お金と暮らしの基礎知識
2022.03.11
ふるさと納税するにはどんな手続きが必要なの?
ふるさと納税に興味があっても、どのような制度かわからないために利用をためらっている人もいるのではないでしょうか。原則として確定申告が必要な制度なので、自分には難しそうだと感じている人もいるかもしれませんね。
ふるさと納税とは、住んでいる自治体に税金を納める代わりに応援したい自治体に寄付をすることができ、さらに返礼品を受け取れる制度です。2015年からワンストップ特例制度が始まり、会社員を中心に一部の人は確定申告をしなくても税額控除が受けられるようになったため、さらに利用しやすくなりました。
この記事では、ふるさと納税のしくみや必要な手続きを詳しく解説します。
ふるさと納税とは
ふるさと納税は、納税者が自分が応援したい自治体を選んで寄付をすることを後押しする制度として2008年5月にスタートしました。その背景には都市部と、人口が減少している地方の自治体の税収格差を是正する目的があります。
ふるさと納税のしくみ
ふるさと納税は納税という名称ではありますが、実際には都道府県や市町村などの自治体への寄付の制度です。
ふるさと納税では確定申告することで、原則として寄付金額のうち2,000円を超えた部分が全額、所得税や住民税から控除されます。つまり、本来ふるさと納税を利用しなければ住んでいる自治体に納められるはずだった税金が減ります。そのため、自己負担額2,000円で自分が応援したい自治体に寄付ができるのがふるさと納税なのです。
また、多くの自治体が寄付のお礼として返礼品を用意しています。地域の名産品を返礼品としている自治体が多く、返礼品を受け取るのはふるさと納税の楽しみの一つです。
なお、ふるさと納税で控除される税額は収入や家族構成に応じて上限が決まっています。
ふるさと納税の目的
日本では少子高齢化が進み、特に地方の人口減少が目立ちます。また、地方で生まれ育っていても進学や就職を機に都会へ移り住む人は多く、そうした人は都会で働いて納税するため、地方と都市部の自治体には税収格差があります。
納税者が自分の希望する自治体に寄付ができるよう後押しすることで、地域間の税収格差を是正するのがふるさと納税の目的です。自分が生まれ育った場所かどうかなどに関係なく、好きな自治体を選んで寄付することができます。
ふるさと納税で必要な手続き
ふるさと納税をさっそく利用してみたいと考えている人のために、ふるさと納税を始めるのに必要な手続きを紹介します。
寄付できる額の上限を調べる
ふるさと納税で控除される所得額や住民税の上限は、収入や家族構成によって異なります。上限を超えてふるさと納税した場合は、寄付した額が所得額の還付や住民税の控除という形で戻ってこず、自己負担となりますので注意しましょう。
寄付できる額の上限の目安は個人住民税所得割額のおおよそ2割ですが、実際には保険料や住宅ローン控除の有無などで変化します。インターネット上には控除の限度額がシミュレーションができるウェブサイトもありますので、参考にすると良いでしょう。
寄付する自治体を選ぶ
ふるさと納税では自分が生まれた地域、旅行などの思い出がある自治体など、どこでも好きな自治体を選んで寄付ができます。
ふるさと納税に対する考え方や、寄付金を何に役立てるつもりかといった情報が各自治体から公開されています。どの自治体に寄付をするか迷ったら、自治体のホームページなどで公開されている情報を参考にしてみましょう。自治体によっては寄付金の使い道を指定できることもあります。
寄付する自治体が決まったら、自治体が指定する方法でふるさと納税を行います。この際に発行される寄付金受領証明書は確定申告により税額控除を受けるために必要ですので、なくさないようにしましょう。
確定申告する
自治体に寄付をしたら、ふるさと納税による税額の控除を受けるために忘れてはいけないのが確定申告です。
ふるさと納税をした翌年の2月中旬から3月中旬に確定申告書を最寄りの税務署へ提出します。
後述の通り、会社員の場合は確定申告の代わりにワンストップ特例制度が利用できる場合がありますが、以下に該当する場合は必ず確定申告をしなければいけません。
- 個人事業主
- 不動産収入がある
- 会社員だが、年収が2,000万円以上
- 2つ以上の会社から給与を得ている
- 給与以外の収入が20万円以上ある
- 6つ以上の自治体にふるさと納税をした
- ワンストップ特例制度の申請期限を過ぎてしまった
- 医療費控除や住宅ローン控除などのために確定申告が必要
ふるさと納税で税額控除を受けるため、確定申告で必要な書類は以下の通りです。
- 寄付金受領証明書
- 源泉徴収票
- マイナンバーカード
- 印鑑
- 還付金を受け取るための口座
確定申告書は手書きまたは国税庁のホームページ上から必要事項を入力することで作成できます。提出方法は最寄りの税務署へ持参するほか、郵送やe-taxを利用した電子申請も可能です。ただし、初めてe-taxを利用する場合は事前申請が必要なため、期限に余裕を持って手続きを進めましょう。
確定申告後、所得額が還付されるには最大1ヶ月半かかります。また、住民税の控除が受けられる期間は確定申告した年の6月から翌年の6月までです。
確定申告の代わりにワンストップ特例制度を利用する
年末調整が受けられる会社員の場合、確定申告になじみがないのでふるさと納税はハードルが高いと思われる人もいるかもしれません。そこで、2015年に一部の人を対象にワンストップ特例制度が開始されました。
ワンストップ特例制度は、以下の2つの書類を寄付した自治体に送るだけで手続きが完了する便利な制度です。
- 必要事項を記入した「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」
- マイナンバーカードなどの本人確認書類
以下の条件に当てはまる場合、ワンストップ特例制度が利用できます。
- 会社員などの給与所得者で、ふるさと納税以外に確定申告が必要なものがない
- 一年間にふるさと納税した自治体が5つ以内
確定申告の場合は寄付金から2,000円を引いた額が所得税と住民税から控除されますが、ワンストップ特例制度を利用した場合は控除額が全額、住民税から差し引かれます。実際に住民税の控除が受けられるのはふるさと納税をした翌年の6月から翌々年の6月までです。
確定申告に比べると簡単な手続きでふるさと納税による税額控除が受けられるワンストップ特例ですが、利用するためにはふるさと納税した翌年の1月10日(必着)までに申請が必要です。申請が間に合わなかった場合、確定申告しなければ税額控除が受けられませんので注意しましょう。
まとめ
この記事では、ふるさと納税のしくみや必要な手続きについて詳しく解説しました。
ふるさと納税は応援したい自治体に寄付ができ、返礼品や税額控除などのメリットもある制度です。
この記事がふるさと納税に挑戦したい人の参考になれば幸いです。
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リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。