保険の基礎知識

2021.08.29

生命表の誕生!「ハレー彗星」のエドモンド・ハレー

保険のなりたち

古代オリエント時代

保険は、古代オリエント時代航海途中の災害や海賊の襲撃などさまざまな危険にあらかじめ備えるしくみとして成立したと言われています。
具体的には、航海前に資金を借り入れ、船が沈んでしまったら返済を免除される代わりに、無事に航海が成功した際は、利息とともに貸主に返済するというしくみです。

※紀元前3200年ごろから紀元前4世紀後半のアレクサンドロス大王による統一までのおよそ3000年間に西アジア、エジプトで栄えた世界最古の文明。

中世ヨーロッパ時代

中世ヨーロッパの「ギルド」で親方・職人・徒弟から組織された同業者の自治団体の「慣習」としてはじまったことがしられています。
しかし、このしくみは年齢によって不公平なものであったため、制度崩壊してしまいました。
16世紀、イギリスのエリザベス一世(在位:1558年 – 1603年)の時代、イギリスとスペインは、はげしく海の派遣を争っていました。
エリザベス女王は、当時、世界最強であったスペイン艦隊への対抗策して、海賊行為を一部みとめていました。
「スペインの船を襲ったときに怪我したらお金を払う!」と公言した言われています。
これが損害保険や、医療保険の起源のひとつとも言われています。

※5世紀から15世紀、西ローマ帝国滅亡(476年)のあたりから東ローマ帝国滅亡(1453年)のあたりとされる。

17世紀~18世紀のイギリス

その後、「ハレー彗星」で有名な天文学者エドモンド・ハレー( ユリウス暦1656年-1741年)が、統計に基づいて実際の死亡率に基づいた生命表を作成しました。
これにより、しっかりとした計算を基礎とした保険料を設定する考え方の土台ができました。
もう、ギルドのような不公平感、「支払われるかどうかわからない」という不確かな存在ではなく、生命表に基づいた合理的な生命保険が作られる礎(いしずえ)となったのです。

生命保険の世界でも有名なエドモンド・ハレー

一般的には、エドモンド・ハレー(1656 年~1742年 )は「ハレー彗星」で有名な人です。「ハレー彗星」については聞いたことがあるのではないでしょうか?
一方、生命保険の業界では「生命表をはじめて作った人」ということでもよく知られています。ハレーの功績は1693 年に世界で初となる「生命表」を自書で示したことです。ハレーは、生命表に基づく生命保険の年齢別の掛金の考え方など、根拠がある計算方法を示すことで現代の保険事業や年金運営の基礎を築きました。

・ハレーとハレー彗星

1682 年、のちに「ハレー彗星」と呼ばれることになる彗星が現れ、肉眼でも見えるようになりました。
ハレーはその楕円の軌道を計算して、「この彗星は1607 年に現れた彗星と同じものだ!」と考え、友人のアイザック・ニュートン(万有引力の発見で有名)に伝えたといわれています。しかし、ニュートンは「二つの彗星は同じものではない」と言う主張をしました。

ハレーは自分の主張に絶対的な自信があったため「必ず、同じ彗星が 1759 年にも現われるであろう!」という予言をのこしました。 「もし、予言どおりに現れたら、その時にはもう自分は生きてはいないだろうが、その彗星は英国人によって発見されたものだと認めてもらいたい」と言ったそうです。
ハレーの死後 17 年後、予言どおりに彗星が現れた時、世間は大騒ぎになりました。そして人々はその彗星を「ハレー彗星」と呼ぶようになったのです。 その後の研究で「ハレー彗星は」1607 年の出現のさらに前にも何度も現われていたことがわかり、さらに有名になりました。

ハレーが作成した「生命表」(せいめいひょう)とは特定の年齢層・性別に対して、死亡率(誕生日から、次の誕生日までに死ぬ確率)や平均余命を示す表、現代における生命保険の設計には欠かせないものです。

ハレーが Royal Societyという権威が高い協会の事務局長をしている時、ドイツのある街の住人の出生と死亡の統計データを入手しました。 ハレーはそのデータを元に1693 年にはじめて生命表を作り、いくつかの事例を示しました。
ちなみに世界初の近代的な保険会社であるエクイタブル生命の創設者の一人、ジェームス・ドドソンが使った生命表は、ドトソンが独自に作ったもので、ハレーの生命表の死亡率を使っているわけではないことが文献でも示されています。

まとめ

ハレーの功績は、1693 年に世界で初となる生命表」を自書で示したことです。ハレーは生命表に基づく生命保険の年齢別掛金の考え方など計算の仕方を示し、現代の保険事業および年金運営の礎を築きました。
ハレーの功績から数十年後、近代的な生命保険事業がイギリスに誕生しました。
今、私たちが当たり前の様に「生命保険」商品を検討できるのは、ハレーをはじめとするさまざまな学者、研究者の努力があったからなのです。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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リアほMAGAZINE編集局

保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。

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