保険の基礎知識
2022.04.26
医療保険に加入していたら安心?現金での備えも必要【FP監修】
医療保険に加入していると、いざ病気やケガになっても安心できますよね?
しかし、保険に加入していれば医療費の備えとしての貯蓄は必要ないのでしょうか?
生命保険はとても頼りになる存在ですが、保険金や給付金が支払われるまでに時間がかかるため、現金での備えは必要になってきます。
本記事では医療保険に加入している場合に実際の保険金や給付金の受け取るまでの流れ、現金としての必要な備えはどれくらい必要なのかを解説しています。
現金の備えがいくら用意すれば良いかの目安として参考にしてみてください。
医療保険に加入していたら安心?
大きな病気やケガで手術や入院をした場合の備えとして医療保険に加入している方は多いのではないでしょうか?
医療保険に加入していれば入院や通院にかかる費用を賄うことができるため安心できますが、現金での備えは必要ないかといえばそうではありません。
多くの場合は退院したときに医療費を支払い、その後に保険会社に請求することになります。この時間差の発生に注意しましょう。
そのため最初は自分のお金で立て替えておく必要があるといえます。病院によっては支払いにクレジットカードを利用できるところも増えつつあります。クレジットカードでの支払いであれば口座から引き落としまでに時間があるため、保険会社からの振込に間に合うかも知れません。しかし、間に合わないようであれば口座にまとまったお金を用意しておく必要があるといえますね。
では、保険会社に請求してから保険金や給付金を受け取るまでに、どのような手続きが必要なのでしょうか?受け取りまでの流れをみていきましょう。
保険金や給付金を受け取るのに時間がかかる
保険金・給付金の受け取りに郵送で行うのか、オンラインで行うのかによってもかかる時間に差が生じます。インターネットで請求が可能であればオンラインで手続きした方がスピーディですね。
保険金・給付金の手続きまでの流れ
まずは保険証券などを確認し、保険会社に問い合わせしてみましょう。
基本的には契約者である本人が請求することになります。指定代理請求人特約を付けている場合は指定代理人が請求することも可能です。
病院から診断書など必要な書類を発行してもらい、保険会社の請求書に必要な事項を記入し提出します。保険会社で請求書を確認し、支払事由に該当すると判断されると保険金・給付金を受け取ることができます。
現金の備えはいくら必要?
保険金や給付金の支払い手続きが完了するまでの間は立替する必要があるとお伝えしてきました。
では、医療の備えとしてどれくらいあれば安心なのでしょうか?
入院時にかかる平均費用は約21万円
生命保険文化センターが令和元年度に行った調査によれば、1入院あたりの自己負担費用の平均は20.8万円です。約21万円用意できれば良いことになります。この金額は高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額であり、治療費のほかにも差額ベッド代や入院時の食事代、日用品など入院にかかるすべての費用が含まれています。
しかし、入院費用は傷病の種類や年齢によっても入院日数が異なってくるためもっと多くのお金を備えておく必要も出てくる可能性もあります。
1日あたりの入院費用の平均はどれくらいなのかみていきましょう。
※参考:入院したときにかかる費用はどれくらい?|公益財団法人 生命保険文化センター
1日あたりの入院費用は平均23,300円
生命保険文化センターが令和元年度に行った1日あたりの平均入院費用は23,300円となっています。この金額も1入院あたりの平均費用と同様に高額療養費制度を利用した場合は利用後、治療費以外にかかる費用すべてを含んだ金額になります。
※参考:1日あたりの入院費用はどれくらい?|公益財団法人 生命保険文化センター
平均入院日数はどれくらい?
生活文化保険文化センターの調べによると、平均入院日数は29.3日です。病因により入院期間が長くなるものもありますが、だいたい1ヶ月間を目安に考えておくと良いでしょう。
※参考:入院した場合、入院日数は何日くらい?|公益財団法人 生命保険文化センター
高額療養費制度を活用した場合
入院費用の平均費用について見てきましたが、いずれも高額療養費制度を活用した場合は活用後の金額であるため自己負担額が抑えられています。
高額療養費制度とは大きな病気やケガで手術や入院した場合に窓口で支払う医療費の自己負担額を軽減させる制度です。通常、70歳未満であれば医療機関での支払いは3割負担となりますが、手術や入院で高額になった医療費をさらに減らすことができます。年齢や所得によっても負担額は異なりますが、70歳未満で年収330〜770万円であれば自己負担額の上限は87,430円となります。
適用されるのは手術や薬などの直接の医療費に対してであり、入院生活にかかる費用には適用されません。
また1ヶ月間(月初から月末)の医療費で計算されるため、月をまたいだ場合は自己負担額も変わってくるため注意が必要です。
限度額適用認定証をあらかじめ取得する
高額療養費制度を活用することでどんなに医療費が高くても上限額が決まっているため安心できます。しかし、高額療養費制度を利用するには自分で加入している公的医療保険に申請する必要があります。そのため窓口では一旦3割負担で医療費を支払うことになります。払戻までの手続きから実際にお金が戻ってくるまで3ヶ月程度時間を要します。
限度額適用認定証をあらかじめ用意できれば医療機関の窓口に掲示することで高額療養費制度を適用後の金額で済みます。
診察や検査など入院が事前に分かっている場合は限度額適用認定証を交付しておくと備えるお金も抑えられるでしょう。
まとめ
手術や入院した場合は医療保険の加入と現金での備えの両方が必要であることを解説してきました。
病気やケガをした場合に経済的負担をなくしてくれるのが医療保険でありますが、保険金や給付金を受け取るまでに時間がかかります。クレジットカードが利用可能な医療機関が増えてきていますが、口座から引き落としまでに間に合うかどうかは分かりませんよね。
やはり、一旦負担する必要性が大きいと考え、現金での備えは必須と言えるでしょう。
1入院平均費用が約21万円のため、まずはこれを目安に備えておくことをおすすめします。
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リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。