著名人・専門家コラム

2023.09.27

保険代理業の倒産が過去最多ペース、2023年上半期は前年の2.6倍【住宅FP関根が答える!Vol.70】

みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
みなさんは生命保険、損害保険を扱う保険代理業の倒産が現在大変多くなっていることをご存知でしょうか。2023年の上半期において保険代理業の倒産が16件と前年同時期の2.6倍に達しました。今まで保険代理業の倒産が最も多かったのは2001年、この年は25件に達していますが、このペースで行くとその年を上回る可能性があります。

保険代理店業界の現状

先日も私のコラムで、ほけんの窓口が住宅ローン比較サイトであるモゲチェックと提携し、住宅ローン提案を行うことや、大手ローン会社であるARUHIと提携し、住宅ローンの提案を行うこと、投資信託の仲介業を開始するという話をしております。ほけんの窓口では、1995年以降、右肩上がりに業績を伸ばしていましたが、ここ数年、大きく利益を落としていました。それは、生命保険加入、生命保険見直しのマーケットが徐々に飽和状態になりつつあり、今までのように保険一本での拡大路線というものが難しくなってきたという実情があります。

ただこれは、ほけんの窓口に限ったことではありません。そもそも日本における生命保険の世帯加入率は、「2021年の生命保険に関する全国実態調査」によると、89.8%にも達しております。また、以前は生命保険に加入するなら保険代理店でおこなうというのがメインだったのが、2007年には銀行や郵便局などの金融機関の窓口において保険販売ができるようになり、また、携帯電話のキャリアなどでも保険の販売をする動きが出てきており、異業種からの進出も相次ぎ、保険販売における市場は競争が激化しています。

※参考:2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査|公益財団法人生命保険文化センター

日本において今後は少子化が予想され、保険の加入者も今までのように右肩上がりに増加していくイメージはもてません。また現在は、保険不要論を唱える人も若者を中心に多くなってきており、最低限の保障なら共済に加入していれば良いと考える人も多くなっております。そして、ほけんの窓口や、保険見直し本舗、保険クリニックなど大型のショッピングモールなどに出店する保険ショップも増えてしまい、保険代理店は売り上げを落としています。

保険業法改正による影響

また、生命保険販売というものは、販売をした募集人の給与の歩合率が高い業種です。そしてこの歩合率も一般的に保険料が高い商品を販売すれば、販売をした募集人に多くの手数料が入る仕組みになっています。そして以前よく問題とされていた、特定の商品に対し保険会社がインセンティブ(上乗せ利益)を提供することもありました。そういったインセンティブがのせられた商品を優先的に販売する保険代理店もあり、金融庁は2016年、規制を強化するため保険業法の改正を入れています

この保険業法の改正により、保険会社がインセンティブを上乗せすることも減り、それにより保険募集人の収入も大きく減ることとなりました。また、この改正により、代理店における保険関連の管理コストが増えてしまい、これらも保険代理店にとって収益を圧迫させることになりました

NISAやiDeCoの台頭

また、多くの募集人にとって収益の柱となっていた貯蓄型の保険は、時代の流れとともにNISAやiDeCoなどと競合するようになり、それまで貯蓄型保険の契約をしていた層は、手数料も安くリターンも大きいインデックス投信へ流れていき、それまで収益を上げていた募集人の大きな収益源を失うこととなり、それら複合的な原因により昔からある生命保険代理店の数は減り続けています。

飽和状態の生命保険市場、2016年の保険業法改正、NISAやiDeCoなど貯蓄保険からインデックス投資への移り、ショッピングモールなどへ出店する保険ショップなど保険代理店にとって厳しい状況となっています。

今後日本は、若者の人口、労働者人口がさらに減っていくと予想されています。それに伴い10年前、20年前と同じような保険営業をかけることもできず、今後は生命保険販売の世界は厳しさを増していくことと思われます。

生命保険協会による「2022年版生命保険の動向」によると、日本にある法人代理店数はこの5年間で35,113店から、2021年は32,848店へと約6.5%減少し、また個人代理店数は53,537店から、47,689店へと10.9%減少していると発表しています。2020年度は、新型コロナ感染症が流行した年ということあり、保険代理店だけではなく多くの業界で閉業などが多かったことが想像されますが、今後も少しずつ店舗数は減少していくと予想されます。

※参考:生命保険の動向(2022年版)|一般社団法人生命保険協会

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直

ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。

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