著名人・専門家コラム

2024.12.06

AIと医療現場シリーズ第四弾~医療のDX化はいかに~【住宅FP関根が答える!Vol.127】

みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
過去3回に分けてAIと医療現場シリーズとしてやってきました。AIと医療現場は相性が良く、特に医師の行う診察や診断、薬の処方にはより安全に効率化が図れると予想されています。しかしながら医療現場へのAIの進出は医師業務だけではありません。今回は医師の業務以外でのAI活用、医療のDX化についてお話していきたいと思います。

前回までのAIと医療現場シリーズはこちら▼

医師業務以外のAI活用・DX化

様々な改革により医師の仕事は以前に比べ軽くなってきましたが、その分、有資格者である看護師、薬剤師などの仕事の負担が増えているという話をよく耳にします。看護師や薬剤師の仕事の負担を減らすことは今後も難しいのでしょうか。答えはNOです。 

現状、看護師さんで例を挙げるとすれば看護師さんというのは本来患者さんの看護をするというのが仕事です。しかしながら、実際にはインシデントレポートや事務作業なども多く、看護をするということだけが仕事ではないということです。病院ではインシデントがあれば命に関わることもあり、インシデントレポートを書く必要があります。このインシデントレポートは、経験の浅い看護師さんにとっては、とても重たい事務作業になります。こういった一つ一つの事務作業がいまだに手作業で行われており、医療のDX化が進んでいない状況となっています。そのため、医療従事者が医療そのものに集中できていないことがあります。しかしながら雑務は人間よりもAIの方が得意です。AIは24時間、常に単純作業を行うことができます。

みなさんのなかでも使っている方も多いかもしれませんが、現在では音声入力の技術は常に発達しています。しかしながら、日々のスマートフォンへの音声入力は使用するのに、医療現場には広がっていないという現状があります。患者の症状や様子などの聞き取りをしながらタイピングをするその時間ももったいないです。本来であればその話の内容をAIに記録させ、その間にできる看護をすれば患者一人にかける時間を減らすことができるようになります

これは日々の看護記録だけでなく、電子カルテなどにも言えることです。医師がタイピングをしている時間にも音声入力をさせればより患者を診る時間が増えていきます。また電子カルテにするということは入力する時間を省けるだけではありません。

現在、患者が転院するときの書類は基本的には紹介状を書き共有しています。しかしながら今までの履歴をすべて伝えることは難しく、紹介状だけでは不十分なところがあります。そういったカルテの情報などもすべて共有できることが理想ではありますが、片方の病院が手書きのカルテ、もう片方が電子カルテといったように、使用するシステムが病院ごとに異なるため、統一性が取れないのが現状です。

では厚生労働省からDX化を図るべく、サポートなどはないのでしょうか。政府は電子カルテの義務化を2030年までに行うようにと通達しているようですが、現実には実現できない病院もあると思われます。2030年まであと5年と少し、それまでにすべての病院で電子カルテの導入という構造は出来上がらないと考えられている1番の理由は病院の経営難です。

独立行政法人福祉医療機構が調査した「2020年度(令和2年度)病院・診療所の経営状況(速報)」によると、コロナ患者の受入れを実施した一般病院の経営状況において、2019年度は赤字経営をしている病院の割合は43.4%と、もともと赤字病院の割合は高かったですが、2020年度にはさらに上がり、63.6%にもなっています。新型コロナウイルスは全国の病院に混乱と経営難を招きました。一口に病院と言っても、総合病院から個人経営の院長のみしか医師のいない病院など、様々な規模の病院があります。しかし近年の病院の多くは経営的に間に合っていません。

※参考:2020 年度(令和 2 年度)病院・診療所の経営状況(速報)|独立行政法人福祉医療機構

かけなきゃいけない人件費、記録的な物価高に様々な設備の維持費、そもそも大きな初期費用がかかっています。厚生労働省の令和5年「第24回医療経済実態調査」によると、医療法人一般病院における支出の割合は給与費が約57%、医薬品費が約13%、診療材料費・医療消耗器具備品費が約10%、医療機器の維持管理や更新にかかる設備関係費が約4%、光熱費とその他の運営費用を合わせて約16%という内訳になっています。病院は組織的に大きな規模となるため、少しずつ増えていく出費が大きな金額となっていきます。これらの支払いに対して診療報酬が足りていないという現状があります。

※参考:第24回医療経済実態調査|厚生労働省

今までは医療現場においてAIを利用する機会がなかったため、知識をつけようとも知ろうとする必要もありませんでした。しかしながらこのままではいけません。AIは現在の煩雑している事務作業の手助けをし、人間にしかできない仕事を人が行うことにより、一番大きな出費である人件費を抑えることにもつながります。

まずは電子カルテの義務化から始まり、音声入力やデータ処理など、様々な医療現場における事務作業にもAIは活用されるようになっていくことになるでしょう。今後はAIを使いこなせる医療従事者と、使えない医療従事者、2極分化されるのではとも言われています。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直

ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。

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