保険の基礎知識
2022.04.19
医療保険の特約にはどのようなものがある?種類と選び方を解説【FP監修】
保険の主契約に対して保障を上乗せしたり、特定の条件で給付金を受け取ったりできる特約は、保険の保障を一人ひとりのニーズに応じてカスタマイズできる便利なしくみです。しかし、特約にはさまざまな種類があるため、どの特約が自分に必要なのか迷ってしまう人もいるでしょう。
この記事では、医療保険の特約の種類と選び方を解説します。
特約を活用し、自分に合った保障を得たい人はぜひ参考にしてください。
医療保険の主契約と特約
医療保険に限らず、保険商品には「主契約」と「特約」があります。
主契約とは、その保険商品のベースとなる保障です。
医療保険で言えば、入院給付金や手術給付金が該当します。
保険に加入する際は、主契約の保障は必ず契約する必要があります。
特約とは、主契約とは別で付加するオプションのような保障です。
特約の種類によっては、途中で付加すること、途中で特約だけの解約もできます。
一方で、契約時にのみ設定できる特約もあります。
契約時のみ設定できる特約や途中で付加できる特約は契約前に確認しておきましょう。
保険商品のベースは主契約なので、主契約が満期・解約などで消滅すると、特約も同時に消滅します。
特約を活用することで、保険の保障内容を充実させ、より被保険者のニーズに合うようにカスタマイズできます。
医療保険の特約の種類
医療保険の特約にはさまざまなものがあります。ここでは、特約の目的ごとに
- 主契約の上乗せ
- 特定の疾病や治療法に備える
- その他
の3種類に分けて紹介します。
主契約の保障を上乗せする
医療保険の主契約である入院給付金や手術給付金について、特定の条件下で給付金を上乗せする特約を紹介します。
- 生活習慣病特約
所定の生活習慣病を原因とする入院・手術の際に給付金の額が上乗せされる特約です。対象となる生活習慣病は商品によって異なるため、契約前に確認しましょう。 - がん特約
がんにかかった場合に通常よりも手厚い保障が受けられる特約です。たとえば、がんによる入院・手術では給付金額が上乗せされたり、入院日数に関係なく給付金が受け取れたりします。通常、医療保険の入院保障では給付金が受け取れる入院日数に上限がありますが、元特約はがんによる入院が長期化しやすいことに対応しているのです。
ただし、契約開始から一定期間(3ヵ月や6ヵ月など)は保障の対象外となる点や上皮内新生物(上皮内がん)など、がんの範囲が商品によって異なる点には注意が必要です。 - 女性疾病特約
乳がんや子宮筋腫など、所定の女性特有の病気による入院・手術で給付金額が上乗せされる特約です。切迫流産や帝王切開のような妊娠・出産時のトラブルによる入院や手術も対象です。
特定の疾病や治療法に備える
特約のなかには、特定の病気や特定の治療法を受けた際に給付金を受け取れるものがあります。
- 特定疾病保障特約/三大疾病保障特約
日本人の死因として多い「悪性新生物(がん)」「心疾患」「脳卒中」の三大疾病に備える特約です。これらの病気により所定の状態になった際に、一時金としてまとまった給付金を受け取れます。受け取った給付金は治療費として使うほか、治療や後遺症による収入減少を補うためにも利用できます。ただし、給付金が支払われる条件は保険会社によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。 - 先進医療特約
厚生労働大臣が認める所定の先進医療を受ける際に、給付金を受け取れる特約です。先進医療は高額なうえに、健康保険が適用されないため、その費用は全額を自己負担する必要があります。先進医療が適用されることが多いがんやアルツハイマー型認知症などにおいて、先進医療特約があれば治療の選択肢が広がるでしょう。 - 介護一時金特約
要介護状態になった際に、一時金としてまとまった給付金を受け取れます。要介護状態と認定される条件は保険会社によって異なるため、加入前に確認が必要です。
その他
すでに説明した2つに分類されない特約を紹介します。
- 保険料払込免除特約
「悪性新生物(がん)」「心疾患」「脳卒中」などで所定の状態となった際に、以後の保険料の支払い義務が免除される特約です。
がんのような病気では治療や後遺症のために収入が減少することがありますが、保険料の支払いがなくなるため、経済的な負担が軽減されます。保険料の払い込みが不要になる条件は保険会社によって異なりますが、多くは国民年金法に基づく障害等級に認定された時や就労不能状態と認められた時を条件としています。 - 入院一時金
病気やケガによる入院時に、入院日数に関係なく一時金としてまとまった金額を受け取れます。 - 通院特約
入院前、退院後の通院に対して、通院日数に応じて給付金を受け取れる特約です。入院を伴わない通院では支給されませんので注意しましょう。
医療保険の特約の選び方と注意点
医療保険にはさまざまな特約がありますが、自分に必要な特約はどのように選べば良いのでしょうか。特約の選び方を解説します。
必要な保障を考える
特約を付加することによって、もしもの時に手厚い保障が受けられるようになりますが、その分保険料は高くなります。そのため、闇雲に特約を契約することはおすすめできません。
特約の必要性を考えるには、まず自分や家族の年齢や経済状況などから必要な保障額を洗い出しましょう。本来、保険は主契約だけでも最低限の保障が受けられるように設計されています。自分の必要保障額と主契約の保障額を比較し、足りないと考えられる部分があれば特約で補うことを考えましょう。
保険料の予算を決める
特約を選ぶ前に、月々の収入などから無理なく支払い続けられる保険料の予算を決定しましょう。特約を申し込む際には、主契約と特約の保険料の合計が予算を超えないようにします。特に、定期タイプでは更新のたびに保険料が上がる点も考慮に入れるのが良いでしょう。
保障が必要な期間について考える
主契約が終身タイプでも、特約は保障期間が限定されている定期タイプであるように、特約と主契約の保障期間が異なることがあります。また、特約のみを解約できることも多いため、特約の保障が必要な期間を契約前に考えておきましょう。手厚い保障が必要な期間だけ特約で備えることで、保険料の無駄を省けます。
まとめ
医療保険の特約にはさまざまなものがあり、主契約とうまく組み合わせることで保障を充実させられます。
しかし、特約を付加させすぎると、保険料が高くなってしまいます。特約を選ぶ際は、本当に自分にとって必要な保障かということや、いつまでその保障が必要かといった点に注意することが大切です。
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。日本FP協会AFP認定者。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。