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2022.06.08
お勧め特約!「先進医療保障」ってどんな特約?【住宅FP関根が答える!Vol.10】
みなさんこんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。今回のコラムでは医療保険に加入する際に多くの方が特約でつける「先進医療保障」についてお話させて頂きます。
なんとなく言われるまま先進医療特約をつけ、毎月の特約保険料も安いためそのままにしている方も多いと思いますが、一体どんな保障になるのかはっきりと理解している方は少ないように思います。今回はそんななんとなくしか理解できていない先進医療保障について解説させて頂きます。
先進医療とは?
先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養のうち、公的医療保険の対象になっていないものです。
日本の医療制度は安全かつ有用な治療を受けられるよう、一定の有効性と安全性が評価された治療法のみが、公的医療保険の対象となる仕組みになっています。
ただ医療は時代とともに日々進歩しており、その時代ごとに有効な治療方法、主流な治療方法が変わっていきますので、公的医療保険に含める治療法も適宜見直しが行われています。
先進医療は公的医療保険の対象となっていなくても、一定の有用性や安全性は認められているため、公的医療保険の給付対象となる保険診療と併用することが可能となっています。
では現在先進医療特約の対象となる先進医療とはどれくらいの種類あるのでしょうか。
先進医療は先進医療Aと先進医療Bの2つの種類に分かれています。
1つ目の先進医療Aとは、先進医療技術とともに用いる医薬品や医療機器等について、薬機法上の承認・認証・適用があるものや、人体への影響が極めて小さいもののことです。
2つ目の先進医療Bは、薬機法上の承認等が得られていない医薬品や医療機器を用いた医療技術、もしくは薬機法上の承認等を得た医薬品・医療機器を用いていても、その実施にあたって重点的な環境や評価が必要とされるものを示しています。
厚生労働省の「先進医療の各技術の概要」によると先進医療の種類は先進医療Aが26種類、先進医療Bが60種類の計86種類となっています。
先進医療とは最先端の技術を用いて行うものなので、それなりの設備や環境が必要で、治療を受けるには一定の基準を満たす限られた保険医療機関のみとなり費用も高額になりやすくなっております。全国で先進医療を受けることができる施設は先進医療Aで104施設、先進医療Bで225施設の計252施設となっています。
先進医療を受けるにはいくらかかる?
最も有名ながん治療における先進医療は重粒子線治療と陽子線治療です。厚生労働省の「令和2年度 先進医療の実績報告」によると平均にはなりますが、陽子線治療で約241万円、重粒子線治療で約312万円となっています。年間の治療件数は陽子線治療で1196件、重粒子線治療は約703件となっています。やはり治療件数があまり多くないのは、治療可能な施設が少ないこと、治療費が高額となることが理由になります。
また、先進医療の治療というのは通常の診療とは別途で行う形になりますので、病気に罹患してからかかる金額は先進医療費用のみではありません。通常の診療代が3割負担で診察や検査、投薬に入院費等がかかり、高額療養費扱いとなりますが、それでもかなり大きな金額がかかります。
その上で別途受ける先進医療費の全額がかかり、先進医療特約ではこの受けた先進医療費のみの支給となります。先進医療特約に加入していない場合、病気と分かってから、様々な検査に治療費がかかる上にいきなり300万円程度もの現金を用意しなければならないのは本当に大変です。治療の選択肢を広めるには先進医療は非常に有効でその先進医療費分だけでも負担してもらえるのは嬉しいものです。
先進医療から公的医療へ
いままで先進医療特約で一番利用が多かったのは白内障手術における「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」というものになります。
こちらの治療は白内障手術の治療方法で一般的になったことから、2020年3月をもって先進医療が終了となり、公的医療保険の対象治療となりました。
それにより先進医療の給付金支払事由が大幅に減ったため、先進医療特約の保険料を下げる保険会社が出てきております。現在はどこの保険会社も保険料の改悪、保障内容の改悪が進んでいる中、保険料を下げるということはなかなか見られない動きであり、お得に特約に加入しやすくなっております。
医療の世界も日進月歩、これからも新しい治療方法がどんどん出てきます。さらに今、先進医療と言われているものも治療法としてメジャーになっていくと、一般的な健康保険適用になると思われます。
また、実際には通常の診療代、先進医療費のほかにもかかる費用がかさばる場合が多いです。全国に先進医療を受けられる施設が252施設しかないと自宅から通える範囲で施設がなく、近くで治療を受けられない可能性も高いです。そういった状況で先進治療を受けるには、夫婦で、家族で病院へ泊まり、遠征することで治療を受けることも多いです。先進医療を受ける場合に実際にかかった金額の請求よりも先に、そういった遠征費などに充てるように10万円などの一時金が、治療準備金として支払われる場合もあります。
先進医療は特約でつけるものですが、特約内容も確認しましょう。先進医療を受けられる施設が自宅近くにない場合には遠征費がかかってきますので、一時金支給タイプの先進医療保険なのかを確認することも重要です。皆さんの治療の幅を広げるのは先進医療です。日々先進医療は進化していき今後も様々な治療方法が対象となっていくでしょう。もちろん必要になったときに大きな金額を現金ですぐに用意出来る方は特約に加入しなくても問題ありません。ただ少しでも不安のある方は月々数100円程度の特約保険料になりますので、私個人としては特約をつけることをおすすめします。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。