保険の基礎知識
2022.05.11
「高血圧」でも保険加入できるのか?【FP監修】
自分や家族が高血圧で、保険への加入を考えていませんか?
高血圧はさまざま病気を引き起こす可能性があるため、保険への加入を断られてしまうケースがあります。
しかし、高血圧でも適切に対処していれば保険に加入できることもあります。
本記事では高血圧の場合でも医療保険やがん保険に加入できるかどうかを解説しています。
高血圧だけど加入したいと思っている方はぜひ、参考にしてみてください。
高血圧が引き起こす病気
高血圧とは血圧が高い症状を指します。高血圧と診断される基準は最高血圧が140㎜Hgまたは最低血圧が90㎜Hg以上の場合をいいます。高血圧自体は重大な病気ではありませんが、高血圧状態が長く続くことで動脈硬化となり、脳梗塞や脳出血などの脳疾患、心筋梗塞や心不全などの心疾患、腎不全などの病気を引き起こす可能性があります。
高血圧でも保険に加入できるのか?
高血圧になることで重大な病気を引き起こす可能性があると保険会社に判断され、保険金の支払いリスクが高い人ということで保険への加入を断られるケースがあります。
加入が難しくなるとき
高血圧でも通常の保険に加入できる可能性がありますが、高血圧と診断されてから放置をしたり通院治療を行っていなかったりした場合は加入が難しくなります。また受診していて降圧薬を服用していても血圧が基準値より高い状態である場合やほかの病気を併発していたりほかの病気を予防する薬を服用していたりする場合なども加入が難しくなります。
保険加入時に告知義務あり
生命保険に加入する場合は告知義務と言って、加入する保険会社に現在の健康状態や既往歴などを伝える必要があります。もし、高血圧などの症状があるのに隠して、加入した場合には告知義務違反となり、もしも病気になった場合には無効となり保険金を受け取ることができなくなります。
特別条件付きであれば加入できる場合も
高血圧症でも医療機関にかかり、薬を服用していて適正な血圧の範囲内に治まっている状態で合併症などがない場合は保険に加入できることもあります。
ただし、通常の保険に加入できても特別条件付きの可能性があります。特別条件付きとは高血圧であれば、脳や心臓といった疾患の保障を除外する「部位不担保」や「疾病不担保」にして保障の対象外にすることをいいます。また特別条件付きになると通常の保険料より割り増しになったり、保険金額が減額されたりします。
告知内容が少ない保険を検討する
特別条件付きであれば高血圧の悪化からくる病気になった場合の手術や入院では保障の対象外となってしまいます。そのため「もしも」の場合に備えることができません。手術や入院した場合に貯蓄で備えることが難しく、保険で備えたい場合は持病や既往歴があっても加入できる「引受基準緩和型」や「無選択型保険」を検討してみると良いでしょう。
引受基準緩和型保険
持病も保障の対象になる
引受基準緩和型保険は「限定告知型保険」とも呼ばれていて、通常の医療保険よりも告知や診査項目が少なく、通常の医療保険に加入できなかった場合でも契約しやすくなっているのが特徴です。持病の悪化や過去にかかった病気が再発した場合でも保障の対象となることが多いです。告知項目は各保険会社によって異なるため、複数の保険商品を比較検討してみるのが大切です。
引受基準緩和型保険にはデメリットもあるので注意が必要
引受基準緩和型は持病を抱えていたり、既往歴があったりする人が加入している分、健康な人に比べて、手術や入院するリスクが高まります。そのため通常の医療保険よりも保険料が割高になっています。
また支払われる保険金も削減されることがあり、持病や既往歴とは関係がない病気やケガの場合は給付額が減額されます。このほか通常の医療保険に比べて特約で付けられるものが少なくなるなど条件付きが多くなります。
無選択型保険
無選択型保険とは現在の健康状態だったり、医師の診査がなくても加入できる保険をいいます。病歴などの制限により引受基準緩和型保険に加入できなかった場合に検討してみるのが良いでしょう。
引受基準緩和型保険と同様、通常の医療保険よりも保険料が割高になっており、また保険金や給付金にも制限がされていたりします。また通常の医療保険よりも免責事由の範囲が広いため加入時にはよく確認しましょう。
がん保険には加入できるか?
高血圧でもがん保険に加入することはできますが、加入時に告知する必要があります。告知項目にはこれまでのがん罹患歴や現在の健康状態を伝える必要があります。保険会社の審査基準を満たした場合には加入できますが、現在入院中だったり、がんとは直接関係のないことでも診察や検査、治療、投薬など受けていたり、健康診断や人間ドックの結果次第では、がん保険の加入は難しくなります。
まとめ
高血圧でも保険に加入できるのか?について解説してきました。
高血圧は脳や心臓、腎臓などの重い疾患になりやすいことから保険会社によっては保険への加入を断れてしまうケースがあります。しかし、医療機関に受診して適切な血圧の基準値であれば保険への加入もできる可能性があります。保険は相互扶助で成り立っているためほかの契約者との公平性を保つためには保険料の増額や保障の範囲の制限がやむを得ません。
まずは貯蓄でカバーできないかどうか検討し、心配であれば引受基準緩和型保険や無選択型保険も検討してみると良いでしょう。その場合、各保険会社によって判断基準が異なるため複数の保険商品を比較検討してみるのが大切です。
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。日本FP協会AFP認定者。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。