著名人・専門家コラム

2022.05.12

フリーランスだからこそ「もしも」への保障を。おすすめの保険を考える【FPコラム】

フリーランスという言葉がすっかり馴染みになった昨今。フリーランスへ仕事を紹介するランサーズ社の調査によると、2021年現在フリーランスは全国で約1577万人、GDPならぬ発生経済規模は23.8兆円といわれています。フリーランスはよく「会社員」と対称に置かれますが、出勤・定時義務をはじめもろもろ制約が多い会社員に比べ、自由な毎日を送ることができるという印象があります。

そもそも会社員は「もしも」を保障されているのか

まずフリーランスと比較するために、もしもの際に会社員や公務員は何が優遇されているのかを分析しましょう。この場合の「もしも」とは、突然の病気やケガを指します。

労災と組合による保障

会社員への保障は、労災と組合による保障に大別されます。まず労災は、業務が原因の病気やケガに対して、治療費として保険金を受け取れるものです。厚生労働省が管轄しています。一方の組合は公的健康保険制度を運営しているもので、加入している会社の従業員は毎月健康保険料を支払う代わりに、もしもの時に傷病手当金などの保障を受けられます。また軽微な病気やケガであれば、年ごとに付与される有給休暇を活用できます。そのほかにも残業環境などがハードな職場にいて、体調の悪化を受けて定時退社の多い場所に異動するといったフォローも会社員のメリットといえるでしょう。総じていえることは、会社員は全体から見てリスクが低いという特徴があります。

フリーランスには基本保障はない

一方のフリーランスは、会社員のような企業への所属や保険料支払がない以上、基本的には保障の対象ではありません。当然ながら有休も受注案件が継続する保障もないため、「もしも」が起こったときに対しては各自が考えて自分に何かあったときのための準備を継続的にする必要があります。

フリーランスの保障は独身か既婚かで異なる

フリーランスの場合、軸は国民健康保険+医療保険で考えます。国民健康保険は協会けんぽの対象にならない人が加入する公的健康保険制度です。フリーランスの方はまず、この国民健康保険に必ず加入するようにしましょう。通院の際に医療費の自己負担額が3割となるのもこの制度によるものであり、保障内容も協会けんぽと大きく変わりません。忘れずに加入しましょう。

生命保険の必要性については公的保障があるため、フリーランスだから会社員だからではなく、公的保証にプラスして生命保険からどれだけの保障が必要かを考えます。年齢や収入、預貯金の額や家族の扶養義務をふまえて生命保険の加入を検討しましょう。もうひとつは既婚と独身のフリーランスごとに考え方が異なります。

既婚のフリーランスは任意継続被保険者を上手に活用する

フリーランスの開始時に会社を退職している人も多いと思いますが、その時に活用できるのが任意継続被保険者の制度です。この制度は、退職時点で加入していた協会けんぽの加入を、フリーランスになっても2年間継続ることができます。ただ、協会けんぽと国民健康保険はそれほど保障内容が変わらないなら、任意継続に加入するメリットは何があるのでしょうか。

仮に夫婦ともにフリーランスの場合、どちらも国民健康保険には加入しなければなりません。当然、毎月の保険料も二人分です。一方の任意継続の場合、保険料を支払うのは退職者のみで、配偶者は公的健康保険の「第3号被保険者」として保険料の支払義務なく公的健康保険の保障を受けることができます。任意継続は退職後2年間利用でき、終了後は国民健康保険に加入する必要がありますが、月あたり約15000円の保険料を2年間納付せずに保障を受けられるのは家計にも大きなメリットです。

独身のフリーランスは収入保障がおすすめ

では独身のフリーランスはどうでしょうか。独身の場合、病気やケガによってもっとも怖いのは収入の減少です。共働きに比べて家族のフォローが無く、預貯金の余裕がない場合は特に生活苦へと直結します。この対策として収入保障保険がおすすめ。この保険は病気やケガによって収入が不安定になった時に収入相当分を保障するもので、保険会社によっては就業不能保険とよばれることもあります。

まとめ

このようにフリーランスは特別な保障が必要と思いがちですが、年齢や収入、家族構成などによって生命保険のニーズは変わってきます。自身の環境を分析して保険加入を検討しましょう。また最新は「フリーランス協会」のように、立場の近いなかで集まりコミュニティをつくる動きが活発化しています(ITフリーランス協会など複数のコミュニティがあります)。そのなかで周囲がどのような生命保険に入っているのかはもちろん、「まさかの事態」についてどう動いているか聞いてみましょう。自分の保障環境整備にも繋がる貴重なヒントが得られることと思います。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤崇

FP-MYS代表。ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。(執筆実績はこちら:https://fori.io/takashi-kudo)

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