著名人・専門家コラム
2023.01.17
無駄な支出?あなたは保険貧乏になっていませんか?【住宅FP関根が答える!Vol.41】
みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
みなさん、保険に加入する時には様々なリスクが心配になってしまい、ついつい過剰な保障をつけてしまう方が多くいらっしゃいます。みなさんの中にも保険に加入しすぎてしまっていることに気が付いてない方もいらっしゃると思います。今回はこんなついつい起こってしまいがちな保険の加入しすぎによる保険貧乏についてお話していきたいと思います。
一生涯に支払う保険料は?
みなさんは、人が一生涯に支払う保険料がいくらになるのか計算をしたことはありますか。例えば30歳男性が民間の医療保険に加入しており、毎月の保険料は5,000円、65歳払い済み、入院日額10,000円の保険だったとします。30歳から65歳までの35年間で支払う保険料は210万円ということになります。つまり、日額10,000円の保険に加入している場合、210日間入院をしなければ支払保険料を取り戻すことができません。
そもそも保険というものは損得感情で加入するものではもちろんありません。万一、入院が長引いてしまったときに、自身や家族を助けてくれるものです。そうはいっても私自身、保険募集人としてお客様の加入している保険を見直してみると保険に入りすぎてしまい、保険貧乏になってしまう家族をたまに拝見します。万一の時のために加入する保険も入りすぎてしまえば保険料が家計に大きな負担になってしまい、家計のトラブルが起きやすくなってしまいます。また、若いうちの保険貧乏はその時の収支だけでなく、長い目で見たときに老後の不安も増していきます。
保険料の払い過ぎはどんな問題があるの?
保険料を払いすぎてしまった場合に起きえる問題は以下になります。
- 日々の生活で自由に使えるお金が少なくなる
- 貯蓄や運用に回せる額が減る
- 子どもの教育費が足りなくなる
- 老後の生活資金が準備できない
つまり万一の時のために加入する保険が、実生活におけるリスクになってしまうこともあります。
2018年に話題となった金融審議会のレポートでは、「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円。その赤字を金融資産の取り崩しで賄うためには65~90歳の20~30年で2000万円必要」とされましたが、それが老後2000万円問題です。日々の生活リスクを軽減するために保険に加入する必要があるものの、一方でこういった老後資金も形成していかないといけません。
無駄な保険に加入している人に多いのは?
無駄な保険に加入している人に多いのは以下のような方が多いです。
- 保険金や給付金の額を平均額から決めた
- お金の将来設計を立てずに保険加入をした
- 知人・友人を通じて保険に加入した
これらに当てはまっている場合、一度、自身の加入している保険に無駄がないか、重複している保障や過剰な保障をつけていないかを検討する必要があると思います。
保険料が高くなってしまう原因は?
そもそも高すぎる保険料になる原因はどんな理由が考えられるのでしょうか。
特に多いパターンとしては、自分に必要な保障を理解していないということが挙げられると思います。優秀なプロのアドバイスを受けずに保険に加入した場合などは、必要保障額を算出せずに加入している方がいらっしゃいます。保険というのは同じ年齢、年収でも必要保障額は各ご家庭で大きく異なります。そんな中、一般的と言われる保障額を決めてしまうのは非常にリスキーなことだと言えます。
無駄な保険はどうやって見直す?
無駄な保険を見直すにはどうしたらいいのでしょうか。保険貧乏にならないためにはどうしたらいいのでしょうか。
まずは社会保障の知識を身につけましょう。国や地方自治体の公的な援助制度について知っておけば民間保険で備えていた保障を軽くし、保険料を安くできるかもしれません。特に遺族年金、傷病手当金、高額療養費制度などは知って損はないお金の知識と言えるでしょう。
死亡保険を手厚くしすぎてしまっている方は遺族年金でもらえる金額も考慮した保障額にしていますか。医療保険も現在は入院期間の短期化が進んでいる上に、会社勤めの方は会社のお休み期間中、加入している社会保険会社から標準月額報酬の2/3が支給されます。支給されるまでに多少時差はありますが収入がゼロになってしまうということにはなりません。
また高額療養制度もあるため、その人ごとの収入によって限度額は変わりますが、窓口で支払う医療費も上限があります。基本的には保険に加入していなくてもその収入がある方は高額療養の限度額までは支払うことができる金額設定になっています。
また保険加入、見直しに最も必要なことはライフプランを作成することです。ライフプランから考え、今後のお金の流れをつかみましょう。教育費のピークはいつ来るのか、その時期にこの保険料は重荷にならないかなど、専門家に必要保障額の算出をしていただくなどがお勧めです。万一の時に保障が足りなくなってしまっては大変です。一方で入りすぎていて、無駄な保険料を払い続けている人ももったいないですし、もっとお金も有効活用していきたいものです。プロに必要保障額を算出していただき、心配のない保障、尚且つ無駄のない死亡保障に加入することで保険をスリム化させましょう。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。