お金と暮らしの基礎知識
2022.03.14
NISAとiDeCoをわかりやすく解説!
資産形成にNISAやiDeCoが良いと聞き、興味を持っている人は多いでしょう。しかし、NISA、つみたてNISA、iDeCoと一見よく似た制度であるため、どれを選べば良いか迷う人もいるかもしれませんね。
どれも投資による資産形成をしやすくなるように作られた制度ですが、実は資産形成の目的によって向き不向きがあります。
この記事では、運用益が非課税になるという3つの制度の共通の特徴以外のメリットやデメリットを紹介し、それぞれの制度がどのような人におすすめかを解説します。
NISAとiDeCoの内容が知りたい人や、どの制度を使おうか迷っている人はぜひ最後までご覧ください。
一般NISA、つみたてNISA、iDeCoの特徴
NISAは個人の投資を促進するため2014年にスタートした税制優遇措置です。当初5年間の予定でしたが、好評につき期間が延長され、2018年にはより積立投資・分散投資に適したつみたてNISAが始まりました。
一方、iDeCoはもとからあった個人型確定拠出年金制度を改正し、2017年から加入者を拡大したのにあわせて一般から公募された愛称です。投資をしやすくするため、税制優遇措置がある点はNISAと同じですが、原則として60歳になるまで資金の引き出しができないなど、より長期の投資に向いています。
NISA、つみたてNISA、iDeCoの特徴を以下の表にまとめました。
NISA | つみたてNISA | iDeCo | |
運用益が非課税 | ◯ | ◯ | ◯ |
課税所得控除 | なし | なし | 拠出時と受取時に課税所得が控除され、所得税と住民税が減る |
投資可能額 | 最大120万円/年 | 最大40万円/年 | 5,000円〜68,000円/月 |
運用期間 | 最大5年 | 2037年まで | 原則として60歳になるまで |
一括投資ができる | できる | つみたてのみ | つみたてのみ |
いつでも引き出せる | 引き出せる | 引き出せる | 60歳になるまでは不可 |
投資対象 | 幅広い (株式やETFも可) |
指定された商品から選ぶ | 投資信託、保険、定期預金のみ |
口座管理手数料 | かからない | かからない | 年間2,000円程度かかる |
上記以外の特徴としては、NISAとつみたてNISAはどちらかしか選べないことと、iDeCoの場合は会社員か自営業かなど、職業によって1カ月あたりに拠出できる資金の額に上限があります。
一般NISA、つみたてNISA、iDeCoはどれが良い?
NISA、つみたてNISA、iDecoのうち、どの制度を利用するのが良いか迷う人もいるでしょう。ここではそれぞれの制度がどのような人におすすめか、解説します。
一般NISAはこんな人におすすめ
一般NISAは以下のような人におすすめの制度です。
- 株式投資やETFなどに投資したい
- さまざまな金融商品を自分のタイミングで売り買いしたい
- 比較的資金に余裕がある
つみたてNISAやiDeCoと比較したときの一般NISAの特徴は、投資対象や売買のタイミングの自由度が高いことです。株式だけでなく投資信託や債券などを年間の投資額上限の120万円に達するまで、自分の好きなタイミングで売買ができます。つみたてNISAやiDeCoは毎月決まった金額を投資するのが原則なので、自分のタイミングで投資ができるのは一般NISAの強みです。また、年間の投資上限額は120万円で、この記事で紹介する3つの制度のなかでは最大です。
一方、一般NISAの非課税期間は最大5年間ですので、長期投資にはあまり向いていないと言えます。もし長期投資を考えているなら、つみたてNISAやiDeCoを活用することを検討しましょう。
つみたてNISAはこんな人におすすめ
つみたてNISAは、非課税期間が2037年までと長いため、中長期的な投資がしたい人に向いています。名前の通り、年間40万円の枠内でコツコツと積立投資をするための制度です。
- 中長期で資産づくりのために投資をしたい
- 自分で一から商品を選ぶのは難しいので、おすすめの商品を教えてほしい
- 中長期投資が目的だが、途中でお金を引き出す可能性もある
つみたてNISAの非課税期間は20年で一般NISAと比べて長期間です。そのため、積立投資や分散投資に向いています。
つみたてNISAの対象となる商品は金融庁によって選定されているので投資初心者でも始めやすいでしょう。一方、投資に慣れている人には少し物足りないと思われるかもしれませんね。
一般NISAと同様に、つみたてNISAも運用している商品をいつでも引き出すことが可能なので急にお金が必要になったときでも安心です。
なお、つみたてNISAは一般NISAの口座と併用することはできないため、目的に応じてどちらかの口座を選択しなければなりません。
iDeCoはこんな人におすすめ
iDeCoは正式名称を個人型確定拠出年金と言い、名前に年金とある通り、NISA(一般NISA、つみたてNISA)よりも老後資金をつくることに焦点を当てた制度です。そのため、NISAよりも税制上のメリットが大きい代わりに60歳になるまで掛け金を引き出すことができないという制限があります。
iDeCoは以下のような人におすすめです。
- 税制メリットを享受しながら老後資金を貯めたい
- 十分な余裕資金がある
- 投資信託や保険、定期預金でお金を運用したいと考えている
iDeCoはNISAのように運用益が非課税であるだけでなく、掛け金が全額所得から控除されるため、住民税と所得税が軽減するメリットがあります。また、60歳になってから資金を年金として受け取る際にも公的年金等控除または退職所得控除が適用され、税金を抑えられます。
ただし、一度拠出した掛け金は原則として60歳になるまで引き出せないのがiDeCoです。このルールは腰を据えてじっくりと老後資金を貯めるためには良いのですが、余裕資金が少ない人は万が一の際に資金が引き出せずに困ることがないよう、まずは少額から始めることをおすすめします。
また、iDeCoで投資対象として選べるのは投資信託、保険、定期預金に限定されています。
個別の株式や債券、ETFなどは選べませんので、これらに投資をしたい場合は、iDeCo以外の方法を使いましょう。
NISAとiDeCoは併用も可能
NISAとiDeCoについて、共通点やそれぞれどのような人に向いているかを解説しました。
一般NISAとつみたてNISAは一人一口座と決められているため、どちらかしか選べませんが、NISAとiDeCoは別の制度であるため、同時に利用することが可能です。
一般NISAまたはつみたてNISAとiDeCoは、似ている点もありますがそれぞれ目的が異なります。資金に余裕があるなら、2つの制度を併用してよりお得な資産形成を目指しましょう。
まとめ
「人生100年時代」と言われるようになり、国民の資産形成を後押しするために整備されたのがNISAやiDeCoです。
目的を限定せず節税メリットを得ながら投資をするなら一般NISA、少額から長期で積立・分散投資をするならつみたてNISA、節税メリットを最大限に享受しながら老後資金をつくるならiDeCoが適しているでしょう。
自分の目的に合った制度を選び、将来のために上手に利用したいですね。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。