著名人・専門家コラム
2024.09.07
死亡時の保険、一度加入すれば見直す必要はない?【住宅FP関根が答える!Vol.115】
みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。みなさんはどんな時に保険の見直しをしようと思いますか。生命保険を見直すタイミングとして良く上げられるのは、結婚をした時、子どもができたとき、そして住宅を購入した時といわれ、そういった時に自分のライフプランに合わせて保険提案をしてくれる、頼れる保険の専門家がFPです。
専門家に保険相談をお願いして、ご主人様、奥様が万一の時を想定したプランを作成し、算出した必要保障額から生命保険や医療保険、がん保険に加入することが多いと思います。私たちFPはこういったプランをしっかり作成し、計算をすることによって、加入した保険は基本的に見直す必要が無いように提案をしています。しかし、実際にはしっかりとした専門家に見てもらった保険も見直さなければいけないことがあります。今回はこの辺りについてお話していきます。
進路によって全く違う必要保障額
万一の時の必要保障額を計算するときに大切なのは、大きく分けるとお子様の教育費と住居費の2つです。保険加入前、必要保障額の算出をする際に、配偶者に万一のことが起こりシングルマザー、シングルファーザーになった時の進路を聞き取りするのですが、子どもが育つ中で中学受験の希望が強くなっていき、片親になった場合には公立の中学校を希望していても、途中から私立の中学校へ行かせてあげたいと希望されるようになる方も多いです。公立の学校と私立の学校では、どちらを想定するのかで必要保障額は全く異なってきます。
文部科学省の子供の学習費調査によると、公立の中学、高校を想定した場合の年間にかかる費用の平均は以下の金額になると発表されています。
区分 | 学習費 | |
公立中学校 |
第1学年 | 531,544円 |
第2学年 | 443,848円 | |
第3学年 | 640,925円 | |
公立高等学校 |
第1学年 | 629,459円 |
第2学年 | 457,895円 | |
第3学年 | 455,762円 |
これらの費用には補助学習費と呼ばれる学習塾などの費用も含まれており、中学校3年間で合計額は約161万円程度とされています。
高校3年間の合計金額は約154万円となり、公立中高に行った場合の6年間の教育費は合計で約315万円となります。
そして公立中学を希望する場合にはかからないことが多いですが、私立中学に行くためには小学校4.5.6年生の3年間で進学塾に通う場合が多いです。進学塾の金額は忘れてはいけない大きな教育費です。
大手4大塾に通った場合、3年間の費用はおおよそ210万円~260万円程度といわれています。
これらの費用には私立中学校を受験する際の毎月の授業料、夏期講習や春期・冬期講習、模擬試験、教材費の費用などが含まれています。では次に、私立中学、高校に通った場合の教育費について比較していきます。
区分 | 学習費 | |
私立中学校 |
第1学年 | 1,806,991円 |
第2学年 | 1,218,559円 | |
第3学年 | 1,278,255円 | |
私立高等学校 |
第1学年 | 1,276,978円 |
第2学年 | 941,873円 | |
第3学年 | 937,550円 |
私立中学に通った場合の教育費は3年間で約430万円程度となっています。
私立高校に通った場合の教育費は3年間で約315万円程度となっており、私立中高に6年間通った場合の合計金額は約746万円程度となり、進学塾の費用も含めると約960万円~1,000万円程度となります。先ほどのすべて公立だった場合の約315万円よりも675万円程度も多くの教育費が必要となります。これは子どもが一人だった場合の金額となり、もし子どもが2人、3人といた場合などを想定すると必要保障額は大きく変わります。
大学資金も同じく、希望する進路により大きくかかる金額は異なってきます。
国公立大学: 約480万円
私立大学文系学部: 約690万円
私立大学理系学部: 約820万円
上記のような金額となり、やはりどういった進路を選ぶのかで必要保障額は大きく変わります。
※参考:令和3年度 教育費負担の実態調査結果|日本政策金融公庫
住宅計画に大幅な変更が入った時
必要保障額を算出する際に大きなウェイトを占めるのが住居費です。住宅ローンを組むのか賃貸に住むのか、または子どもを連れて実家に帰るのかなど、それぞれ必要保障額は変わります。
例えば、住宅ローンをご主人様名義で借りた場合、ご主人様が亡くなられた時には団体信用生命保険で住宅ローンは消滅します。そのため、残された奥様は住宅ローンの支払いをすることなく元の家に住み続けられるのですが、ここでも予定が崩れてしまうときがあります。
それが住宅ローンの繰り上げ返済です。借入金を老後まで残したくないからと積極的に住宅ローンの繰り上げ返済を行っていった場合、当然、住宅ローンの残債は減っていきます。しかし、その分手元の現金が少なくなってしまいます。
仮に住宅ローンの残債が5,000万円の時にご主人様に万一のことが起きた場合、手元の現金を減らすことなく、住宅ローンの残債が消滅します。しかしその前に手元にある預貯金の3,000万円を使って積極的に繰り上げ返済を行い残債が2,000万円だった場合、そのタイミングでご主人様に万一のことが起きたときに消滅する住宅ローンはわずか2,000万円のみとなります。残債5,000万円で住宅ローンが消滅した場合に比べ、手元の現金が3,000万円も少なくなっているといえます。繰り上げ返済のタイミングも考えたいものです。
医療技術の進化
医療現場における医療技術は、海外の医療ベンチャーを中心に日々進化をしています。近年、新しい治療方法が開発されるも、治療費が高すぎることを理由に治療の継続を断念する人も現れています。今後も医療技術が進化するのは間違いありません。新しい治療方法が出てきたときにも困らないような準備が必要です。
やはり、家計を圧迫する支出のメインは教育費です。最初に中学、高校は公立ベースで、大学も私立文系と考えていても、途中から変更したいと思った場合、諦める前に今一度、専門家に相談をしてみてください。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。