保険の基礎知識
2022.06.29
私たちが支払う保険料はどう使われているの?【3分でわかる保険基礎】
保険に加入すると、保険料を支払うことになります。
私たちが支払う保険料の金額はどのように決まり、そしてどのように使われているのでしょうか?
純保険料と付加保険料
私たちが支払う保険料は、純保険料と付加保険料で構成されています。
純保険料
将来の保険料の支払いにあてられる部分を「純保険料」といいます。いわば「保険金の原資」にあたる部分です。
付加保険料
保険会社の運営経費などにあてられる部分を「付加保険料」といいます。保険会社の運営費や広告費、代理店手数料、保険会社の利潤などにあたる部分です。
純保険料と付加保険料の割合は、おおむね半々の場合が多いです。
ただし、保険契約1件あたりにかかる経費は、保険料の金額によって大幅に変わることはありません。そのため、保険料が多額になれば、付加保険料の割合は低くなります。
また、保険会社の運営にかかる経費を削れば、それだけ付加保険料を抑えることができます。通販型の保険や、ネット専業の保険会社は、保険事業を運営するための経費を削って安い保険料を実現しています。
ここからは、少し専門的な話題なので「保険料の仕組みをもっと知りたい」という人だけお読みください。
保険料はどうやって決まる?
保険料の決め方には、いくつかの原則がありますので紹介します。
給付反対給付均等の原則
保険事故の発生確率が高い人には、高い保険料を支払ってもらい、保険事故の確率が低い人の保険料は低く抑えるという原則のことです。レクシスの法則、公平の原則とも呼ばれます。
たとえば、次のようなことが検討されます。
- 若い人と年齢の高い人では、病気にかかったり、亡くなったりする可能性の大きさや時期が違う
- 木造の建物と鉄筋コンクリートの建物では、火事になった場合、被害の大きさが違う
次の等式が成り立つように保険料が決められます。
「事象の発生確率」を設定するのは、とても難しいことです。
「アクチュアリー(保険数理士)」という専門家が、データ、確率論、統計学などを駆使してこの数値を計算しています。アクチュアリーの資格を取るには、非常に長い年月と膨大な知識が必要です。
損害保険については、「損害保険料率算出機構」が保険料のもとになる数値を計算しています。
収支相等の原則
保険会社が保険契約者から集めた保険料の総額と、保険会社が支払う保険料の総額が、つりあうようにしよう、という原則です。
できるだけ多くのデータを集めて保険料を決める理由
保険料の金額を決めるとき、アクチュアリーはできるだけ多くのデータを集めて、検討します。なぜでしょうか?
たとえば次のような場合を考えましょう。
「50歳の人が5人います。1年後に生きている人は何人、亡くなる人は何人でしょうか?」
50歳ならまだまだ元気な人も多く、1年後も全員が元気で過ごしている可能性も高いでしょう。いっぽう、この5人が近所に住む人ならば、大きな災害で残念ながら全員が亡くなってしまう可能性もあります。
いっぽうで、50歳の人が1万人いた場合はどうでしょうか?
1年後に全員が元気で過ごしているという可能性は低くなり、病気や交通事故で亡くなる人もいるでしょう。いっぽう、たとえ大きな災害がおこっても、1万人全員が亡くなることはないでしょう。
このように、人数が大きくなればなるほど、起きる確率のばらつきが少なく、予測が立てやすくなることを「大数の法則」と呼びます。
保険料を決めるときは、「保険加入者のうち、どのくらいの人が元気で過ごし、いつまでにどのくらいの人が亡くなるのか」を予測し、その出来事が起こる確率の精度をできるだけ高めなければなりません。
先に紹介した「大数の法則」によると、確率の精度を高めるために、できるだけ多くのデータを集めて検討することが必要となるのです。
そして、大数の法則を用いて設計される保険もまた、できるだけ大勢の契約者に加入してもらうことで成り立つ仕組みなのです。
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