保険の基礎知識
2021.09.27
子どもの医療保険は必要なの?医療費助成があるからいらないってホント?
「子どもに医療保険は必要ない」、という意見をよく耳にするかと思います。
その根拠としては、医療費助成があるからです。
とはいえ、本当に必要ないかどうかは各ご家庭ごとに判断する必要があります。
本記事では、医療費助成の解説をしつつ、子どもの医療保険の必要性についても解説していきます。
子どもの医療保険をどうするかお悩みの方はぜひ参考にしてください。
■子ども医療費助成制度とは?
子ども医療費助成制度とは、子育て世帯の負担を軽減するため、子どもが病気やケガの際の入院や通院にかかる医療費を都道府県や市区町村で助成する制度です。
子どもの医療費は公的健康保険により、小学校入学前で2割、小学校入学後は3割の自己負担です。
さらに、子ども医療費助成制度があるため、そこから自己負担額がさらに抑えられます。
ただし、制度の内容は自治体によって異なるため注意が必要です。
小学校入学前の子どもの保険診療を自己負担分を支払わずに受診できる地域もあれば、自己負担分が数百円程度発生する地域もあります。
そのほかにも、対象となる年齢や給付範囲、親の所得による制限の有無や限度額、助成方法など、自治体によって制度の内容が異なるので、お住まいの地域の医療費助成制度の内容をしっかりと確認しておきましょう!
■民間の医療保険の必要性
民間の保険に加入する際は、公的保障で補うことができない医療費の負担や収入減に備える目的があります。
そのため、まずはご自身のお住まいの地域で受けられる公的な保障内容を確認しましょう。
子どもの医療費に関しては、自治体によっては子ども医療費助成制度の内容が充実しているため、「医療保険に加入しなくてもいい」と判断されるご家庭もあるかもません。
ただし、子ども医療費助成制度を含む公的保障だけでは子どもの医療費の負担が心配な方は民間の医療保険を活用しましょう。
子どもの受療率は?
子どもに医療保険か必要かどうか判断する際に、入院や通院(外来)の受療率がひとつの判断材料です。
入院だけをみると、0歳児の入院は比較的多いものの、1歳〜14歳までの入院率を見ると低いです。
ただし1歳~4歳までは、外来の受療率はそれほど低くはならないので、自治体の公的保障の内容次第では加入を検討してもいいかもしれません。
ただし、多くの民間の医療保険の場合、入院した後の通院が保障の対象となり、軽いケガなど、入院の伴わない外来診療は保障の対象とならないので注意が必要です。
公的保障の範囲外になる費用
子ども医療費助成などの公的保障によって、入院や通院時の医療費の負担が軽減されますが、公的保障の範囲外になる費用もあります。
代表例としては
・差額ベッド代
・交通費
などが挙げられます。
差額ベッド代は大部屋以外を希望した際に発生する費用です。
病院や部屋のレベルによって1日ごとにかかる差額ベッド代は異なります。
厚生労働省の調べによると差額ベッド代の1日あたりの平均費用は6,354円、1人部屋の平均は8,018円です。※1
0歳〜14歳までの入院日数の平均は7.4日です。※2
お子さまが入院した際に、個室の利用を希望される場合は、約8日分の差額ベッド代が自己負担の目安となります。
先ほど解説したように、0歳児を除く子どもの入院率はそこまで高くはありません。しかし、もしものときの公的保障の範囲外となる自己負担分への備えを目的に、子どもの医療保険を検討してもいいかもしれません。
親の収入減
共働き夫婦の場合、子どもが入院した際の看病のために仕事を休む必要が出てくると、収入減になることも予想できます。
このようなケースの収入減に対しては、公的保障で備えることはできませんが、医療保険の給付金が出れば収入減をカバーできます。
出典:
※1 厚生労働省|中央社会保険医療協議会 総会-7-2 2.9.16主な選定療養に係る報告状況
※2 厚生労働省|平成 29 年(2017) 患者調査の概況
■子どもの医療保険を検討する場合
子どもの医療保険を検討する場合、どのような保障内容がいいのか、何歳から加入するのがいいかについて解説していきます。
入院日額だけでなく、入院一時金の保障もチェック
子どもの入院率が高くないことからすると、医療保険に加入しても給付金を受け取る可能性もあまり高くないと言えます。
親が入院した場合と子どもが入院した場合では、子供が入院した場合の方が家計に与える影響が少ないと考えられるため、保険料の負担を抑えつつ、必要な保障を得ることが合理的です。
たとえば、収入減少に備えた保障が必要な場合は、入院日額は低めに設定する代わりに入院一時金を多めに設定すると入院日数が少なくても前後の通院費や親の収入減をカバーできます。
また、掛け捨ての医療保険の方が保険料の負担は抑えられるのでおすすめです。
加入のタイミング
0歳児の入院率が比較的高い点から、子どもが生まれてから早い段階で保険に加入することをおすすめします。
生まれてすぐに加入するそのほかのメリットとしては、
・保険料の負担が抑えられる
・将来的に保険に加入できないリスクを回避できる
この2点が挙げられます。
年齢が若いほど保険料は安くなるため、生まれてすぐに加入すると保険料の負担が抑えられます。
また、一度大きな病気になると、以後保険に加入しにくくなるため、あらかじめ加入しておくことで将来的に保険に加入できないリスクを回避できます。
医療保険の中でも、保障期間(保険期間)が終身のタイプは加入時の保険料が大人になっても変化しないため、0歳から加入するとずっと同じ保険料で保障を持ち続けられます。一方で、定期タイプの医療保険は、満期があるため途中で入りなおす必要があります。
医療保険に入り続けることを考えると、定期タイプで何度か入りなおすより、一般的に終身タイプのほうが将来の保険料の総額は安くすみます。
■まとめ
子ども医療費助成制度を利用すると、子どもの医療費の負担を抑えられます。
制度の内容や制限などは自治体によって異なるため、まずはお住まいの地域の保障内容を確認しましょう。内容によっては、子どもにかかる医療費がかからなかったり、ほとんどの費用が制度で補えることがあるため、家庭によっては子どもの医療保険は不要な場合もあります。
しかし、子どもが入院した際の差額ベッド代や共働き夫婦の収入減など、公的保障の範囲外の費用の備えが欲しい方は民間の医療保険が活用できます。まずは、お住まいの自治体の公的な制度を確認してから検討することをおすすめします。
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リアほMAGAZINE編集局
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