著名人・専門家コラム

2022.08.15

備えは必要?認知症患者は増えていくって本当?【住宅FP関根が答える!Vol.20】

みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。

みなさんも身近な人で認知症に罹患してしまった方っていらっしゃいませんか。認知症リスクというものは今現在普通に生活している私たちも特に心配をする病気の一つだと思います。認知症になってからの介護費用に家族への負担を考えると気が気じゃないですよね。今回はこのみなさんが恐れる認知症について解説いたします。

認知症の割合は?

厚生労働省の「第115回社会保障審議会介護給付費分科会資料」認知症施策の現状(平成24年)によると、65歳以上の高齢者人口が3079万人のうち認知症高齢者は約462万人程度、軽度認知障害(MCI)の人は約400万人程度と推計されています。認知症の患者だけで高齢者全体の約15%を占め、軽度認知障害を含めると、高齢者全体の約28%を占めることになります。

また、平成26年度 厚生労働科学研究費補助金(厚生労働科学特別研究事業)「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によると、2012年の認知症患者数は約462万人ですが、今後も各年齢層の認知症有病率が2012年以降も上昇すると仮定した場合、2030年には約830万人程度、2060年には約1154万人程度の方が認知症有病となることが予想されています。かなりの数の方が認知症となってしまいますよね。認知症患者数だけで見ると2012年から2030年の18年間で約1.8倍。2012年から2060年の58年間で約2.5倍へと患者数が増加することになります。

なぜ認知症患者は増えていくの?

認知症患者が増えていく一番大きな原因としてはやはり高齢者の数が増えていくことだと思います。また、平均寿命が延びていることもあり、認知症罹患後も生存している期間が長くなっていることから必然的に認知症有病率が上がっていると予想されます。

一昔前に比べると高齢者の割合が増加していることはみなさんご存知かと思いますが、これからも高齢化が進んでいき高齢者の割合は増えていきます。この人口の変化を人口ピラミッドでお話いたします。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によると、2020年における人口ピラミッドのボリュームゾーンは45歳程度と、70歳から75歳程度の前期老年人口となります。両者ともほぼ同じくらいのボリュームとなっており、既に前期高齢者の割合は高いことが分かります。

2020年の人口ピラミッド図
※出典:日本の将来推計人口(平成29年推計)|国立社会保障・人口問題研究所

次に2050年の人口ピラミッドと比較してみます。30年でどのようにピラミッドは変わっていくでしょうか。

2050年の人口ピラミッド予想図
※出典:日本の将来推計人口(平成29年推計)|国立社会保障・人口問題研究所

ボリュームゾーンが70歳から80歳の層のみへと変化します。2020年の時にボリュームゾーンとなっていた45歳前後の方が30年後に75歳前後となり、人口としては一番多くなります。また、後期老年人口も大幅に増え、人口全体の高齢者の割合が増えます。さらに、2020年のときにはまだ生産年齢人口にもボリュームゾーンがありましたが、2050年は新たな人口のボリュームゾーンが増えることはなくどんどん少子化が進んでいき、少子高齢化特有の人口ピラミッドの形であるつぼ型となっていきます。

認知症と軽度認知障害(MCI)の違いって?

軽度認知障害とは物忘れなどはあるが、日常生活に支障がなく、認知症と診断できない状態とされており、健康な状態と認知症の間の症状で認知症の前段階として考えられています。

また、軽度認知障害から軽度認知症は、1年で10%、5年で40%の割合で移行すると考えられています。認知症へと移行してしまった場合には症状が解消することはほぼありませんが、軽度認知障害の状態で発見できれば、16~41%の割合で、もとの健康な状態へと回復することもできます。やはり、認知症になる前に予防することが非常に重要です。普段から頭を使うことは認知症の予防にもなりますが、軽度認知障害と言われたときにはより一層頭を動かし認知症に発展しないようにするのはもちろん、症状を改善し、より健康寿命が延びるようにしましょう。定期的な検査をすることで早期発見することできれば前述したように症状を解消することができる可能性が高まります。

しかし、やはり気をつけていても認知症になってしまうことはあります。その心配をぬぐうこともできません。そういった心配を少しでも解消することができるのが保険です。家族にお金の心配をさせないことも大切です。そういった認知症に対する保険もあります。

認知症と診断され介護が始まると介護用のベッドの購入費がかかったり、家のリフォーム代がかかったりと、非常に大きなお金が必要になります。そういった介護始まりの大きな出費に使える認知症一時金といった保障があります。また、認知症の診断でなくても、軽度認知障害一時金などもあり、準備する時間を有意義に使うことができます。さらに、本格的な介護が始まってからは介護年金を終身で受け取ることのできる保険もありますので、ご自身の感じるリスク、用意できる金額や介護の方法など今一度老後を見直してみてはいかがでしょうか。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直

ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。

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