お金と暮らしの基礎知識

2024.02.14

子育てしながらでもキャリアアップはできる! 資格取得に使える国の制度【FP監修】

監修者情報

株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。

子育てのために勤務時間を減らしたり、退職したりした人のなかには、子どもが大きくなったら再びバリバリと働きたいと考えている人もいるでしょう。一般的にキャリアにブランクがあると再就職が難しいといわれますが、育児中に資格取得などに取り組めば、キャリアアップを目指すことは可能です。

そのような、キャリアアップのために勉強しようとする人を支援する国の制度が「教育訓練給付制度」です。この記事では、教育訓練給付制度について、概要や受給できる条件、注意点などを解説します。子育てのために退職した人も、手続きをすることで制度の対象となる可能性があるため、参考にしてください。

教育訓練給付制度とは

教育訓練給付制度は、働きながらキャリアアップを目指す人を支援するため、厚生労働省指定の講座受講料の20〜70%が国(雇用保険)から給付される制度です。対象となるのは、簿記・英語検定・プログラミング・税理士などの幅広い分野の約14,000講座です。

雇用保険に入っているパートやアルバイト、派遣社員なども教育訓練給付制度を利用できます。また、条件を満たしていれば退職した人も制度の対象です。そのため、子育てと仕事を両立しながらさらにキャリアアップを目指す人はもちろん、育児のために仕事を辞めた人にとっても資格取得などを通して再就職のチャンスを広げ、キャリアを積むことにつながります

教育訓練給付制度には、以下の3種類があります。

  • 一般教育訓練
  • 特定一般教育訓練
  • 専門実践教育訓練

それぞれの概要を解説します。

一般教育訓練

一般教育訓練は、厚生労働省が指定する職業の能力の向上を支援する講座が対象です。指定講座を修了した場合に、10万円を上限として講座受講費用の20%が支給されます。

対象講座は簿記や語学、ITパスポート、大学の修士や博士課程など多岐にわたり、通信教育で学べる講座もあります。

特定一般教育訓練

特定一般教育訓練給付金は、税理士、大型自動車第一種・第二種免許など、働く人の速やかな再就職やキャリアアップにつながると考えられる特定の教育訓練を受講で受け取れる給付金です。

対象講座を修了することで、1年に20万円を上限に受講費の40%が受け取れます。ただし、4,000円以下の場合は支給されません。

専門実践教育訓練

働く人の中長期的キャリア形成のため、専門的な知識や技術を学ぶ教育訓練が対象となるのが、専門実践教育訓練です。訓練受講中、年間上限を40万円として受講費用の50%が6か月ごとに最大4年にわたって支給されます。さらに、資格取得などに成功したうえで訓練修了後1年以内に就職した場合は、受講費用の20%(年間上限は16万円)が上乗せされます。結果、最大4年間、一年に最大56万円、受講費用の70%が支給される可能性がある制度です。

また、失業状態にある人や受講開始時に45歳未満の人などには、別途、教育訓練支援給付金が支給されることもあります。

対象講座には、看護師や介護福祉士、歯科衛生士などの専門職に就くための訓練や専門学校・専門職大学院などが含まれます。

教育訓練給付金を受け取れる条件と手続き

教育訓練給付金を受給するには、2つの支給要件を満たす必要があります。それぞれの支給要件について詳しく解説します。

  • 教育訓練給付制度の対象講座である
  • 雇用保険の加入期間を満たしている
  • 退職者の場合、退職から1年以内である

制度の対象講座である

教育訓練給付制度を利用するには、まずは対象講座を受講する必要があります。対象講座かわからない場合は、開催している教育機関に問い合わせるか、厚生労働省が提供している「教育訓練給付制度検索システム」を利用しましょう。

雇用保険の加入期間を満たしている

教育訓練給付金を受給するには、原則として雇用保険に3年以上加入している必要があります。ただし、初めての受給に限り、専門実践教育訓練給付金は2年、一般教育訓練給付金は1年以上加入期間があれば申請できます。

なお、雇用保険の加入資格は1週間の労働時間が20時間以上、31日以上継続して雇用される見込みがあることが雇用保険加入の条件です。正社員であれば被保険者である可能性は高いと考えられますが、パートやアルバイトで働いている人は給与明細などで確認することをおすすめします。

退職者の場合、退職から1年以内である

教育訓練給付は基本的には訓練受講時点で雇用保険の被保険者である人が対象ですが、退職により被保険者資格を失ってから1年以内の人も条件を満たせば給付金を受け取れます。また、特定の理由がある場合は退職から1年以上経っていても、給付金を受け取れる可能性があります。詳細は次の教育訓練給付制度を利用する際の注意点をご覧ください。

教育訓練給付制度を利用する際の注意点

資格取得などの費用を支援してくれる教育訓練給付制度ですが、利用には注意点もあります。特に、子育てなどのために仕事を辞めた人は、適用対象期間の延長が必要になる場合があるかもしれません。この項目を参考に、忘れずに手続きを済ませましょう。

妊娠・出産などで退職した人は適用対象期間延長手続きを

教育訓練給付制度を利用するためには、退職により雇用保険の被保険者でなくなってから1年以内に講座の受講を開始することが原則です。しかし、平成30年1月より、やむを得ない事情で1年以内に受講を始められない場合には、適用対象期間を延長できるようになりました。適用対象期間の延長ができるのは、妊娠・出産・育児のほか、病気やケガなどの理由で退職から1年以内に30日間以上、受講を始められない期間がある場合です。また、延長できる期間は最大19年間です。

適用対象期間延長申請は、30日間以上受講開始できない理由が発生してからできるだけ早くハローワークに提出することが原則ではあるものの、延長後の適用対象期間の最後の日まで受け付けるとされています。また、本人持参以外に代理人や郵送による申請も可能です。

申請はハローワークにて修了後1カ月以内に

教育訓練給付金の申請は、原則として住所地を管轄するハローワークにて本人が行います。郵送や代理人による申請は認められていません。申請には、教育訓練を終了した翌日から1カ月以内に、受講講座から発行される教育訓練修了証明書を本人確認書類などとともに提出する必要があります

講座を最後まで修了しなかった場合は修了証明書が発行されないため、教育訓練給付制度の対象になりません。また、教育訓練給付金が振り込まれるまで講座の受講費用は立て替える必要があることと、申請期限が1ヶ月と短いことにも注意しましょう。

まとめ

働く人のキャリア形成などを支援するための教育訓練給付制度を利用すれば、子育て中の人も費用負担を抑えながらキャリアアップができる可能性があります。育児のために一度退職し、再就職を目指す人も積極的に利用を検討しましょう。

この記事を参考に、厚生労働省の教育訓練給付制度検索システムなどを使い、どのような講座や訓練があるか調べてみてはいかがでしょうか。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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リアほMAGAZINE編集局

保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。

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