保険の基礎知識
2021.07.28
代理人が請求できる指定代理請求特約のメリットって?デメリットはあるの?
もしも、突然大きな事故に遭い意識不明の重体で入院したら、その後の医療費を家族が支払わなければならないことも考えられます。
そんなもしものために加入しておく保険ですが「保険金の請求ができない!」となると、もしものときに保険金が受け取れるという保険の役目を果たすことも難しくなってしまうでしょう。
指定代理請求特約は、そのようなもしも自分で請求ができない事情があるとき、代わって代理人が保険金や給付金を請求できる制度です。
生前に病気やケガが原因で保険金や給付金を受け取ることができる保険は、大半のものに指定代理請求特約がつけられます。
ここでは、指定代理請求特約についてそのメリットと使い方、そして考えられるデメリットについて解説していきます。
いざというとき、知っていると知らないではご自身とご家族にとって大きな差になります。
ご自身の病気やケガに備えて保険に加入している方、これから検討している方は必ず理解しておくことをおすすめします。
■指定代理請求特約って?
・病気やケガで受け取る保険金・給付金は通常、本人が請求する
通常、入院給付金や手術給付金、がん診断給付金など治療費や療養費を補う目的の保険金・給付金は、被保険者本人(保険の対象者)が請求します。
被保険者が請求して被保険者が受け取り、治療費に充てることを目的としているためです。
しかし、もし自分で保険会社に請求の連絡をしたり、請求に必要な書類を提出することができない状態になってしまったらどうなるでしょうか?
請求がなければ、保険金・給付金が勝手に支払われることはありません。
・請求しなければもらえない!自分で請求できないときに代理人が請求できる制度
そんな時に、本人に代わって保険金・給付金を請求できる制度が指定代理請求特約です。名前のとおり、本人の代わりに代理で請求できるということですね。
この特約の保険料は無料です。
■代理人って誰でも請求できるの?
・代理人は前もって指定しておく必要がある
指定代理請求特約は、保険金や給付金の受取人本人(被保険者)が保険金や給付金を請求できない事情があるとき、代理人が本人(被保険者)に代わって保険金や給付金を請求できる制度です。
それでは、誰でも簡単に請求できてしまうのでしょうか?
請求できる人(指定代理請求人)は、前もって指定しておかなければいけないことになっています。
指定代理請求人は途中で変更することも可能です。
・誰が代理人に指定できる?
指定できる代理請求人の範囲は保険会社によって異なりますが、たとえば次のように一定の親族の範囲の中で指定するルールが定められています。
指定代理請求人の範囲(ある生命保険会社の例)
被保険者の戸籍上の配偶者
被保険者の直系血族
被保険者と同居または生計を一にしている被保険者の3親等内の親族
・代理人を指定していない場合はどうなる?
うっかり、代理請求人を指定をしていなかった場合も、保険会社によっては一定の範囲の親族であれば請求できる場合もあります。ただし、通常よりも手続きに時間がかかることがあるため、あらかじめ指定しておいた方が安心です。
・どんな保険に使える?
代理で請求ができる保険金や給付金の種類は保険会社によって若干違いはありますが、被保険者本人が受取人になる保険金や給付金です。
たとえば、入院給付金や手術給付金、高度障害保険金、特定疾病保険金、リビング・ニーズ特約保険金など、治療費や療養費を補う目的の保険金・給付金が該当します。
■指定代理請求特約のメリットは?
・本人に代わって代理人が手続きできる
・大きな事故で意識不明の重体で入院して意思表示ができない。
・本人は「がん」と知らされていないが、家族は「がん」だと知らされている。
・認知症が進んで、意思表示することがが難しい。
このような場合、医療費や療養費の支払いを家族が立て替えなければならないことが想定されます。指定代理請求特約があれば、ご自身の代わりに請求してもらって保険金・給付金を受け取り、支払いにあててもらうことができます。
・家族にお金の心配をかけずにすむ
本人の預金口座に多額のお金があっても、本人が意思表示が出来ない場合、家族が代理で多額のお金を引き出すにはしばらく時間がかかることが考えられます。
保険金や給付金は代理で請求できるため、すぐにお金を用意できる※ことも大きなメリットです。
家族にお金の負担をかけずにすむようにしておけるのです。
※指定代理請求人の口座に保険金・給付金を振り込みをしてくれる保険会社に限ります。
保険会社によっては、被保険者本人の口座にしか振りこみができないことがあるので、注意が必要です。
■指定代理請求特約のデメリットは?
・被保険者本人には、請求したことが連絡されない
代理請求人が保険金・給付金を請求しても被保険者本人には保険金などを支払ったことは連絡されません。とくに保険金が一度支払われたら保険が終了する保険では、被保険者本人が知らないうちに契約がなくなってしまう可能性があります。
・本人に隠していた病名や余命が分かってしまう可能性がある
被保険者本人が退院して回復したあと、自分で保険会社に問い合わせをした場合、がん診断給付金やリビングニーズ特約保険金が支払われたことで病名や余命が分かってしまう可能性があります。
・代理請求人が受け取った保険金・給付金の使い道でもめる可能性がある
稀なケースですが、代理請求人が保険金・給付金を自分勝手に使ってしまうケースです。
あとから被保険者本人が自分で保険会社に問い合わせができるようになってから発覚する可能性が考えられます。
代理請求人は、信頼できる人を指定しておきましょう。
■指定代理請求特約で注意することは?
メリットも多い指定代理請求特約ですが、指定した代理請求人に前もってしっかり伝えておくことが大切です。
結婚や離婚で家庭環境が変わった場合や、代理請求人が重い病気などになって代理で請求するのが難しくなったときには、忘れずに代理請求人を変更しておくようにしましょう。
・あらかじめ指定した代理請求人に、保険に入っていることを伝えておく。
・保険証券の保管場所を伝えておく。
・身内に変化があって以前に指定した代理請求人が適切でない場合は、指定代理人を変更しておく。
■まとめ
もしものためにちゃんと保険に加入していても、自分で請求ができない状態になってしまったら家族が医療費の支払いに困ってしまうかもしれません。
指定代理請求特約は、あらかじめ指定した代理請求人が被保険者本人に代わって保険金や給付金を請求できる制度です。
代理請求人には、信頼できる人を指定して、前もって保険に加入していることをしっかり伝えておきましょう!
また、万が一、代理請求をしたあとでもめないよう、あらかじめ想いを伝えておくことも大切です。
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リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。