手続きQ&A
2023.11.22
生命保険の見直しの手順と注意点とは?損しない方法はある?【FP監修】
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。
「生命保険って見直したほうがお得なの?」
「ずいぶん昔に入った保険だけど新しいものに変えた方がいいのかわからない」
「結婚をした」
「子どもが生まれた」
など、保険の見直しのきっかけはさまざまです。
では、そもそもなぜ生命保険は見直す必要があるのでしょうか?また、せっかく生命保険を見直すならできるだけ無駄を省いて、損をしない方法が知りたいですよね。
ここでは、生命保険を見直すべきタイミングと見直しの手順、損しないための注意点などをわかりやすく解説します。
生命保険を見直すタイミングって?
生命保険を見直すタイミングを一言でいうと「これから必要なお金に変化があった時」です。
必要なお金が増えた時だけでなく、減った時、必要な目的が変わった時には見直しが必要です。
今後の人生に必要なお金が変わる時とはたとえば、次のような場合です。
- 結婚して、家族が増えた。
- 子どもが増えて、将来必要な教育資金が増えた。
- 子どもが社会人になった。
- 住宅をローンで購入して、団体信用生命保険(団信)に入った。
- 退職して、自営業になった。
- 貯金が大幅に減った。
- 十分な貯蓄ができた。
- 定年退職して年金生活になった。
万が一の時、いくら用意してあれば自分や家族が変わらず暮らしていけるでしょうか?その必要な額が変われば、最適な生命保険は変わるのです。
どこを見直す?生命保険の見直しの手順
生命保険の本質は「少額の保険料を前もって負担して、貯蓄ではどうにもならない大きなお金が急に必要になった時に助け合う仕組み」です。
そのため、もしもの時に必要な金額のうち、貯蓄ではカバーできない分はいくらくらいかがポイントです。
自分の必要額を洗い出すには、次の手順で考えていきましょう。
1.これからの人生に必要なお金を整理する
まず、これからの人生に必要なお金を洗い出してみましょう。
生活資金や教育資金、住宅購入資金など、どのタイミングでどのくらいの資金が必要になるか考えてみましょう。
2.万が一の場合の支出はいくらか
自分にもしものことがあった時に、のこされた家族が今と変わらない暮らしを実現するためには、どれくらいのお金が必要でしょうか?
生活資金は多少少なくなるかもしれませんが、教育資金は変わらずかかることに注意が必要です。
3.死亡保険の必要保障額はもしもの時の支出から収入を差し引いた金額
上記で計算したもしもの時の支出から遺族年金や預貯金などを引くと、足りない金額がわかります。この足りない金額が死亡保険で備えが必要な保障です。必要保障額を死亡保険で確保できれば、のこされた家族がお金に困るリスクを減らせるでしょう。
必要保障額 = のこされた遺族の支出 ー のこされた遺族の収入
また、多くの場合、必要な保障額は年々減っていきます。
子どもが成長すると社会人になるまでに必要な教育資金が減り、定年が近くなれば必要な生活資金が減ってくるためです。
4.生きている時のリスクと必要なお金を整理する
私たちの周りには、生きている時にもリスクがあふれています。
大きな病気やケガで多額の医療費がかかったり、働けなくなったりしたら、預貯金で何とかできるでしょうか?
貯蓄が少ない時ほど、突然の医療費の負担は大きく家計を圧迫するものです。
無理のない保険料の予算をよく考えながら、どれくらい医療保障があれば安心できるかを整理していきましょう。
5.見直しで実現したいことを整理する
入っている保険の保障内容を確認して、現在の状況に合っていない、解決したいところを整理しましょう。
(例)
- 死亡保障が足りないので、増やしたい。
- 死亡保障が大きすぎるので、減らしたい。
- 死亡保障があと5年で終わってしまうが、定年を迎える65歳まで保障がほしい。
- 医療保障に加えて、がんの保障を充実させたい。
- 医療保障があと5年で終わってしまうが、一生涯の保障に変えたい。
6.見直す方法を選ぶ
・死亡保障の大きさや医療保障を増やしたい時
今の保険を続け、追加で新しく保険に加入する方法や今の保険をやめて新しく保険に入りなおす方法を検討しましょう。
・死亡保障の大きさや医療保障を減らしたい時
今の保険を減額して(一部だけのこして、一部はやめる)続ける方法があります。
ただし、保障額を減らすのと同時に保障期間も延ばしたい場合は、今の保険をやめて新しい保険に入りなおす方法を検討した方がいいでしょう。
・保障期間を延ばしたい時
定期保険などに入っていて、保障期間を延ばしたい時は保険を更新する方法があります。しかし、保険の更新のタイミングで保険料が上がるのが一般的であるため、今の保険をやめて新しい保険に入って、必要な期間の保障を確保することも検討しましょう。
見直す時の注意点と損しないためのポイント
保険を見直しするなら、できるだけお得にしたいですよね。保険の見直しで知っておきたい注意点と、損しないためのポイントを解説します。
・解約のタイミング「新しい保険の保障が開始してから、古い保険を解約する」
新しく生命保険に加入する時には、健康状態や職業などによる保険に入れるかどうかの審査があります。
審査の結果、保険会社が保険に入れると判断するまでには一定の時間がかかります。
この間に先に古い保険を解約してしまうと、保障が受けられない無保険の期間ができてしまうかもしれません。さらに、審査の結果、新しい保険に入れなかった時には、無保険の期間が長くなってしまう可能性もあります。
そのため、必ず、新しい保険が保障開始したことを確認してから古い保険を解約するようにしましょう。
・今の保険をのこすことも視野に
一般的に、同じ保障であれば年齢が若い時に加入した保険の方が保険料が割安です。
たとえば、医療保障を充実させたい場合は、今の保険をすべて解約して新しい保険に切り替えることもできます。しかし、入院保障は今の保険をのこして、がんや3大疾病の保障だけを新しい保険で備える方が保険料の総額が安くなる場合があるのです。
今の保険でのこしておいた方がいい部分がないか確認することが、見直しで損しないために大切です。
・貯蓄型の保険の解約は慎重に
昔の貯蓄型の保険は今では考えられないほど高い予定利率が設定されていました。
貯蓄型の保険はお金が貯まる分、掛け捨ての保険と比べると保険料が割高です。そのため、保険料を抑えるために貯蓄型の保険を解約したくなったとしても、少し待ってください。一度解約してしまうと、同じ利率の保険に入ることはできません。
保険料の支払いが厳しい時には、保障を継続しつつ保険料の支払いをストップできる払済保険へ変更する方法や、保障額を減らすことによって保険料の負担を減らす方法があります。保険の解約前によく確認しましょう。
まとめ
生命保険は、必要なお金やお金が必要な目的が変わったら見直しが必要です。
万が一の時に、どれくらい用意してあれば自分と家族が今と変わらず暮らしていけるでしょうか?
結婚したり、家族が増えたり、子どもが増えたりと今後必要なお金の大きさに変化があった時には生命保険を見直ししましょう。
また、見直しで今の保険を解約するなら、タイミングに注意が必要です。さらに保険の見直しで損しないためには、今の保険にのこしておいた方がいい部分があるのなら、その保障はのこすこと、予定利率が高い貯蓄型の保険は解約する前によく検討することをおすすめします。
この記事が生命保険の見直しの参考になれば幸いです。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。