著名人・専門家コラム

2024.04.04

画一化されていた生命保険、自由化までの歴史【住宅FP関根が答える!Vol.96】

みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
みなさんは生命保険がいつごろからできたものなのかご存知でしょうか。日本に生命保険会社が誕生したのは、明治14年(1801年)のことです。当時の生命保険会社は共存共栄、相互扶助の精神に基づく助け合いの考えから始まっています。明治時代、まだ一般的ではなかった生命保険でしたが、その後の日露戦争、日清戦争において多くの死者を出したことにより、人々の生命保険に関する意識も高まっていきました。

また大正時代には関東大震災もあり、生命保険の必要を多くの人が感じられるようになり、契約数が一気に延びることになりました。

昭和に入ってからも戦争が続き、多くの死者がでました。戦争に出兵するのは男性だったため、世の中には戦争による未亡人が多く出てしまい、生命保険の役割が世の中に浸透していきました。また、この時期は戦後復興から高度経済成長期へはいっていったころ、働き盛りの就労人口が大きく増えた時期でもあり、急速な成長を遂げた経済に生命保険市場も一気に拡大していきます。

その後は高度経済成長からバブル期へ突入していきます。バブルの頃は保険会社の新規契約数も多く、また株高もあり保険会社の業績はよかったのですが、その後バブルは崩壊、市場の金利は下がり、株安にもなりました。そして保険会社の経営が一気に悪化、1997年からのわずか4年間で7社の生命保険会社が破綻してしまいます。

当時の生命保険会社において、競争原理はあまり働いておらず、商品及び料率は画一化が図られていました。しかし、このバブルがはじけて保険会社が倒産していく中で、世界的な金融ビックバンと呼ばれる金融の自由化の流れが日本にやってきました。世界の流れに押されるように1996年、改正保険業法が施行され本格的な保険の自由競争が始まります。

保険業法が改正された理由は、主に自由競争の促進と契約者の保護、そして経営の透明性確保の3つでした。この法律の改正にはアメリカ側のプレッシャーがあったといわれています。1996年の改正保険業法ができる前までは、旧保険業法の規制があったため、日本国内で外国の保険商品を売ることはできませんでした。しかしこの改正保険業法により、改正以降は海外の保険会社でも日本国内で売ることができるようになり、ここから保険業界における競争が激化していきます。

当時の保険会社は、生命保険と損害保険の相互乗り入れを禁止していたのですが、この相互乗り入れを解禁、さらに保険商品や保険料など様々な部分で自由化が図られていきました。また、加入経路も対面式の保険契約だけではなく、インターネット経由で保険の契約ができるようになり、契約をする窓口も、銀行や郵便局で気軽に契約が取れるようになっていきます。

保険が自由化された後保険会社は、消費者ニーズの高まりから、様々な商品を開発します。医療保険だけではなく、医療費用保険、介護費用保険、がん費用保険など、こうした商品の多様化、差別化が図られ、それにより消費者はたくさんの保険会社、保険商品から自由に加入保険を選べるようになりました。一方で商品が複雑化することにより、顧客が商品情報を十分に把握することが困難になってしまいました。そんな中で平成17年(2005年)に起こったのが保険金の不払い問題でした。

この不払い問題の一部には、契約者が自分自身でどういった契約内容で保険に加入しているのか理解しておらず、本来もらえるはずの給付金を請求し忘れてしまう事例が頻発しました。これが保険金不払い問題として一時期社会問題となっていきました。今でも商品の複雑化は変わりませんが、一方で今はネットなどで事前に保険商品の情報を得ることもできるようになっており、一時期に比べると加入している保険や加入しようと考える保険について理解できている人は多いと思います。

現在、みなさんもご存知の通り、日本は少子高齢化に苦しんでおり、生命保険加入のメイン層である若者の人口が減っていっています。日本における人口も毎年70万人減っているというのが現状です。今後は人口動態がさらに大幅に変化し、65歳以上の人口が増えていくことが予想されています。保険会社も若者の人口が減っていくと、契約者のターゲット層が減るために、海外に進出したり、介護事業を買収したりと次の時代に向けて経営の見直しが図られています。

これからは人生100年時代です。今後、公的医療制度や公的年金制度の歪みが進むのは間違いないでしょう。今でも厳しい老後生活ですが、より寿命も延び、受給できる年金も減っていってしまうと考えると誰もが老後について不安になることと思います。そのために今後、民間の生命保険会社の役割はより重要になっていくと思われます。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直

ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。

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