日常に定着したテレワーク。意外と気づかれていない「労災保険」との関係【FPコラム】

新型コロナ蔓延により休業や時短活動をした社会も、少しずつ日常に戻ってきているようです。朝会社に行って夜に自宅に戻るというそれまでの常識を覆したテレワークはすっかり定着し、今後のコロナ流行如何に関わらず、テレワークを継続する会社も多く見受けられます。

ただ、テレワークには意外に気づかれていないポイントがあります。労災保険(労働災害保険)との関係です。テレワーク中に「もしものこと」があった場合、労災保険の対象になるのでしょうか。どのような点においてオフィス通勤による労災保険適用と違いがあるのでしょうか。

「勤務中」であれば労災の対象に

実はこのポイントに対し、既に厚生労働省が公的見解を出しています。既にトラブルが報告されているのかもしれません。見解によると、事業者からの指示で「会社の管理下」にある場合には、従業中と認められるとのこと。この定義によると、労災保険の対象となるのは以下のような状態のときです。

  • 自宅のパソコンの前に座っている
  • 自宅のパソコンから離れていても、関連書類の管理や電話対応、チャット対応をしている
  • ちょっとした水分補給やトイレの使用

内外とオンライン会議をしていた場合はもちろん、関連する書類を確認していた場合などは、業務起因性が認められ労災保険の対象になります。一日トイレにも行かず水分補給もせず仕事はできないもの。必要相当の動きは勤務中の一環と見なされます。では、勤務中と見なされない場合はどのような状況なのでしょうか。

  • 休憩を目的としたトイレや飲食、喫煙などの行為
  • 洗濯物や料理などの時間
  • 子育て・介護
  • 業務に関連のない外出

このように分けるときわめて当たり前だと感じます。テレワークだろうと通勤と変わらず、事業者の指揮下にある時に限り労災の対象となります。テレワークは指揮下に入る・指揮下から離れるという状況の変化が細かく訪れるのがテレワークの特徴なので、労災保険の論点になっています。なおテレワークには会社に通勤するほか、サテライトオフィスや喫茶店・会議室などで仕事をする場合も含まれますが、便宜上今回は自宅の執務のみをケースとして考えます。

テレワーク中に考えられる労災事故とは

具体的にテレワーク中の労災事故とは、どのようなものが考えられるのでしょうか。考えられるのは、業務中に地震などでパソコンやデスクが倒れたケガをするというケースです。

地震や不作為な状況でパソコンやデスクが倒れてケガをした場合、労災の対象となります。業務中にお茶を飲もうとポットで湯を沸かし、火傷したときは対象になる場合が多いですが、あまりに長時間だと休憩時間と見なされます。判断の分かれるのは喫煙時間で、いかに業務との関連性を立証するのかが重要です。パソコンなどのツールやデスク・ラックなどは会社のものではなく私的所有物であることが多いので、不十分な固定や欠陥品を自覚していた場合は、事業者と争いになるケースもあるようです。なお業務中にベッドの隅で足をぶつけ骨折し、通院した場合も業務中と見なされ労災の対象になったというケースもあります。

どうやって立証をするのか

もちろん、休憩中に料理をしていて火傷をした場合などは、当然ながら労災の対象にはなりません。ただテレワークで難しいのは、執務時間と休憩時間が明確に線引き出来ないことも多いということです。夏場の酷暑のなかで水分補給の時間が長引いたときに、従業員側は業務中なので労災の対象と主張し、事業者側は休憩時間に入っているので対象外だと主張するという争いが今後も考えられます。労災保険の現場としては、随時具体的なケースが積みあがっている現状ともいえます。

労災の申請があったとき、審議をするのが労働基準監督署です。労災と申請されたケガが業務遂行性と業務起因性を有するものかどうかを審議し、労災保険の対象かを判断します。この時に問題になるのが、立証の難しさです。

例えばオフィスでの転倒事故であれば、一部始終を見ていた同僚など客観性が担保できますが、テレワークはそうはいきません。そのため最近は「業務時間中かどうか」を立証するサービスが広まっています。パソコンに座った時間を自動計測するようにしたり、休憩中だと離席マークを押させたりする機能です。ケガをした時間が自動記録されるものではないので難しい面は残りますが、今後も更に機能を増やし、広がっていく可能性はあります。

まとめ

テレワークはとても便利なもの。通勤が無くなったことで満員電車に乗る必要も無くなれば、仕事のパフォーマンスを維持しながら家族と一時間長く一緒に居られるという効果も生み出しています。今後コロナが完全に鎮静化したとしても、引き続きテレワークを中心とする企業は残っていくでしょう。だからこそ突然のケガという万が一の事態にどうなるか。その対応も含めて、頭の片隅に入れておきましょう。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER'S PROFILE
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤崇
1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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