生命保険の選び方
2021.12.15
会社員の人におススメの保険って?
「社会保険(公的保険)だけでカバーできないのかな。」
「社会人になって保険を検討したいけど、何を備えたらいいか分からない。」
「先輩や同僚から紹介された保険営業の方から加入しているけど、自分に合っているのか分からない。」
「結婚した、子どもが産まれた、でも保険は独身の時に加入したままだけど大丈夫かな?」
この記事ではこのようなお気持ちの会社員の方に、おススメの保険を「なぜその保険なのか」という理由も添えて紹介しています。
会社員の方が保険を検討する際のご参考になれば幸いです。
会社員と自営業の違いは何?
会社員は雇い主と雇用契約を結んで働き、その対価として給与をもらう働き方の人です。
働き方改革の影響もあって今では色々な働き方が増えてきましたが、基本的には勤務時間、勤務日数、担当業務などが決められていることがほとんどです。裁量も許可された範囲内です。
では、一方で自営業(個人事業主)はどうでしょう。
自営業はどんな業種にするにも自分で決められます。どんな仕事をしても良し、勤務時間、勤務日数も自由です。 色々なことが自由な反面、自営業の人は公的保障が会社員のように手厚くありません。
会社員と自営業の大きな違いの1つは社会保険の保障範囲です。
順番に解説していきます。
会社員の社会保険とは
給与明細を見た時に「社会保険料高いなあ。これが無ければ手取りがもっと多いのに。」と思ったことはありませんか?
社会保険料と言えば、給与から天引きされる健康保険と厚生年金のイメージですが、正確には4つあります。
1.健康保険
病気や医療費の本人負担が3割で、残りの7割は健保組合が支払う制度です。
一般的に、会社の健康保険組合へ加入する、もしくは協会けんぽへ加入するケースが多いです。
公務員の方は各種、共済健保に加入します。
ちなみに自営業の人は国民健康保険と言って市区町村の役所から加入します。
会社員のメリット
(1) 健康保険料の負担が半分
半分を会社が負担してくれます。
(2) 傷病手当金制度がある
病気やケガで就業不能(働くことができない)と診断された場合、前年度給与の約3分の2を傷病手当金として毎月1回受給できます。
これを最長で18ケ月間分(18回)受給することができます。
※本記事では、2022年1月健康保険法改正に合わせた内容で記載しています。
(3) 家族を扶養に入れられる
所得が一定以下である配偶者、子どもを扶養に入れられます。ご自分が健康保険に加入していると、社会保険上の扶養が利用でき、被扶養者になった人は、被保険者が健康保険に加入し続けるまで(被扶養者が扶養条件を満たすことが条件)、健康保険料を払う必要がありません。
健康保険の傷病手当金と扶養は自営業の人は利用することができませんので、会社員の方のメリットといえます。
2.厚生年金
厚生年金保険料を給与天引きで納めます。
受取りは国民年金も厚生年金も65歳からですが、納付期間は異なります。
国民年金は60歳まで納付、厚生年金は退職しなければ最大70歳まで納付します。
受取れる年金額は給与の額と厚生年金を納めた期間によって異なります。年金定期便に受取り金額が記載されていますので、気になる方は確認してみてください。
会社員のメリット
(1) 被扶養者の保険料負担がない
扶養に入れた配偶者の厚生年金保険料を納める必要がありません。
(2) 2階建ての年金
会社員は、国民年金と厚生年金の2階建てで受取ることができます。納めた期間と金額にもよりますが、厚生年金の受取額は国民年金の2倍ほどになるケースも珍しくありません。
社会保険の扶養、厚生年金は自営業の人は利用することができないため、会社員の方のメリットといえます。
3.労災保険
業務中に起きたケガや病気の治療費や、業務ができないことによる損害を補償する保険です。
通勤・帰宅途中でのケガも補償の対象になります。他にも勤務中に亡くなった時の遺族補償給付や後遺症が残った時の障害補償給付などがあります。
自営業の人はこの制度を利用することができません。そのため、会社員の方は、通勤、勤務中の病気やケガについて一定の保障を受けられる点がメリットといえます。
4.雇用保険
従業員の雇用に関する様々な保障をしてくれる保険です。
・失業したとき
失業した際の生活費をカバーする失業給付金や再就職の支援をする給付金などがあります。
・育児休暇を取得したとき
通称、育休と呼ばれる育児休業給付金が、条件を満たすと子どもが1歳になるまで給付されます。
他にも、教育訓練給付金や介護休業給付金などがあります。
会社員のメリット
自営業の人はこの制度を利用することができません。そのため、会社員の方は、失業や休業に対して一定の保障を受けられる点がメリットといえます。
会社員が亡くなった時の公的保障
会社員が亡くなった場合、国民年金と厚生年金によって遺族を経済的に支援する制度があります。
受け取れる金額は、家族構成や収入によって異なります。
遺族年金
子どもがいる会社員の方が亡くなると、国民年金からのこされた家族に遺族年金が支払われます。
遺族基礎年金789,000円に子※1人あたり224,700円が加算され、年金合計は1,013,700円になります。
子2人の家庭なら更に224,700円加算され、年金合計は1,238,400円です。
3人目以降の子は、減額されて1人あたり74,900円になります。
※子とは、次の者に限ります。
・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
・20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
遺族厚生年金
遺族年金とは別に、厚生年金から遺族へ支払われる年金です。遺族厚生年金は、子どもがいなくても受取ることができる点が遺族年金との違いです。受け取れる金額は、収入によって異なります。
受取り期間は亡くなった方の配偶者が65歳になるまでです。
※受給の対象者が夫、父母、祖父母の場合は、原則60歳からなどの制限があります。
中高齢寡婦加算(ちゅうこうれいかふかさん)
夫が亡くなった時に妻が40歳以上の場合で子どもがいない場合、または遺族年金を受給していてその期間が終了した妻が受け取れます。
夫は受け取れず、夫が主夫だったとしても受け取れません。
金額は一律で2021年現在585,700円です。金額は改定されることがあります。
受取り期間は受給者が65歳になるまでです。
会社員のメリット
(1) 年金が2階建て
遺族年金と遺族厚生年金を受け取ることができます。
(2) 中高齢寡婦加算
妻のみの制度ですが、夫が亡くなった時に条件を満たしている場合は受け取れます。
遺族厚生年金と中高齢寡婦加算の制度は、自営業の人は利用することができませんので、会社員の方のメリットといえます。
社会保険の不足部分
会社員は自営業に比べると、公的保障が手厚いことをご理解いただけたかと思います。
しかし、手厚いと言っても、十分足りるという意味ではありません。
公的保障をベースに、不足している分を民間の保険で補うムダの無い保険の選び方をここからお伝えします。
収入保障保険
会社員の方が亡くなった場合、のこされた家族の方は遺族年金と遺族厚生年金を2階建てで受取ることができます。
しかし、公的年金だけで万が一の生活資金として十分生活できる金額であるか?と言うと、不足するケースも多いでしょう。
のこされた家族が働いていたとしても、子どもがいてひとり親になると育児や家事の負担が大きく、今までのように働けない可能性も十分考えられます。ひとり親になって収入が落ちてしまうなど、毎月の生活費が不足してしまうことも容易に想像がつきます。
その不足額をカバーする保険として、おススメの保険が収入保障保険です。収入保障保険は、生命保険の一つで、のこされた家族が保険金を一括受取りではなく、お給料のように毎月受取るタイプです。毎月受け取るタイプのため、一括で受取るタイプの保険よりも、保険料を安く抑えることができる点がメリットです。
また、万が一のときに毎月いくら、と設定して加入するため、遺族年金と遺族厚生年金とあわせて毎月の収入がどれくらい確保できるかがわかりやすい点も選びやすさから見てメリットといえます。
がん保険、三大疾病一時金保険
会社員は、健康保険のおかげで、自営業の方より保険料の負担が軽減されています。
では、どのような保障が不足していると考えられるでしょうか?
たとえば、がん、もしくは三大疾病の保障です。
三大疾病とはがん・脳卒中・急性心筋梗塞の3つをさします。
がんや三大疾病は多額の治療費がかかる上に、治療期間が長期化する恐れもあります。
その上、罹患率(病気になる確率)は年々高くなっています。
国立がん研究センターの2018年のデータではガンを患う確率は男性が65.5%、女性も50.2%あります。
参考:国立がん研究センター|最新がん統計 HOME> 最新がん統計
医療保険は、入院と手術の保障が基本であるため、医療保険だけでは治療費をカバーしきれず、貯蓄を切り崩す可能性も考えられます。せっかく目的があって貯めてきたお金が、大病の医療費で尽きてしまってはとても残念ですよね。貯蓄がなければ負債を背負うことにもなりかねません。
ここでは、おススメのがん保険の加入方法を紹介します。
(1) がん診断給付金、または三大疾病一時金の特約(オプション)を付加できる終身医療保険に加入する
(2) がん保険、三大疾病一時金保険に加入する
(3) 既に加入している医療保険に、がん診断給付金特約、三大疾病一時金特約を追加する
注意点はがん診断給付金、三大疾病一時金は商品ごとに給付条件、給付回数など、細かく条件が設定されている点です。細かい点もしっかり理解して、いくつかの保険を比較検討したうえで、総合的に自分にあったものを選ぶのがおススメです。
貯蓄型の保険
退職後の生活費についても、公的制度だけでは不足する分は準備が必要です。
会社員の方は、国民年金と厚生年金を2階建てで受け取れますが、年金問題は頻繁にニュースで取り上げられるほど受取額が注目される制度です。
ギリギリで生活するより少しでもゆとりがあった方が良いですよね。
今のうちからしっかり貯蓄しましょう。
退職後の生活資金準備としては、貯蓄型の生命保険または、個人年金保険がおススメです。
保険で貯める場合、加入する年齢が若い方ほど保険料を抑えることができます。そのため、貯蓄型の保険はできるだけ早く始めることをおススメします。
まとめ
会社員の方の公的保障と公的保障の不足分を補うためにおススメの保険を紹介しました。
会社員におススメの保険は、遺族年金と遺族厚生年金の不足分を補う収入保障保険、健康保険の不足分を補うがん保険、三大疾病一時金保険や医療保険の特約、そして退職後の生活資金準備に役立つ貯蓄型の保険です。
自身にかかる公的保障をまずは理解したうえで、ムダの無い保険選びをしていく参考になれば幸いです。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。