著名人・専門家コラム
2024.11.22
AIと医療現場シリーズ第二弾~AI導入でより安全な医療~【住宅FP関根が答える!Vol.125】
みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
前回のコラムではAIの医療現場への進出、そして医師の仕事まで担うことができるようになってきているというお話をしました。AIと医師の関係は関わりが深く、密接していることが分かったと思いますが、実は医療現場とAIの関係はこれだけではありません。今回は前回の続きからお話していきたいと思います。
まずは軽く前回の復習からです。そもそも医師という職業は、基本的には他業種と比べてAIとの相性はいいと言われています。しかし、一口に医師と言っても専門の科があり、その科によって行う業務内容は大きく異なります。様々な専門の科がある中でも特に相性が良いと言われているのが放射線科医と内科医です。AIは膨大なデータの記憶、解析に強いため、放射線科医と内科医はAIに向いているということでした。そして比較的相性が良くないと言われているのが外科医と精神科医です。外科手術は非常に複雑で、繊細な手技が求められ、実際の手術操作を代替するのは難しいためです。そして精神科医療は患者との信頼関係が非常に重要であるため、AIと信頼関係を構築することは難しく、AIとは相性が良くないと言われているということでした。
ではここでは精神科で例を挙げますが、みなさんはAIと比較的相性が良くないと言われている精神科は、今後一切AIの導入はされないと思いますか。答えはおそらく「NO」です。精神科でもAIを導入するメリットがあります。前回もお話しましたが、精神的な健康問題に対する共感や感情の理解は人間ならではのものであり、AIは感情をもたないため、患者の心情に寄り添うことは難しいです。この部分に関してはやはり、人間に勝ることは少なくともここ数年とかでは難しいと思います。しかしながら、精神科に通っている患者は精神的な病気だけではなく、ほかの病気と併発している人が多いということが肝です。
例えばですが、精神疾患と糖尿病を併発している場合、精神科と内科に掛からなくてはいけない場合などというケースです。基本的に精神科医は精神疾患患者を診るものであって糖尿病患者を診るのは内科医です。同じ医師と言えども専門の科が異なるため、基本的には精神疾患は精神科、糖尿病は内科と2つの科にバラバラでかかる必要があります。そのため、今までは別の先生に回して行ったり来たり、薬の相性などもあり、かなり連携がとりづらいものとなっていました。
あくまでも精神科と内科での例を挙げましたが複数の病気にかかっているという患者はすべての科でいらっしゃいます。現在の医療体制ではほかの病院に掛かられているという場合でも、患者からの申告による方法でしか、かかっている病院、病名、飲んでいるお薬などが分かりませんでした。本人がすべて把握している場合には正確に伝えることもできるかもしれませんが、伝えているつもりでも途中で飲んでいるお薬が変わってしまったり、そもそもご老人にとっては何の薬を飲んでいるのかもわからないまま、言われた薬を飲んでいるといった場合もあります。これは本当に危険なことです。
そのため、複数の科を受診しているうちに似たような作用がある薬が重複してしまっていたり、はたまたとんでもない量の薬を飲んでしまっているということもいまだにあります。本来薬剤師さんが確認するのですが、個人経営の病院では院内処方で薬剤師が常駐していなかったり、患者がお薬手帳を所持していなかったりなど、薬の重複を見落としてしまうことは多々あります。一見、AIと相性が良くないと思われる専門の科でもAIの活用方法はこういったところにあります。
専門外の病気を併発している患者の薬もAIの力を頼ることで一般的な病気であれば一括して精神科内で専門外の薬も出しやすくなります。処方する病院を一括するということは非常に重要であり、患者の通院の負担も減らすほか、医療費の削減にもつながります。また、医療物資も限られた資源であり、今後の時代にはかなり重要な課題となっていくと思われます。また、別の病院、ほかの科に掛かったとしてもAIの導入が行われていれば、薬のデータ共有がスムーズになることで医療現場での時短、さらには複数の病院にかかっていても似たような薬の重複といった現象を避けやすくなっていくと言われています。こういった一見AIの使い道がなさそうな科でもまだまだAI導入の余地があり、医療現場の時間短縮、より効率よく安全な医療を届けることができると思われます。
まだまだ医療現場でのAI導入を実感する機会は多くはありませんが、私たちの知らないところでAIの導入は着実に進んでいます。すでに画像診断はAIも行っていますし、電子カルテのデータ分析なども行っています。人間は誰しもミスがありますがAIにはありません。医療現場でのAIは人間が行うよりも正確に、そして安全性に優れている分野が確実にあります。次回はAIと薬の処方についてのお話をしていきたいと思います。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。