保険の基礎知識
2022.04.21
家族がいる方のがん保険の必要性を考える【FP監修】
現代は日本人の2人に1人はがんになると言われている時代です。
そのため、がんになったらどうなるの?と不安な方もいるでしょう。
本記事では、家族がいる方向けに、がんになった際の経済的影響とがん保険の必要性について解説します。
がんのリスクにどう向き合うか考える際に参考にしてください。
がんに罹患すると発生する経済的問題
がんに罹患した際に発生する経済的問題としては、「治療費の発生による支出増加」と「治療や後遺症による収入減少」が挙げられます。
治療のために支出が増えると同時に、治療や後遺症によって収入が減少する可能性がある、ということです。
支出増加と収入減少が同時に発生すると、使えるお金が大幅に減少する可能性があります。
ここでは、がんに罹患した際の経済的問題として、支出増加と収入減少について見ていきます。
治療費の発生による支出増加
がんになった場合、入院、あるいは、通院での治療を受けることになります。
がんの治療のために、どの程度の治療費が発生するかはがんが発症した部位や発見時のステージによって異なります。
基本的にはステージが進むほど多くの治療費が必要です。
治療費には、公的医療保険が適用される費用と適用外の費用があります。
公的医療保険が適用される治療費に関しては、3割の自己負担です。
さらに、高額療養費制度があるため、公的医療保険が適用される部分に関しては月の自己負担額に上限が設けられます。
上限額は年齢や所得によって異なりますが、年収約370~770万円以下の方であれば、8万円〜10万円ほどが毎月の治療費の上限額となるイメージです。
公的医療保険が適用されない費用に関しては、全額自己負担です。
例えば、先進医療や自由診療を受けた際の治療費が該当します。
また、入院時に、個室や2人部屋などを利用した際に発生する差額ベッド代や食事代も全額自己負担です。
治療費とは別ですが、入院や通院の際に病院に向かう際の交通費やウィッグ・胸部補整具などを購入するための費用も支出に含まれます。
治療や後遺症による収入減少
がんに罹患すると、治療のための入院や通院、治療後の体力の低下などが原因で、罹患前と同水準で働くことが難しい場合があります。
ライフネット生命が行ったアンケートによると、がん罹患前と罹患後の収入を比較すると、収入が20%減少している、との調査結果もあります。
とはいえ、どの程度収入が減少するかは働き方や発見時のステージにより異なります。
「派遣社員(非正規)」は39%、「パート・アルバイト(非正規)」は29%と、平均よりも約10%〜20%収入が減少したと回答しています。
働いた時間が収入に直結する働き方の場合、がんになるとその後の収入減少が大きくなる可能性が高いと言えるでしょう。
がんになった際のライフプランへの影響
これまでは、がんになると支出の増加と収入の減少により、使えるお金が少なくなる、というお話でした。
つまり、日々の生活に使えるお金や将来のために貯蓄に回していたお金が少なくなることを意味します。
生活費として使えるお金が少ない場合は、生活レベルを下げる必要があります。
家賃や通信費といった固定費を削減する、趣味に使うお金を減らす、節約する、などの工夫が必要です。
生活費を捻出するために、貯蓄を中断する、あるいは貯蓄の一部を生活費として使わざるを得ない可能性もあります。
子どもの教育費やマイホームの購入資金、といった資金を計画通り準備できなくなると、ライフプランを変更するしかありません。
がん保険の必要性
ライフプランに影響が出ないようにするためには、もしもの時のための貯蓄を用意する、あるいは、がん保険に加入する、といった対策が考えられます。
がん保険の必要性は貯蓄状況によって異なります。
がん保険が不要な家庭
がんになった際の支出増加と収入減少を想定した際に、貯蓄と公的制度だけで問題ないご家庭では、がん保険は必要ないと言えるでしょう。
がん保険の保険料を貯蓄に回し、さらに資産を拡大させることをおすすめします。
公的制度としては、先ほど紹介した「高額療養費制度」のほかに、傷病手当金や医療費控除などが挙げられます。
傷病手当金は、会社員や公務員が加入する健康保険にのみある制度です。
病気やケガが原因で働けない期間、直近1年間の報酬相当額の約2/3を最長1年6ヵ月間受け取れる制度です。
自営業やフリーランス、など、国民健康保険に加入している方は利用できません。
医療費控除は、1年間の医療費が10万円以上(総所得金額200万円以下の場合は【総所得 × 5%】を上回る部分)発生した場合、確定申告することで、税金の負担を抑えられる制度です。
がん保険が必要な家庭
がん保険が必要なご家庭は、十分な貯蓄がない、あるいは、がんになった際にライフプランに影響を与えたくない、と考えているご家庭です。
がん保険に加入すると、契約内容にもよりますが、がんの治療費を十分に賄うだけの給付金を受け取れます。
民間の保険の特徴として、現金を受け取れる点から、治療費だけではなく、減った収入を補うことにも利用できます。
保険料を支払う必要があるため、毎月の支出が増えますが、がんになった際の経済的影響を抑える手段として、がん保険はおすすめの商品です。
収入減少への備えとして、就業不能保険(特約)も併せてご検討ください。
まとめ
がんになると、支出増加と収入減少によって、家計に大きな影響を与えることが予想されます。
十分な貯蓄があるご家庭では、公的制度の利用と合わせて問題ないかもしれませんが、小さな子どもがいるご家庭など、十分な貯蓄がない場合はライフプランに影響が出るでしょう。
そのため、十分な貯蓄がないご家庭はがん保険の必要性が高いと言えます。
がん保険は商品によって保障内容が異なります。
リアほMAGAZINではがん保険の主な保障内容や選び方を解説している記事もありますので、ご参照ください。
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。日本FP協会AFP認定者。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。