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2023.12.20

入院したら健康保険適用外の費用ってどれくらいかかる?【住宅FP関根が答える!Vol.82】

みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
国民皆保険の日本において入院した場合、頼りになるのは公的医療保険です。公的医療保険が適用されることにより高額な医療費がかかった場合でも、自己負担額は3割に抑えることができ、また一定額を超えると高額療養費制度により大きく負担を軽減することができます。
ただ入院をした際に、公的医療保険が適用されない費用が意外にもたくさんあるということをみなさんはご存知でしょうか。本日は公的医療保険が適用されない代表的な費用を確認していきたいと思います。

食事代の自己負担額

入院中に病院から提供される食事に対しても、一食460円の負担が決められています。平成28年4月1日から入院時の食事代について、健康保険法等の規定に基づき、それまでの食材費相当額に抑えられていた自己負担額が、新たに調理費相当額を負担するようになりました。当初の食事代の自己負担額は一食260円でしたが、段階的に値上げとなり、360円へ、そして現在は460円となっています。

1日3食出た場合1,380円となり、短期入院の場合にはそれほど大きな負担にはなりませんが、入院が長引く場合にはそういった食事代も溜まっていきますので大きな出費となってしまいます。

差額ベッド代

病気になったとき、周囲を気にせずに静かな環境で入院をしたいと望む方は多いものです。この時に利用するのは特別療養環境室、通称「個室」になります。この個室に入る場合に必要になるのが差額ベッド代です。一般の病室は6床の大部屋となっていますが、患者自身が4床部屋や完全個室などを希望した場合に請求される金額です。

差額ベッド代は、時に価格が高額になってしまうこともあるため、個室に入る場合には、患者が同意書へサインすることが必要とされています。公的医療保険の適用外となりますし、高額療養費制度の対象にもなりません。また、確定申告をする際の医療費控除の対象にもならないため、確定申告の際には注意が必要です。

差額ベッド代が発生するのは、4人部屋からとなっており、厚生労働省発表の令和5年7月「第548回中央社会保険医療協議会・主な選定療養に係る報告状況」によると4人部屋における差額ベッド代は2,705円。完全な1人部屋の個室になると8,322円となっており、平均で1日当たり6,620円となっています。ただその一方で、首都圏の私立病院になると、完全な個室で1日20,000円程度取られることも多いです。

※参考:主な選定療養に係る報告状況|厚生労働省

また、個室に入っても差額ベッド代を支払う必要は無いケースもあります。そういった場合の1つ目のケースは、患者が同意書による同意の確認を行っていない場合です。2つ目は治療上、特別室に入院させる必要があると判断された場合です。例えば、救急患者などで安静が必要とされている場合や集中治療が必要な場合などが該当します。また感染症などに罹患し、ほかの入院患者へ院内感染をさせないため、個室へ入院をした場合も差額ベッド代を払う必要はないとされています。

先進医療費

先進医療とは、厚生労働省が認めた高度な医療技術を用いた治療や手術のことです。2023年12月現在、先進医療は80種類となっています。先進医療に関わる費用が公的医療保険の適用外となるため、技術料に関しては全額自己負担となります。

金額は比較的安い治療になると「ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法)」などは28,388円とされていますが、がんの治療における放射線治療の一種である陽子線治療や重粒子線治療などは高額になり、中央社会保険医療協議会「令和4年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」によると陽子線治療で平均2,692,988円、重粒子線治療で平均3,162,781円となっています。先進医療においては民間の医療保険の特約で月々の保険料100円程度で付加することができるため、それらも検討してみるのもいいと思います。

※参考:令和4年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について|厚生労働省

以上が健康保険適用外になる病院に対して支払う費用になりますが、厳密にいうと、他にも家族の交通費や食費、その他諸雑費などもかかるため、そういった費用の負担も考えておく必要があるでしょう。

また医療技術の発展が速い時代、最先端の治療方法も次々に出てきています。ただそういった治療方法の多くは自由診療扱いとなるため、公的医療保険の対象にはなりません。また公的医療保険の治療を受けながら自由診療をうける混合診療は日本では原則禁止とされており、治療内容の一部に自由診療を入れた場合、全額自由診療になってしまいます。

公的医療保険と自由診療を混合診療させることができない理由ですが、全額患者負担の自由診療が一般化すると、患者の負担が不当に拡大される可能性があるからとされています。また、国が安全性や有効性などを確認していない自由診療が公的医療保険の診療と併用されてしまうと、科学的根拠が怪しい特殊な医療を助長してしまう可能性もあり、禁止されています。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直

ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。

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