著名人・専門家コラム

2023.02.14

2024年度介護保険制度改正と介護保険の今後【住宅FP関根が答える!Vol.45】

みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。

2024年度から介護保険制度の改正が行われます。今回のコラムではこの改正内容等について解説していきます。

社会保障審議会で決まることは?

社会保障審議会では、給付と負担の見直しに関する議論が進められています。中でも最大の論点は、介護サービスを受けた場合の自己負担の割合です。現在は所得割合に応じて、1割から3割と決まっており、原則として1割負担の人がメインになっています。

今回の審議会では、65歳以上の保険料の引き上げや、負担割合を拡大するべきか議論されました。その他にも、適切な介護を受けるための計画書であるケアプランの有料化、要介護認定1、2に関する給付の見直し、杖や歩行器等の福祉用具等が今までは貸与でしたが、購入にするべきかと言う議論も始まっています。

高齢化によって、日本の介護費用は増え続けています。介護保険と言うものの、制度の持続性のために、サービスの見直しや、負担の見直しが急速に進んでいる状況です。現状を踏まえると、介護保険料の負担が増していくのは間違いなく、またいざ介護を受けるときになった場合の費用負担が増えていくことは間違いないと思われます。いざ介護を受けるとなった時、しっかりとした介護を受けるためには、昔以上に自分自身による準備が必要だと考えます。

介護の必要性とは?

近年、要介護認定者数と言うのは増え続けており、2020年には670万人となっています。ちなみに、千葉県の人口が620万人ですので、それを大きく上回る数字となっているため、どれだけ大きな数字か分かります。病気や怪我で入院をするリスクに対しては、備えている方は比較的多いと思いますが、いずれ自分自身もなる確率の高い介護に対して、自ら進んで備えるという形は非常に少ない状況です。

ちなみに、現在日本において生命保険の世帯加入率は89.8%となっていますが、介護保険、介護特約における世帯加入率は、わずか16.7%と非常に備えの意識が低いと言えます。一方で、生命保険文化センターの調べによる、生命保険意識調査によると、老後、介護に対する不安はありますかという質問に対し、88.8%の人が、不安があると答えているものの、既に準備していると答えた人は48.7%と、半分程度しかいません。そしてこれから準備したいという人は、75.6%となっており、介護保険に関するニーズが高いと言えます。

ちなみに私は、11社の生命保険会社を扱っている代理店ですが、以前は介護保険というもの自体、あまり商品はありませんでした。そこから最近は高齢化に伴う、介護ニーズへ対応するため、各社介護保険や、介護特約の商品ラインナップを増やしています。こういった商品が出始めたのはここ最近のため、まだ世帯加入率は低いと思われますが、今後おそらく増えていくものと思われます。

※参考:2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査|公益財団法人生命保険文化センター
    令和元年度「生活保障に関する調査」|公益財団法人生命保険文化センター

介護保険は加入する必要ある?

人によっては、公的介護サービスがあるから良いのではないかと言う方もいらっしゃいますが、公的介護サービスを受ける場合、1割から3割と言う自己負担が発生してしまいます。またその負担割合と言うものも、今後急速に見直されることが予想されるため、やはりそういった改悪に備えるためには、自分自身で一定部分を備える以外ありません。

介護保険に関しては、保険料が開始当初から2倍以上に増えており、現在月額6,000円を超えているのですが、噂によると、今から20年後には1万円を超えると言う話も出ています。そう考えると、その分の費用はしっかりと自分自身で準備する必要があります。

また、介護費用をご自身で準備しておかなければいけない理由は他にもあり、介護にかかる費用と言うのは、要介護度に応じた限度額として自己負担割合1割から3割のサービスと、それを超える公的介護保険の支給限度額を超えた上乗せサービスと言うものがあります。

それと同時に、横出しサービスと言う費用があり、これは公的介護保険では受けられないような食事の宅配や保険対象外の清掃、片付けや買い物、見守りのための定期訪問や、訪問理容、美容などのサービスです。また、公的介護保険適用外の物品の買い物も必要になる場合もあります。これは介護用のオムツや、介護用の食器、衣類などが入り、こういったものはもちろん全額自己負担となります。

公的介護保険での自己負担割合は1割から3割といっても、それを超える上乗せサービスが多いです。そもそも、介護保険の適用にならない横出しサービスは実際に介護状態になってみないとかかる費用として換算しにくいところだと思います。そして公的介護保険適用外の物品の購入など、こういった物の費用が重なっていくため、介護にはお金がかかると言われています。自分がいざ介護を受ける時には現在の公的介護保険で受けられる保障内容も改悪が進んでいる上、そもそも介護保険の適用外にかかる費用はたくさんあります。将来、安心して介護を受けるためにも今の段階から介護について備えておくことが重要です。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直

ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。

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