保険の基礎知識
2022.04.20
がんの治療費はいくら必要?医療費とその他の費用を解説
がんでは多くの治療費がかかりそうだというイメージがあっても、実際のところどれくらいの金額が必要なのか知っている人は多くないでしょう。がん治療では治療のための医療費以外の費用もかかるため、わかりにくい面があります。
この記事では、がんにかかる費用の例を解説し、費用を抑えるために利用できる公的保障についても紹介します。また、がんの治療費に備えられるがん保険の選び方もまとめました
この記事を読むと、がん治療に必要な費用がわかり、もしもの時へ備えられるようになるでしょう。
がん治療でかかる費用とは
がん治療では入院・通院での治療にかかる直接の医療費以外にも、病院までの交通費や入院中の日用品代など医療費以外の費用もかかります。
厚生労働省が実施した「平成29年 患者調査の概況」によれば、がんによる入院は平均17.1日です。また、生命保険文化センターが実施した「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、入院一日あたりの医療費(自己負担分)は約23,000円です。そこで、先ほどの平均入院日数とかけ合わせると、がんによる入院では一回あたり約40万円の費用がかかると考えられます。
また、先進医療のように健康保険が適用されない治療では、一度に数百万円もかかるものもあります。このように、がん治療でかかる費用は治療法などによっても異なるため一概に言うことはできませんが、数十万円から数百万円が必要だといえるでしょう。
次の項目から、がんの治療で必要な費用を医療費とそれ以外に分けて紹介します。
がん治療のための医療費
がん治療のために医療費として必要になる費用には、以下のようなものがあります。
- 診察代
- 入院費用
- 手術費用
- 各種の検査費用
- 薬代
- 抗がん剤などの費用
- 先進医療の技術料など
このうち、どの費用がどれくらい必要になるかはがんの種類や進行度(ステージ)によって異なります。
がん治療でかかる医療費以外の費用
上記で挙げた医療費以外にも、がん治療で必要になる費用があります。
- 通院・見舞いのための交通費
- 入院中の日用品代
- 入院中の食事代
- 差額ベッド代
- 医療用ウィッグの費用
がん治療は長期にわたることも多く、自分の通院または入院中の家族を訪問するための交通費だけでも無視できない額になることもあります。また、入院中に個室を利用するための差額ベッド代や医療用ウィッグの費用なども、人によっては必要でしょう。
健康保険などの公的保障が適用される費用・されない費用
がん治療にかかる費用を大きく左右するといえるのが、健康保険適用の有無です。国民皆保険制度を採用している日本では、すべての人が何らかの公的な健康保険に入っており、原則として現役世代は3割の自己負担割合で医療を受けられます。
がん治療での医療費の多くに健康保険が適用されますが、なかには先進医療のようにかかった医療費を全額自己負担しなければならないものもあります。ここでは、健康保険が適用される費用と適用対象外のため全額が自己負担となる費用を紹介しますので、いざというときに慌てないように確認しておきましょう。
健康保険が適用される費用
健康保険が適用される費用には、
- 診察代
- 入院費用
- 手術費用
- 各種の検査費用
- 薬代
- 抗がん剤などの費用
などがあります。しかし、自己負担割合が3割とはいえ、入院や手術、抗がん剤などが必要になるがん治療の医療費は負担が大きいと感じる人は少なくありません。そこで、医療費の負担をさらに減らすために活用したいのが、健康保険の高額療養費制度です。
高額療養費制度は、1カ月のうちに一定以上の医療費の自己負担が発生した場合に、支払った医療費の一部が払い戻される制度です。この制度を利用すると、70歳未満の年収330~770万円の人が1カ月(1日から末日まで)に払う医療費は最大で87,430円*になります。
*高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省 より算出
全額自己負担する費用
がん治療では原則として健康保険が適用される標準治療が採用されることが多いのですが、患者本人が希望し、主治医の同意があれば標準治療以外の治療を受けることもできます。
標準治療以外の治療法とは、厚生労働大臣が承認した高度な医療行為を用いた治療である先進医療や、日本では承認されていない薬を使う自由診療などのことです。これらの治療法は保険の適用外のため、かかる費用は原則として全額自己負担であり、非常に高額になることがあります。たとえば、先進医療である陽子線治療や重粒子線治療では、1度の治療に約300万円かかることもあります。
そのほかに、
- 通院・見舞いのための交通費
- 入院中の日用品代
- 入院中の食事代
- 差額ベッド代
- 医療用ウィッグの費用
なども、健康保険が適用されません。特に差額ベッド代は病院によって異なり、1日数千円から数万円以上と幅があるため、可能であれば入院前に調べておくと良いでしょう。
なお、これらの健康保険が適用されない費用は、高額療養費制度の対象外であることにも注意しましょう。
がん治療費に備えるがん保険の選び方
がん治療では多くの費用がかかることを解説しました。医療費などの費用は、公的保障や貯蓄でまかなうのが原則です。しかし、若い世代や支出が多い子育て世代のように貯蓄が少ない場合は、もしもの時に足りない分を保険で備えることを考えてみましょう。
ここでは、がん保険で備えたい費用別に、おすすめの保障内容を紹介します。がん保険を選ぶ際の参考にしてください。
医療費に備える
がんの医療費に備える保障には、
- 入院給付金
- 通院給付金
- 手術給付金
などがあります。これらの保障では入院や通院、手術で給付金が受け取れるため、がん治療でかかった医療費をカバーするのに役立つでしょう。
全額自己負担する費用に備える
がん治療のための、医療費以外の費用や健康保険が適用されない医療費に備える保障としては、
- 診断給付金(診断一時金)
- 先進医療給付金
などがあります。
診断給付金(診断一時金)では、がんと診断された際にまとまった金額が受け取れるため、入院準備にも活用できます。また、先進医療給付金は先進医療でかかる費用を保障するため、治療の選択肢が広がるでしょう。
なお、前項で紹介した入院給付金は入院中の差額ベッド代をカバーするのにも役立ちます。
まとめ
がん治療には医療費だけでなく、さまざまな費用が必要です。また、医療費のなかにも健康保険が適用されるもの・されないものがあり、それが治療でかかる費用が人によって異なる理由でもあります。
高額療養費制度のような公的保障があるとはいえ、がん治療には多くの費用がかかります。そのため、貯蓄が十分でない場合はがん保険の活用も検討しましょう。
この記事が、がん保険を選ぶ参考になれば幸いです。
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リアほMAGAZINE編集局
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