生命保険の選び方
2022.04.05
積立保険ってどうなの?おすすめの貯蓄型保険や注意点【FP監修】
生命保険にはさまざまな種類があり、支払った保険料の扱いによって「貯蓄型保険」と「掛け捨て型保険」に分けられます。
本記事では、貯蓄型保険の一種である毎月の保険料の一部を積み立てる積立保険について解説します。
目的に合わせたおすすめの積立保険も紹介するので、参考にしてください。
積立保険とは
積立保険とは、生命保険のメインの機能である「保障」に加えて、毎月の保険料の一部を積み立てる「貯蓄」の機能もある生命保険です。
保険契約が満期を迎えた際に受け取れる「満期保険金」や保険契約を解約した時に受け取れる「解約返戻金」があるため、保障と貯蓄が両立します。
掛け捨て保険との違いは?
生命保険を「保険料の扱い」に着目して分類すると、貯蓄型保険と掛け捨て型の保険に分けられます。
積立保険は貯蓄型保険の一種です。
掛け捨て型の保険は、満期保険金や解約返戻金がほとんど、あるいは、まったくない保険です。
貯蓄型保険が「保障 + 貯蓄」の機能を有する保険であるのに対して、掛け捨て型の保険は「保障」のみの機能を有する保険です。
機能が保障のみであるため、掛け捨て型保険の方が貯蓄型保険よりも保険料は割安です。
満期を迎えるまで、あるいは、解約するまで、保険金を受け取らなかった場合、保険料は返ってきませんが、貯蓄型よりも保険料は安いため、節約した保険料分は自由に使えます。この節約分を利用して貯蓄する人もいるでしょう。
積立保険の種類とおすすめの積立保険は?
積立保険には、積み立てたお金の受け取り方や運用方法によって種類が異なります。
代表例は以下の通りです。
- 終身保険
- 養老保険
- 個人年金保険
- 学資保険
- 外貨建て保険
それぞれの特徴とおすすめの人について解説します。
一生涯の死亡保障と貯蓄を両立したい人向けの終身保険
死亡保障は一生涯続くため、終身保険には満期が存在しません。
そのため、満期保険金もありません。
亡くなる前に解約すると解約返戻金を受け取れることから貯蓄型保険の一種です。
解約返戻金の額は保険料の支払金額と払込期間に応じて決まります。
保険契約が長く続くほど、解約返戻金は増えますが、一定期間までは支払った保険料の総額よりも少ないです。
特に、契約直後に解約すると、受け取れる解約返戻金は支払った保険料の総額よりも大幅に少なくなる点には注意が必要です。
また、低解約返戻金型終身保険と呼ばれる、一定期間の解約返戻金を低くする代わりに、毎月の保険料が少なくなる終身保険もあります。
終身保険で貯蓄を考える方は、解約返戻金が支払った保険料の総額を超える時期を把握しておきましょう。
一定期間の死亡保障と貯蓄を両立したい人向けの養老保険
養老保険は定期保険の一種ですが、保険料は掛け捨てではなく、満期を迎えると満期保険金を受け取れる保険です。
子どもが独立するまでの期間の死亡保障を確保しつつ、子どもが独立した後も生き続けていることを想定し、満期保険金を老後資金に充てる、といった使い道があります。
死亡保険金と満期保険金が同額のものが多いです。
ほかの生命保険と比較したときに、保険料の負担が大きい保険であるため、契約時に保険料の支払いが問題ないかご確認ください。
将来に備える個人年金保険
個人年金保険とは、公的年金とは別で私的年金を形成するための貯蓄型保険です。
支払った保険料を運用した成果を老後に受け取ることができ、公的年金だけでは不足する部分を補う目的で活用します。
保険金の受け取り方には「確定年金」「有期年金」「終身年金」の3つがあります。
「確定年金」は被保険者である年金を受け取る人の生死を問わず、一定期間だけ年金を受け取れるタイプです。
被保険者が亡くなった場合、あらかじめ指定した遺族が年金を受け取ります。また、確定年金の場合、一時金として一括で受け取ることもできます。ただし、年金形式で受け取る際と比較すると受取額は減少します。
「有期年金」は被保険者が生きている間の、一定期間だけ年金が受け取れるタイプです。
一定期間が経過すると、年金の支払いが停止し、一定期間内に被保険者が亡くなっても遺族は年金を受け取れません。保険料は割安に設定されているものの、亡くなるタイミングによっては元本割れが起きます。
「終身年金」は被保険者が生きている限り、年金が支払われるタイプです。
こちらも早めに亡くなると、保険料総額分を受け取り切れない状況が起きます。
子どもの学費準備なら学資保険
学資保険は子どもの学費を準備するための保険です。
子どもが小学校、中学、高校、大学と進学するタイミングで祝い金が給付され、そのお金を進学費用に充てられます。
加えて、保険料を支払っている親が万が一のことがあった場合、以後の保険料の支払いが免除されつつも、給付金を受け取れます。子どもの学費を確実に準備したい方におすすめの貯蓄型保険です。
積立保険の保険料の運用方法
保険会社は私たちが支払う保険料の一部を運用します。
その運用方法によって、積立保険の給付額は大きく変わります。
注意点としては、給付額が高くなる可能性がある運用方法は、元本割れする可能性もある、という点です。
加入予定、あるいは、すでに加入している終身保険や個人年金保険などが、どのように保険料を運用しているか確認してみてください。
通貨分散に外貨建て保険
保険料を米ドルなどで運用する保険を外貨建て保険と言います。
日本よりも利率が高い国の通貨で運用するため、給付額が高くなる期待が持てます。
注意点としては、受け取れる保険金は外貨であるため、受け取り時の為替相場によっては元本割れする可能性があります。
例えば、解約返戻金が1万米ドルで、払い込み保険料が100万円だったとします。
1米ドル = 110円の時に受け取ると…
1万米ドル × 110円で、解約返戻金は日本円換算すると、110万円です。
1米ドル = 90円の時に受け取ると…
1万米ドル × 90円で、日本円換算すると90万円です。
このように、受け取り時の為替相場によっては元本割れが起きるリスクがあります。
リスクをとって運用する変額保険
本来積立保険は、日本国債など、価格変動がほとんどなく、元本割れのリスクが低い金融商品で運用するのが一般的です。
しかし、変額保険の場合は、保険料の一部を投資信託などで運用します。
死亡保障には「基本保険金」と呼ばれる最低保障が設けられており、運用成績によって上乗せされます。
保険会社の運用成績によって、保険金や解約返戻金などが多くなる、あるいは、少なくなる商品です。
死亡保障が必要ない方であれば、自分で運用することと比較して変額保険を検討してください。
まとめ
積立保険とは、毎月支払う保険料を積み立てて、満期を迎えた際かつ解約した際に一定額を受け取れる保険です。
「保障 + 貯蓄」であるため、保障のみの掛け捨て型の保険と比較すると保険料は割高です。
積立保険にはいくつか種類があり、貯蓄の目的に合わせて最適な貯蓄型保険を選択しましょう。
契約する際は、保険料がどのように運用されるか、という点にも着目してください。
積立保険は貯蓄が苦手な人でも着実に資産を形成できる点で、おすすめの保険です。
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。日本FP協会AFP認定者。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。