著名人・専門家コラム

2022.05.27

再検査の前に「生命保険に加入してしまおう」は賢い処世術といえるのか【FPコラム】

新年度を迎えると勤務先から健康診断の案内が届きます。注射やバリウムを受け、忘れたころに結果通知を受け取るとそこには「再検査」の文字が。万が一大きな病気だったら多額の医療費が必要になると、ここで唐突に医療保険の大切さを実感します。このとき、再検査の前に生命保険に加入する人がいます。これは賢い処世術といえるのでしょうか。

再検査の前に保険加入を勧めるリスクとは

再検査よりも保険加入を優先させる心理は再検査の結果、入院・通院などの「既往歴」となり、保険に入れないことも危惧することでしょう。また更新型の定期保険の保険料が高く設定されてしまったり、通常の保険に入れないことで引受緩和型などを選ばざるを得なかったりというリスクです。ただ、これは万が一の保障となる保険加入にとって、もうひとつリスクを増やすことに直結します。

保険金給付の段階になって告知義務違反になる場合も

告知義務違反とは、生命保険に加入する際に既往症を告知しないことで加入中の生命保険が無効になったり、保障内容を削減されることを指します。要検査診断どころか、健康診断を受けたことを隠して保険加入したとしても、「上手くいく可能性」はあります。ただ、実は大きなリスクを抱えていることもわかります。

それは保険加入段階ではなく、保険金給付の段階になって、告知義務違反の可能性が出ることです。どのようにして要検査を無視したかの方法論は置いておいて、保険会社にとっては「告知義務違反なので保険料は給付しません」という通知が出来ます。つまり、契約者<保険会社となるボールを保険会社側が持っている状態です。かつ重要なのは、保険加入時に告知義務を指摘されれば保険に加入できない「だけ」で済むのですが、保険金を受け取れないということはそれまで納付した保険も、保険に加入することで期待したリスクヘッジも、すべてを無駄にするということになります。これは決して「賢い」とはいえません。

要検査への対応は「早期発見」に繋がる

また当然ですが、要検査への対応は早期発見に繋がります。生命保険に加入していても、進行した悪性腫瘍(がん)の対応は医療費がかかり、また治療時間を費やすことで日常時間を侵食します。保険加入してからすぐ再検査するのなら(告知義務の可能性があるとはいえ
)それほどの時間ロスではないのですが、続々と再検査の優先順位が下がった結果、病気が進行してしまったという最悪のケースも想定されます。要検査にすぐに対応することは現在の保険料は抑えられても、数年後・数十年後に大きな医療費を必要とするリスクを生んでしまうという、大局的に見れば取るべき方法ではないといえるでしょう。

協会けんぽからの健康診断案内に注目

人事部から「健康診断を受けよう」という啓発案内が頻繁に来るので、ちらっと見て片づけてしまう、という方も多いでしょう。ただこの時期は協会けんぽの一部負担で健康診断を受けられる「生活習慣病予防検診」という案内も届きます。勤務先によっては人事部の丁寧な案内が行き届かず、「これ、興味あったら申込して」という自発性による場合も。定期的な健康診断に、これを活用しない方法はありません。協会けんぽを介さずに申し込む健康診断の費用相場と比べると、自己負担は3割から半額ほど。範囲に含まれていない悪性腫瘍(がん)検診や腹部検診、40歳や50歳などの区切り年齢の検診についても、同等の大規模な割引が期待できます。

令和4年の生活習慣病予防検診の内容

令和4年の主な検査内容を紹介すると、40歳検診では血液追加検診(血小板や抹消血液像)、総ビリルビンやアミラーゼ、LDHなどの生化学的検査。腹部超音波検査(腹部エコー)など。40歳から罹患率が上がる腎臓疾患や糖尿病、悪性腫瘍を初期発見するための検査が増えます。女性に関しては乳房エックス線(マンモグラフィー)などの婦人病検査、子宮頸がん検診などです。

どうも体調が悪いなど初期症状が出てからクリニックを受診して、大きな病院を紹介されてこれらの検査を受けることもあるでしょう。公的保険や高額療養費の対象内ではありますが、それでも家計にとっては大きな負担になります。ならば日頃に健康保険料として納めている、かつ労使折半の費用から負担してくれるこの診断を忘れないようにしましょう。専門家としては、多少自己負担が増えても、オプションを含めて広く診断することをお勧めします。

再検査は「もしも病気だったらどうしよう」という不安心を手伝うもので、見て見ぬフリをしたくなる心境もとてもよく分かります。家計の負担が増えるのではと、先に生命保険の検討をすることもありますが、良い展開には転ぶことはありません。まずは自分の身体に疑われるリスクの除去を最優先に向き合っていきましょう。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤崇

FP-MYS代表。ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。(執筆実績はこちら:https://fori.io/takashi-kudo)

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