著名人・専門家コラム

2024.07.25

皆さんが払う保険料はどうやって決められどう管理されているの?【住宅FP関根が答える!Vol.109】

皆さん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
皆さんが毎月支払っている生命保険料ですが、この保険料はどうやって決められどのように管理されているのでしょうか。終身保険などは加入から数十年単位で保険料を支払い、その保険料が管理されるわけですから、非常に重要な話題だと思います。

保険料が決められる工程は、保険会社ごとに保険数理に基づいて計算されます。この保険数理とは数理計算をおこなう専門のアクチュアリーが行います。死亡保険の場合、主に年齢や性別、健康状態に基づいた死亡率を参考にし、過去の統計データを利用して将来の死亡率を予測しています。医療保険の場合、過去の病気や怪我の発生リスクを考慮し、その傷病の発生頻度や治療方針の変化、治療費の推移などを予測しながら決めていきます。

これらのデータから今後の保険事故の確率を予測し、保険料を計算していくのですが、こういったデータだけでは正確な保険料計算を行うことはできません。保険は加入後、保険事故が起きる前に途中解約をされることがあるためです。そのため、どれぐらい解約をされる可能性があるのかも計算に入れ、皆さんから預かった保険料がどれくらいの運用率を出すことができるのか、その運用率も考え計算されていきます。

保険会社も会社です。会社を経営していくための運営コストがかかります。社員への人件費、保険証券などの発行や送付、保険金の支払いに関する事務コスト、地代家賃や水道光熱費などもかかります。また保険会社は自社の事業を継続するために一定の利益を乗せる必要があります。皆さんから集められた保険料からこういった経費を取り除いたものを、保険会社は債券などで運用し、資産を増やすために様々な投資を行っています。

運営コストを差し引き、将来の保険金や給付金の支払い、解約返戻金の支払いに充てられるための資金を責任準備金といいます。責任準備金は株式など値動きの激しい運用先を選択した場合、保険金や解約返戻金を支払う段階で、元金が割れてしまうリスクもあり、いざといった時に保険金の支払いができなくなってしまう恐れもあり、リターンは少ないものの、安定した運用をすることができる国債や地方債、海外の債券などで運用されます。日本では、金融庁が保険会社の責任準備金の積み立て状況を常に確認しており、保険会社は責任準備金の状況を報告する義務があります。

保険料は年齢や性別、健康状態に基づいた死亡率をベースに、保険会社の運営コストも考え保険数理に基づき保険料を計算していきます。しかし、そういったデータベースを利用しても保険会社が予測できないリスクがあります。そのうちの一つが感染症の拡大、パンデミックです。新型コロナウイルスによるパンデミックがその典型例です。大量の自宅療養者により、医療保険において、保険数理を大きく上回る請求が発生しました。こういった感染拡大はいつ起こるのか分からないため、起きたときに保険会社の経営に大きなダメージを与えます。

また今後は極端な少子高齢化により、人口動態が変化していきます。生命保険は新規で契約をし、保険料を頂いていくことにより、死亡保険金などの保険金の支払いに充てています。新規での契約が減っていってしまうと回収する保険料より支払う保険料の方が多くなってしまい、経営が成り立たなくなってしまいます。そのため新規で生命保険に加入するメイン層である若者の人口が減ることにより、生命保険業界の需要構造が変化することが考えられます。その時には毎月支払う保険料だけではなく、商品提案自体も変わっていく可能性があるため、業界の変化もしっかりと追いかけていかないといけません。

逆に保険会社は予測より保険金や給付金の支払いが少なかった場合、その余剰資金を契約者に還元することがあります。主な還元方法としては、配当金の支払い、保険料の返戻、保険金の増額などがあるため、保険を契約する際にはこういった還元される仕組みになっているのか確認することをお勧めします。

こういった保険数理に基づき保険金や給付金、解約返戻金を計算し、皆さんが支払う保険料を計算するスタッフのことを“アクチュアリー”というのですが、このアクチュアリーは日本における最難関資格の一つといわれています。そのためアクチュアリーは保険会社内の立場も強く、年収も高く設定されています。

しかしこういった死亡率や罹患率、解約率などの膨大なデータを計算し、保険を設計していく作業は、いわばAIが最も得意とする分野の仕事です。今後、アクチュアリーの仕事自体がなくなる事は無いのかもしれませんが、一方でAIの活用によりアクチュアリーの仕事自体が大きく効率化される事は間違いないと考えています。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直

ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。

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