかる!いざという時の準備はできていますか?【住宅FP関根が答える!Vol.97】
みなさん、こんにちは。
ファイナンシャルプランナーの関根です。死亡保険における必要保障額を計算するうえで考えなければいけないのは、人生の3大資金の一つである教育資金です。今回はこの辺りについてお話していきます。
大学進学率の推移
今は、昔と比べ大学の進学率が増えています。団塊ジュニア世代が大学進学を迎えた1990年における18歳人口は約200万人と多かったものの、大学進学率は24.6%と18歳人口の4人に1人しか大学に進学していませんでした。しかし現在は大幅に増えています。2023年の18歳人口は約110万人と1990年比で約6割まで減っている一方で、大学進学率は57.7%と18歳人口の2人に1人以上にまで上がっています。
昔は離別や死別しシングルマザーになってしまった時などは、子どもの大学進学を諦める家庭も多かったと思います。しかし、18歳人口の2人に1人以上が大学に進学する現在、仮に夫に先立たれシングルになったとしても、子どもは大学に行かせてあげたいと望む家庭は多くなっています。
小学校から大学までの教育費
ただ小学校から大学までの教育費は大変大きくなるため、シングルになったとしても、どれぐらいの費用がかかるのかを理解しておく必要があります。本日は子ども1人にかかる教育費を公立と私立の場合で確認していきたいと思います。
小学校にかかる教育費は?
小学校は公立小学校を選択されるご家庭が多いと思います。文部科学省が行った「子供の学習費調査」によると、公立の小学校に通う小学生一人当たりにかかる教育費は、年間で約35万円となってます。日本において小中学校は義務教育のため、教育費自体は少ないのですが、この小学校にかかる費用の約7割が学校外の活動費、つまり学習塾やスポーツなどの習い事などになります。
中学校にかかる教育費は?
小学校では公立小学校を選ぶご家庭が多いと思いますが、中学校からは考えが分かれるところです。私立の中学校を選ぶ生徒は、全体の約7.8%といわれており、主要都市においてその割合は高くなっています。ちなみに東京都で中学校に通っている生徒のうち、私立中学校に通っている生徒の割合は約25.8%となっています。
具体的にかかる教育費は、先ほどの「子どもの学習費調査」によると、公立の中学校に通う中学生一人当たりの教育費は年間約54万円となっております。一方で、私立の中学校に通う中学生の教育費は年間約144万円と、約2.7倍になっています。これらの費用の中には学校にかかる費用や部活動の費用と、学校外での習い事や塾の費用なども含まれていますが、習い事の必要などは公立私立問わず、約30万から50万円ほどかかっている計算になっています。
ただ、私立の中学校を受験する場合の多くは小学4年生から3年間、進学塾に通う場合が多く、費用も3年間で200~300万円程度といわれており大変大きな金額になります。
高校にかかる教育費は?
公立高校にかかる年間の教育費は約51万円、私立の場合は約105万円となっていますが、今は公立私立問わず、高校無償化法により国から支援金が給付されており、所得制限はありますが以前と比べて教育費の負担は少なくなっています。
※参考:令和5年度 学校基本調査|文部科学省
令和3年度 子供の学習費調査|文部科学省
大学にかかる教育費は?
大学にかかる教育費ですが、進路によって全く異なってきます。国立の場合や私立の場合、また文系の場合と理系の場合とで違いますし、芸術系や医学部などに進むとまた大きく異なってきます。さらには自宅から通うのか、下宿をするのかでも全く違ってきます。
教育費が一番低いのは、国公立の大学に自宅から通う場合です。4年間にかかる教育費の総額は480万円程度で、私立文系で690万円程度、理系になるともう少し高額になり820万円程度とされています。
近年では理系学習の必要性が高まっており、依然と比べ理系を選択する人や大学院へ進学することを希望する人が増えてきました。
上記の金額は自宅から通った場合ですが、一人暮らしをした場合の平均の仕送り額は、年間95万円、一人暮らしを始めるための敷金・礼金や、家具の購入費などの初期費用が平均38.7万円かかるため、4年間で約420万円、6年間の場合は約610万円もの費用がかかります。
ちなみに一番多くの教育費がかかるのは私立医科歯科系になります。6年間にかかる費用は、自宅から通う場合で2400万円程度、一人暮らしをした場合には3000万円程度とされています。
※参考:令和3年度 教育費負担の実態調査結果|日本政策金融公庫
令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人あたり)の調査結果|文部科学省
まとめ
上記のように小学校から大学まで国公立に進学した場合と、すべて私立に進学した場合では、大きな違いが出てきます。
ご夫婦ともに元気な場合には中学受験を希望されていても、万一シングルマザーになった場合は公立中学校を希望するという方も多いです。高校卒業までは親が用意してあげたいと希望することが多い教育費ですが、大学の費用をどこまで負担してあげたいと考えるかも重要です。万一シングルになられた場合には、教育費の一部に奨学金を利用するという考え方もあると思います。こういったことも考えながら、万が一の時に必要な保障額を算出していただければと思います。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。