著名人・専門家コラム
2024.11.15
AIと医療現場シリーズ第一弾~AIは医師の仕事も行える~【住宅FP関根が答える!Vol.124】
みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
前回のコラムではAIと保険の関わり、AIによる今後の保険の変化についてお話しました。今回のコラムでもAIについてのお話をしていきたいと思います。実はAIと医療現場は密接に関係があります。世の中にはAIと相性がいいお仕事とAIとは相性がよくないお仕事とがありますが、医療現場とAIは非常に相性がいいと言われています。今回はこの医療現場とAIの相性がいいと言われる理由についてお話していきたいと思います。
AIと医療現場の相性
一口にAIと医療現場の相性がいいと言っても、お医者さんには専門があり、その科によってもAIとの相性のよさは変わってきます。みなさん、相性のいい科と相性のよくない科、お分かりになりますか。具体的に言うと、AIと相性がいいと言われているのは特に放射線科と内科です。そして、相性があまりよくないのは外科と精神科と言われています。
放射線科とAI
一つずつ解説していきます。まずはAIと相性のいい放射線科からです。みなさんも放射線科とAIの相性がいいことはなんとなく想像がつくのではないでしょうか。AIは膨大なデータの記憶、解析に強いということが一番の理由です。AIは撮られたレントゲンやMRIなどのデータ解析に優れていて、大量の患者データを迅速に処理することができます。海外での珍しい症例などもAIは瞬時に学習することができ、放射線科医が今までに見てきた画像枚数では比べ物にならない知識量があります。またAIはパターン認識に強く、微細な異常や病変を見逃すリスクを減少させることができます。そのため、診断の精度がこれまで以上にいっそう向上します。
最近の画像診断医の求人では、「1次診断をAIが行い、2次診断をドクターが行います」という求人も増えてきました。この場合には撮られた画像をAIの診断にかける形となっていますが、最新のMRIではそもそも最初からMRI本体にAI診断機能が付いているものも開発されています。現在の医療では病変が1㎝にならないと発見できませんが、1㎝未満でも発見できるようになってきています。こういったところも結局のところ、サンプルデータが多いため、ビッグデータ化がしやすかったということになるでしょう。
内科とAI
続いてAIと相性がいいと言われている内科について解説していきます。みなさん、なぜAIと内科は相性がいいと言われているか分かりますか。少し意外だと思った方も多いのではないでしょうか。
内科にかかる患者さんというのは、どこが具体的に調子が悪いということが分かっていない患者さんが多いということです。例えばめまいがするという症状があったとします。しかしながらめまいがするという症状の原因は一つではありません。様々な病気の可能性があり、内科医は問診や複数の検査を行い総合的に判断することで診断を下します。そのため、全身の病気と様々な症状と向き合う必要があり、必要な知識も膨大な量になります。こういった膨大な量の知識、データに強いのがやはりAIです。全世界に出ている論文をAIは容易に学習することができ、複雑に絡み合う諸症状の分析も得意とします。またAIは予測モデルを用いることで、病気のリスクを評価し、早期介入を促すことができます。例えば、慢性疾患の進行を予測することで、適切な治療計画を立てる手助けができます。さらには患者モニタリングも容易に行うことができます。ウェアラブルデバイス(スマートウォッチなど)からのデータを利用して、患者の健康状態をリアルタイムでモニタリングし、異常を早期に検知することも可能になります。
外科とAI
それでは外科医がAIと相性はよくないと言われる理由は何でしょうか。外科手術は非常に複雑で、繊細な手技が求められます。そのため、実際の手術操作をAIが代替するのは難しいと言われています。また、外科手術中には予期しない事態が頻繁に発生します。医師はその場で迅速に判断を下す必要があり、AIがその瞬間の判断を補助するのは難しい場合があります。外科医はチームで働くことが多く、他の医療スタッフとの連携が重要です。チームワークを重視する外科医の仕事には限界があります。外科手術には多くの倫理的および法的な側面が関与します。AIによる判断や手技に対する責任の所在が不明確になることがあります。そのため、AIが実際にメスを握り執刀するためには法的な改正も必要になることもあり、現段階では外科的現場でのAI活用はダヴィンチのような手術支援ロボットが手術の補助的な役目を担っていくのではと言われています。
精神科とAI
またAIと相性がよくないと言われている精神科についてお話していきたいと思います。精神科医療は患者との信頼関係が非常に重要です。AIは感情やニュアンスを理解することが難しく、深い人間関係の構築には限界があると言われています。患者の表情やボディーランゲージなど非言語的なコミュニケーションが重要ですが、AIはこれらを読み取る能力が限られています。 精神的な健康問題に対する共感や感情の理解は、人間ならではのものです。AIは感情をもたないため、患者の心情に寄り添うことが難しいです。人間の心は非常に複雑で簡単にデータ化できるものではありません。人間の気持ちは自分でも説明がつかないことが多く、その気持ちをAIが分析することは難解になります。
まとめ
今回はAIと相性のいいと言われている医療科目、AIと相性がよくないと言われている医療科目についてお話していきました。相性の良し悪しはありますが、AIと医療現場は密接に関係しています。次回もAIと医療現場について、今回の続きをお話していきたいと思います。それでは次回もお楽しみに。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。