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2022.06.14
以前は入っている人が多かった終身保険、これって必要?【住宅FP関根が答える!Vol.11】
みなさんこんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
みなさんはどういった保険に加入していますか。医療保険、がん保険、定期保険や収入保障保険など、保険には様々な保険があります。その中でも今回は終身保険についてお話いたします。
皆さんの中にも終身保険に加入している方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし終身保険は保障額も少ないことが多く、現代においては必要なのでしょうか。今回のコラムでは、以前は加入している方も多かった、終身保険についてメリットやデメリット、どういった場合に必要な保険なのかを解説いたします。
終身保険のメリットは?
終身保険のメリットはなんといっても必ずもらえるということです。
定期保険や収入保障保険などは保障期間が決まっており、もらえる場合と、もらえない場合があります。
その点終身保険は80歳で亡くなっても100歳で亡くなっても必ず受け取ることができます。
それでは終身保険は具体的にどういったことに使うための保険なのでしょうか。定期保険は自分が亡くなってしまってから、遺族のためにお金を残すものです。収入保障保険も遺族のために毎月の生活費に充てるためのものとなっており、保険には保険金の使用目的があって入ります。終身保険は多くの場合、相続対策かお葬式代として利用されます。
終身保険での葬儀費用の準備
お葬式代というのは自分のために使う人生最後の出費となりますが、額も大きくきちんとした準備が必要になります。お葬式代はいくらくらいかかるのでしょうか。鎌倉新書の「第4回お葬式に関する全国調査2020年」によると、葬儀にかかる費用の総額は約184万円となっています。
葬儀の種類として1番多いのは「一般葬」で48.9%、次いで「家族葬」(40.9%)、「一日葬」(5.2%)、「直葬・火葬式」(4.9%)と続いています。葬儀の種類によってもかかる金額は変わってきますが、どういった形にしてもお葬式は必ず必要です。以前は運用をする人が少なかったため効率よく準備をするために終身保険に加入し、保険金額をお葬式代にしていました。
保険で準備をする場合、多くの場合には保険金額が分かっているため安心です。また、保険で準備する場合には死亡保険もついています。
一方で、保険は物価上昇に連動しないということが大きなデメリットです。例えば、現在30歳の方が現在の葬儀費用に合わせ、190万円の保険金額の終身保険に加入したとします。その方が90歳で亡くなりました。保険加入から60年後に実際葬儀が行われることになります。当時、保険加入時での葬儀費用としては十分な金額であったかもしれませんが、その後徐々に物価上昇もあることを考えると60年後の葬儀費用としては190万円で足りると思いますか。実際には難しそうですよね。このように終身保険に加入する際には実際に葬儀を行うことになる時期の葬儀費用をある程度多めに保険に加入するか、足りない分は手持ちから出す形になると思います。
他の葬儀費用の用意方法は?
現在のお葬式代の準備方法は昔と異なり、終身保険に加入する以外にも投資信託などの運用で準備をする方が増えています。
最近は運用ブームということもあり非常に増えました。運用は物価上昇に連動しやすいため、上向きに動いている場合にはその時代に見合った葬儀費用を用意することができる場合も多いです。しかし運用での葬儀費用の準備にはデメリットもあり、こちらは運用次第ですのでいざという時の金額は現時点では分からず、思っていたよりも少なかったなどということもおきえます。
さらに、もうひとつの選択肢。今までは保険で葬儀費用を用意するとなると終身保険の一択でしたが、現在は運用を絡めた変額終身保険で準備をするやり方もあります。
この変額終身保険の多くの場合、運用先を契約者が指定することができます。米国株式や日本株式、債券やそれらのバランス型など様々な運用方法があります。また、運用途中で運用比率を変更したりすることもできます。これでしたら保険商品ですが、物価上昇に連動しやすいため、時代に見合った葬儀費用を用意することができる場合が多いです。
またこちらの商品は単なる運用とは異なる点があり、投資額の時価がどれだけ下がろうが、ある一定の金額を保険会社が保証してくれるという最低保証制度があるということです。最低保証制度は具体的に言うと、死亡保険金が対象となっております。もし運用が成功すればもらえる金額が多くなり、逆に運用がうまくいっていなくても最低保証制度があるためその金額を下回ることはありません。
しかし、解約返戻金はこの最低保証制度の対象となっていないため、解約時期によっては元本割れをしてしまうリスクもあります。ただこれからの時代、死亡保険金を確保した上での運用、非常に需要があると思います。この変額終身保険、選択肢の一つとしていかがでしょうか。
さいごに
保険の場合、被保険者がお亡くなりになった場合には保険金が入ります。この保険金が相続の時に、有利に働くことがあります。相続における「死亡保険の非課税枠」ってご存じでしょうか。合法的に相続税を節税することができます。次回はこの死亡保険の非課税枠について解説いたします。
住宅FP関根前回のコラムはこちら
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。