契約前に知っておきたい
2021.09.21
生命保険に加入してすぐに死亡してしまったケース
「生命保険に加入してすぐに亡くなった場合って保険金を受け取れるの?」
という疑問を持つ方もいらっしゃるかと思います。
本記事では契約後、すぐに死亡してしまったケースの保険金の扱いや保険金を受け取れないケースについて解説をします。
万が一のときに慌てないように、事前に保険金を受け取れるケース、受け取れないケースについての理解を深めましょう。
責任開始日以降は保険金を受け取れる
生命保険会社が契約上の責任を開始する日のこと(保障がスタートする日)を責任開始日といいます。
保険会社によっては、責任開始期と呼んでいる場合もありますが同じ意味です。
生命保険(いわゆる死亡保険)は、保険金が支払われる事由として「保険期間中に被保険者が死亡したとき」と定められています。原則として保険期間中の死亡で責任開始日以降に被保険者が亡くなった場合、その原因と問わず保険金の支払対象となります。
※ただし、保険制度の健全な運営が妨げられることを防ぎ契約者間の公平性を保つため、保険会社が保険金を支払わなくてもいい免責が約款で定められています。免責については、次の章でいくつか例をあげて解説します。
生命保険の保障はいつから始まる?
責任開始日は、
・保険契約の申し込み手続き
・告知(診査)
・第1回目の保険料の払い込み
の3つの手続きがすべて完了したいずれか遅い日です。
注意点として、申し込みした内容と告知(診査)に基づいて、生命保険会社が契約を「承諾」する必要があります。保険会社が承諾しなければ、3つ手続きが完了していても結果的に保険に入れないケースがありますので、必ず確認しましょう。
生命保険会社が契約を承諾した場合は、・保険契約の申し込み手続き、・告知(診査)、・第1回目の保険料の払い込みのいずれか遅い日にさかのぼって、保障が開始されます。
1回目の保険料を払う手段として、最近はクレジットカード払いが多くなってきました。また、生命保険会社によっては、・第1回保険料充当金の払込みを口座振替にする取扱いがあります。その場合は、実際の口座からの引落しを待たずに、・保険契約の申し込み手続き、・告知(診査)の2つが完了した時点にさかのぼって保障が開始されます。
しっかりと保障が開始されるかを確認する際に、責任開始期日がいつになるのかと保険会社の「承諾」はとても重要なので必ず理解しておきましょう。
保険金を受け取れないケースは?
責任開始日以降でも保険金を受け取れないケースがあります。ここでは受け取れない事例をいくつかご紹介します。
保険に加入している方は申し込みをする前に、保険金が支払われない免責事由についても説明を受けたかと思います。お手元に資料がある方はご確認ください。ご自身が加入している保険への理解が深まります。
告知義務違反があった
生命保険に加入する際には告知が必要です。
告知では、年齢や職業、現在の健康状態やこれまでにどのような病気にかかっていたか、などが問われます。
生命保険は契約者同士の助け合いが前提の相互扶助の考えで成り立っているため、契約者間の公平性を保つ必要があります。
そのため、保険会社は年齢や職業、健康状態などから、申し込みをする方のリスク(保険金や給付金の支払いが発生する確率など)を判断し、リスクの度合いによっては保障内容を制限したり、保険料を割増して契約を引き受けたり、一定のリスクを超える場合には加入を断り(保険に入れない)ます。
告知は質問にこたえるという自己申告であるため、中には保険に加入するためにうその情報を告知するケースや事実を隠して告知するケースがあります。
うその情報を告知したことが保険会社の調査などによって発覚すると、告知義務違反となり、契約が解除され保険金が支払われないケースがあります。
被保険者の自殺
生命保険では被保険者の自殺に対して、責任開始日から一定の期間、保険金が支払われない免責期間が定められています。
保険会社や契約をした時期によっても、免責期間は異なりますが多くの場合、1年から3年以内とされているケースが多いです。
自殺に対して免責期間が設けられる背景としては、「家族のために保険金で借金をなんとかしよう」、などといった保険金目当てで保険に加入するような保険の不正利用を防ぐためです。そのため、生命保険に加入してすぐに自殺しても家族が保険金を受け取ることはできません。
なお、自殺が原因で亡くなった場合でも、精神疾患が原因の自殺に関しては保険金が支払われることがあります。ただし、保険に加入するときに正しく告知をしていることが前提です。
故意に被保険者を死亡させた場合
保険金を得るために、契約者や死亡保険金受取人が、故意に被保険者を死亡させた場合には、保険金を受け取ることはできません。
ただし、死亡保険金受取人が複数人、指定されているケースで受取人が故意に被保険者を死亡させた場合、その殺害にまったく無関係な受取人に対しては、受け取るべき割合の保険金が支払われます。
自殺のケースと同様に、保険金の不正利用を防ぐことに加え、被保険者を保険金目的の事件に巻き込まないようにする目的もあります。
戦争その他の変乱・災害などによる被保険者の死亡
戦争やその他の変乱、災害などが原因で死亡した際には保険金が受け取れないケースがあります。
一度に予測ができないほどの多数の保険金の支払いが発生すると、保険会社の支払能力を超えてしまうケースがあるためです。
ただし、保険の計算基礎に及ぼす影響が少ないと保険会社が判断した場合には、保険金の全額または保険金の金額を削減して支払われる場合があります。
被害の程度によって異なるため、一概には言えませんが、保険金が支払われないケースがある点は理解しておきましょう。
無選択型保険に加入している場合
無選択型保険は加入時に健康状態の告知を行わないため、持病がある方など、通常の保険への加入が難しい方でも加入しやすい保険です。
しかし、無選択型保険では、契約してから一定の期間、免責期間が設けられていることが多く、その期間に死亡した場合は保険金が受け取れません。
まとめ
生命保険に加入後、すぐに死亡してしまったケースでも、保険の責任が開始された責任開始日以降で保険会社が承諾していれば基本的に保険金を受け取ることができます。
責任開始日は、申込日、告知(診査)日、あるいは第1回目の保険料の支払い終了日のいずれか遅い日です。
ただし、責任開始日以降に亡くなった場合でも、保険金を受け取れないケースがあります。
告知義務違反や自殺、保険金目的の殺人など、契約者同士の公平性を阻害するような行為があった際は、保険金を受け取れないケースがあります。また、戦争その他変乱・災害などが原因で被保険者が亡くなった場合にも保険金が支払われないケースがあります。このケースでは契約者や被保険者などが原因ではなく、保険会社の負担の問題であるため、保険金を通常に受け取れるケースや削減されるケースもあります。
保険に加入したあとすぐに万が一、考えたくもないことですが、安心して保険に入っておくためにも、事前に保険金を受け取れるケース・受け取れないケースについての理解を深めておくことが大切です。
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リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。