保険の基礎知識
2023.07.14
医療保険の定期タイプと終身タイプはどう違う?特徴とおすすめな人を解説【FP監修】
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。
医療保険は保険期間から定期タイプと終身タイプの大きく2つに分けられます。定期タイプと終身タイプは、保障内容はほぼ共通していますが、保険期間および保険料に違いがあります。そのため、どちらを選べば良いのか迷う人もいるでしょう。
この記事では、医療保険の定期タイプと終身タイプの特徴やメリット・デメリットを比較したうえで、それぞれどのような人におすすめかを解説します。医療保険の定期タイプ・終身タイプの違いを知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
医療保険の定期タイプ・終身タイプとは
医療保険は、大きく分けると定期タイプと終身タイプに分類できます。2つの違いは保障が続く期間である保険期間ですが、ほかにも違いがあります。ここではまず、定期タイプと終身タイプの違いや特徴を見てみましょう。
定期タイプの特徴
定期タイプの医療保険とは、保険期間が限定されている保険です。保険期間は10年〜20年など年数で区切られているものや、60歳や65歳など、年齢で区切られているものがあります。保険期間が限定されている分、同じ年齢や健康状態であれば終身タイプよりも保険料が安いという特徴があります。
定期タイプの医療保険では保険期間が終了すると保障が受けられなくなりますが、引き続き保障を受けたい場合は更新も可能です。ただし、保険料は更新時の年齢などで再計算されるため、保障内容などに変化がないとしても、更新するたびに保険料は高くなります。
なお、定期タイプの医療保険を更新できる年齢には上限があり、多くの商品で上限年齢を70代〜80代に設定しています。そのため、一生涯続く保障が必要な場合は、定期タイプの医療保険は向いていません。
終身タイプの特徴
終身タイプの医療保険は、一度加入すると、解約しない限り生涯にわたって保障を得られるのが特徴です。また、定期タイプとは異なり、更新がないため、保険料が上がることはありません。
加入時の保険料は終身タイプのほうが定期タイプよりも高いことが多いとはいえ、同じ保険料がずっと続くことから、長期間加入し続ける場合は支払う保険料の総額が安くなる場合もあります。なお、医療保険は掛け捨て型が一般的です。死亡保険とは異なり、終身タイプでも解約返戻金がない商品が多いことは覚えておきたいポイントです。
終身タイプの医療保険は保険料の支払い方でさらに2つに分けられます。ひとつが一生涯保険料を支払い続ける終身払い、もうひとつが一定期間で保険料の支払いを終了させる短期払いです。
毎月の保険料を抑えたい人には終身払いがおすすめですが、現役時代よりも収入が減る定年退職後も保険料を払い続けるのが難しいと考える人には短期払いがおすすめです。
短期払いの場合、毎月の保険料が終身払いよりも多い代わりに、60歳や65歳など一定の年齢になるとそれ以降の保険料は不要になります。
どっちがおすすめ?医療保険の定期タイプと終身タイプ
定期タイプと終身タイプは保険期間による分類ですが、以下の表にあるように、保険料にも違いがあることを解説しました。
定期タイプ | 終身タイプ | |
保険期間 | 一定期間 | 一生涯 |
加入時の保険料 | 同じ保障の終身タイプと比べて安い | 同じ保障の定期タイプと比べて高い |
保険料の変化 | 更新するたびに高くなる | なし |
ここでは、定期タイプと終身タイプの大きな違いである「保険期間」と「保険料」から、それぞれがおすすめな人の特徴を見てみましょう。
定期タイプの医療保険がおすすめな人
定期タイプの医療保険は、以下の3つのどれかに当てはまる人におすすめです。
- 特定の時期だけ手厚い保障で備えたい人
- いまの保険料をできるだけ安く抑えたい人
- 定期的に医療保険を見直したい人
定期タイプの医療保険は、あらかじめ保険期間が決まっている代わりに、各種条件が同じ場合の終身タイプよりも保険料の負担を抑えることができます。そのため、子どもの教育費がかかる時期や貯蓄が少ない若い時だけなど、特定の期間だけもしもの時に備えて医療保険に入りたい人に向いています。
また、定期タイプは保険期間が決まっているため、見直しのタイミングがつかみやすいといえます。ライフステージの変化によって必要な保障も変わるため、保険は入りっぱなしにせずに定期的に見直しすることが大切です。
終身タイプの医療保険がおすすめな人
終身タイプの医療保険がおすすめな人を紹介します。
- 一生涯の医療保障を得たい方
- 長い目で見た時に支払う保険料の総額を抑えたい方
- 安価の保険料が適用される若年層の方
終身タイプの医療保険は、一度加入すると解約しない限り、医療保障が得られるのが最大のメリットです。一般的に年齢が上がるほど病気やケガのリスクが高まることを考えると、高齢になってからのほうが医療保険を利用する機会は増えるといえますが、定期タイプの医療保険は70代・80代以降では更新が難しくなります。
また、加入時の保険料を比較すると、各種条件が同じ場合、終身タイプは定期タイプよりも高いですが、加入後に保険料が変わらないため、長期間加入すると支払う保険料の総額は定期タイプよりもむしろ安くなることもあります。特に、保険料が安い20代・30代のうちに加入すると、将来リタイアしたあとも払い続けやすいでしょう。なお、リタイア後の保険料の負担をなくしたい場合は、短期払いを選択するのもおすすめです。
まとめ
医療保険の定期タイプと終身タイプとは、保障期間による分類です。定期タイプは保険期間が限定されており、継続したい場合は更新が必要です。一方、終身タイプは解約しない限り、保障が続くため、生涯にわたって保障を得ることもできます。定期タイプの場合は、更新可能年齢に上限があるため、70代や80代以降になると保障がなくなってしまうかもしれません。
また、保険料の面で見ると、保障額など各種条件が同じ場合、加入時点の保険料は定期タイプが安く、終身タイプが高いという違いもあります。そのため、いまの保険料負担をできるだけ抑えたい人や一定期間だけ医療保障がほしい人などには定期タイプの医療保険がおすすめです。
しかし、定期タイプは更新のたびに保険料が上がる一方、終身タイプは保険料が変わりません。そのため、長い目で見ると終身タイプのほうが保険料を抑えられ、さらに病気やケガのリスクが高まる年齢になってもしっかりと保障を受けられます。
この記事を参考に、自分のライフプランに合った医療保険を検討しましょう。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
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