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2025.02.13
新NISAと生命保険の役割とは?【住宅FP関根が答える!Vol.136】
みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
新NISAと生命保険は一緒くたにされることも多いですが、実は根本的な機能は異なります。今回はこの新NISAと生命保険の違い、役割についてお話していきたいと思います。
新NISAの主な目的は資産形成です。それに対して生命保険の役割は、基本的に保障の確保と言えます。旧NISAから新NISAへ制度が変わったことで大きく違うところは何といっても非課税の投資期間だと思います。旧NISAは最長5年間でしたが新NISAは無期限となりました。投資による資産形成は、短期間で大きく増やすものではなく、長期的な運用が重要になっています。そのため、運用期間を長く保つことができるように投資期間は長くなっています。
また、資産が少ない人ほど生命保険の必要性は高くなる傾向にあります。新NISA、生命保険、どちらを優先させるべきということはなく、各ご家庭の状況に合わせて適切に資金を振り分けるのが本来のあるべき姿です。また、状況が変わればその都度資産形成についての見直しも柔軟に対応する必要があります。
現金を新NISAや生命保険に充てることは、資産の置き場所や資産のかたちを変えることになり、資産を分散するという面でも利点はあります。ただ銀行口座内に置いておいてもお金は増えません。これからの老後資金は自分で用意する時代へと突入しています。
では新NISAと貯蓄性のある保険の代表である変額保険はどのように考えればよいのでしょうか。自分で資産形成をはじめられるなら新NISAの方がシンプルで分かりやすいでしょう。新NISAは資産形成に特化しているため、投資としてはより効率がいいと言えます。
一方、保険で老後資金を用意しようと思った場合、生命保険としての保障と資産形成を兼ね備えるかたちで変額保険などに加入するケースがあります。資産を増やすことができる側面があるものの、変額保険も保険であることに変わりありません。そのため、いざとなったときの保障が付帯しています。死亡保障や介護保障、三大疾病の保障などもあると安心という人には変額保険という選択肢は有効性が高いです。
保険料払込免除特約も付帯させることができるので、所定の状態になった場合、その時点から保険料の払込が不要になるのは保険ならではの制度です。保険料払込免除に該当する状態になりたくはありませんが、いつ何があるかは誰にもわかりません。もしものときにはかなり役に立つと思われます。こういった保険料払込免除特約といった保障が付帯する分は追加で保険料を支払う必要があります。例えば、30歳男性が保険期間を65歳で満了とし、死亡時の保険金額を1,000万円として契約した場合、月払い保険料は約19,000円ですが、保険料免除の特約を付けると約20,000円となります。あくまでも一例ですので、実際には保険契約する被保険者の年齢や性別、保障金額や保障期間によって追加になる保険料は異なりますので保険加入時に確認してみることをお勧めいたします。
しかしながら、若くて健康な人ほど保険が備えられていることへのメリットを感じにくいものです。こういった方には新NISAを利用して若いうちから資産形成をしていくこともお勧めいたします。生命保険への加入を検討する際は、死亡保障や貯蓄性だけでなく、特約やその他の付帯サービスなども考慮して検討するといいでしょう。
予算に限りがある以上、新NISAと生命保険、それぞれに振り分けることができる資金にも限りがあります。一般的には独身者など自分以外に困る人がいない人、万が一のときに最低限の生活資金等が確保できている場合には生命保険の必要性は下がります。
一方で子育て盛りである時期や、出産予定がある、配偶者がいるなどといった自分以外にも困る人が出てきてしまうような状況では必要保障額が高くなり、保険の必要性は高まります。各ご家庭の状況によって変わってきますが、収入がなくなってしまっても数ヶ月から1年程度の生活していくための預貯金が確保できているかなどの観点から判断していくといいでしょう。
新NISAと生命保険、どちらが正解ということはありません。それぞれの良さがあり、それぞれの特性があります。しかし生命保険は掛捨てになってしまう可能性はあります。掛捨てを割り切って、必要な期間のみ必要なだけの保障を確保して、さらに余裕のある資金は資産形成に振り分けるという資金管理はある意味スタンダードな考え方と言えるでしょう。
今後も資産形成は主要なテーマの一つです。変額保険等も各保険会社がさらに力を入れて販売していますし、2024年11月には一部の保険会社が個人保険の一部の予定利率の引き上げを発表しました。個人年金保険や定額の貯蓄タイプの保険も動きがでてきています。
今や誰もがSNSの時代となって知識のない人でもその気になればある程度の精度の情報を収集することが可能な時代です。しかしながら、情報の発信者に何らかの意図があるケースがあり、そのあたりを読み間違えると正しくない、あるいは事実とは異なる情報を掴む可能性も高くなります。お金の相談とはなかなか人にはしにくいものです。しかし、知っている人のみが得できる制度もいっぱいあります。そういった専門性の高い分野こそ、プロに相談してみてはいかがでしょうか。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。