著名人・専門家コラム
2022.06.22
コロナの症状や、ワクチン接種の副反応で医療保険は使えるのか【FPコラム】
ワクチンの3回目接種が各所で展開されています。
ワクチン開発会社によりますが、接種後高い熱が出たり、接種した腕が重く上がらなくなったりしたという報告も多いようです。在宅の経過観察であれば問題ないのですが、症状が強く病院に通院・入院したとき、医療保険は対象となるのでしょうか。そもそも医療保険に加入したのが5年以上前だとしたら、昨今のコロナ罹患やワクチン接種による体調悪化は想定できないはずです。やはり保障の範囲外となってしまうのでしょうか。
コロナに罹患した際は「疾病給付金」の対象になる可能性が大きい
保険会社の保障対象の定義によって異なりますが、一般的にコロナに罹患して通院した際は病気による治療のための通院とみなされ、入院給付金の支払対象となります。これはPCR等での陽性認定を前提としていないため、陰性による発熱や諸症状の場合も同様の保障です。
この症状により亡くなった場合に、死亡保険金(終身保険)に加入していた場合も保障対象となります。つまり医療保険においては、新型コロナの罹患は風邪の一種という解釈が近いものです。ではコロナ禍に見舞われてから各保険会社が提供を開始した「コロナ保険」はどのような位置づけなのでしょうか。
国内生保や新興の会社、少額短期の会社などから既に商品が発売されています。これらはコロナに対応した医療保険というよりも、コロナへの罹患を手厚く保障する、より特化した医療保険といえるでしょう。保険料も1000-2000円と手堅く抑えられているほか、自宅や臨時施設(ホテルなど)に隔離されると一時金が支給される保険もあります。コロナに罹患した後の症状により保険料が変動する保険も発売されています。
既に医療保険に加入している方は、念のため疾病給付金の設定があるかを確認しましょう。よほど独特な医療保険では無い限り、保障対象になっているでしょう。もしカバー出来ていなかったら、今回ご紹介したコロナ保険に追加加入することを検討していきましょう。
ワクチン接種による副反応は医療保険の対象なのか
今回のコロナ禍で日常生活の阻害要因となっているのは、ワクチンの接種です。ワクチンの接種によりコロナに罹患しても重篤化する確率は低くなるものの、副反応として高熱や身体の痛みに苦しむという報告が増えています。これらの症状は、医療保険の対象なのでしょうか。
ワクチン接種の副反応による発熱等には、ほかの疾病と同じく保険金が給付される
コロナへの罹患と同じく、ワクチン接種による副反応は一般的に医療保険の対象となります。副反応を要因とした入院給付や通院給付が加入中の医療保険の対象になるか、接種が近づいたら確認しておきましょう。ただ、ワクチン接種時に医師から念を押される接種直後の飲酒や過度な運動をして、それらが要因と見込まれる場合、保険会社の判断は分かれる可能性はあります。
ワクチン接種の副反応を要因として、既往症認定や保険の引受が見送られることはない
一般的にワクチン接種の副反応による入院や通院が発生しても、加入中の医療保険が無効になることはありません。また、ワクチン接種済みの経歴を持って医療保険に入れなくなる、保険料が高くなる認定(既往症認定)することは表立って無いものの、前項にてご紹介したコロナに特化した保険などは、ワクチン接種の有無が確認される可能性があります。
ワクチンの副反応については国(厚生労働省)からの補償制度がある
あまり知られていませんが、予防接種により健康被害が生じた場合は厚生労働省による「予防接種健康被害救済制度」があります。
予防接種法にもとづく接種で健康被害が生じた場合、市町村が窓口となり、給付が行われます。公的健康保険の加入・未加入は関係ありません。請求期限のある臨時接種向けのB型と、期限のない定期接種向けのA型に分かれます。
新型コロナウイルスのワクチン接種においては、定期接種のA型の対象に含まれます。1回目、2回目、3回目の接種とも同様です。国の審査会による因果関係の審査が必要なので医療保険のような即座に給付とはなりませんが、医療保険に加えて保障して貰えるものとして認識しておきましょう。
まとめ
2022年になり、少しずつコロナ禍のピークを抜けてきたようにも思います。メディアが取り上げる時間も縮小してきました。とはいえ罹患すると大きく日常生活が圧迫されることには変わりありません。加入している医療保険が対応しているかを把握し、万が一の状況に備えておきましょう。その時は自分はもちろん、家族それぞれに保障が届いているかの入念な確認も不可欠です。
WRITER’S PROFILE
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤崇
FP-MYS代表。ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。(執筆実績はこちら:https://fori.io/takashi-kudo)