著名人・専門家コラム
2025.03.24
老後が心配なら健康寿命!健康な老後を迎えましょう【住宅FP関根が答える!Vol.141】
みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
みなさんは健康寿命という言葉をご存じでしょうか。2000年にWHO(世界保健機関)が「健康上の問題で、日常生活が制限されることなく、生活できる期間」と定めています。個人的にはとても重要な考え方だと思います。今は医療も発達してきており、必然的に寿命が長くなってきています。しかし、それは健康で生きており、いきなりぽっくり亡くなるわけではありません。今回はこの辺りについてお話していきます。
平均寿命と健康寿命の差はどれくらいなのでしょうか。厚生労働省の2023年のデータによると男性の平均寿命は81.09歳、約81歳となっており、女性は87.14歳、約87歳と発表されています。それに対して2022年に厚生労働省から発表されているデータによると健康寿命は男性が72.57歳、約72歳であり、女性は75.45歳、約75歳となっています。つまり、男性の場合9年間、女性の場合12年間も日常生活が制限された状態で老後を過ごすということになります。
※参考:令和5年簡易生命表の概況|厚生労働書
健康寿命の令和4年値について|厚生労働省
ここで考えていきたいのは何歳まで働きますかということです。現在の退職年齢はいまだに多くの企業で60歳、通常年金が受け取れる65歳まで再雇用という形で年収は落ちつつも働き、65歳で2度目の退職というのがオーソドックスな形かと思います。そこで初めて仕事や子育てからは解放されて、老後は趣味や旅行などを楽しみたいと考えていても、健康寿命は男性が72歳、女性は75歳です。65歳から72歳までは僅か7年間、女性でも10年間しかありません。やっと自由になった老後です。旅行などにも積極的に行きたいと考えていても身体が悪くて生活に制限が出てしまっては楽しみや楽しみ方も減ってしまうのではないでしょうか。
また今から40年後には、国民の40%近くが65歳以上になります。そうなるとどうなると思いますか。年金財源がひっ迫します。そうなると、年金受給年齢が繰り下げられると思いませんか。私はほぼ、既定路線だと考えています。
※参考:令和6年版 高齢社会白書|内閣府
それでは仮に、年金が68歳支給になってしまった場合、どうなると思いますか。収入なくして老後を過ごすことはできないため、当然それまで働くことになります。あくまで私個人の予想ですが、このころにはおそらく企業の定年退職年齢の廃止が義務付けられるでしょう。現にもともと年金は60歳支給で、60歳退職だったものが65歳支給になったタイミングで、退職は65歳まで延長されています。
仮に、退職年齢が68歳になった場合、男性の健康寿命は72歳で残り僅か4年間、女性の場合で7年間しかありません。年金の支給年齢を3年ずらすことはできても健康寿命を3年延ばすことは容易ではありません。やはり、老後の自由な時間が減っていくことも間違いないでしょう。
日本政府も病気の人が増えると健康保険財政がひっ迫してしまうので病気にならないように、予防の面で啓蒙活動をしています。厚生労働省では、健康寿命を延ばすための「スマート・ライフ・プロジェクト」があり、個人への呼びかけはもちろん企業、各団体、NPO法人や医療法人にも参加を呼びかけています。このスマート・ライフ・プロジェクトは人生の最後まで元気に健康で楽しく毎日が送れることを目標にしており、重要視しているのは「運動」「食生活」「禁煙」の3つです。それに加え、自身で自分の体の状況を知るということの大切さを発信しています。日々の健康維持のための食生活や運動、病気の早期発見のための定期健康診断や特定健診、がん検診などをしっかりと受けましょうというものです。
実際に厚生労働省が発表している内容はまずは運動です。掃除や庭いじりなどで毎日10分体を動かす、日常生活で体を動かす、歩くことを推奨しています。音楽3曲分の徒歩、時間にして10分程度です。都内とかですと地下鉄一駅分歩く程度の時間です。しっかりと手を振って早歩きをすることは立派な運動になります。こういった日常で負担が少なく苦しくない程度の手軽な運動を勧めています。
次に食事です。野菜をしっかりと摂り、朝食を摂ろうというものです。手軽にできる朝食の摂り方として、中身をその日ごとに変えたおにぎりを食べたり、忙しい方は、出勤途中にあるカフェに立ち寄るなどです。野菜不足対策としてはトマトを半分食べましょうといったものやスープや煮物、温野菜などで工夫して接種するといったものです。
そして禁煙です。これに関しては本当に禁煙されることをお勧めします。やめたほうがいいと思っていてもなかなかやめることができないという方も多いと思います。保険にも大きく響いてきます。収入保障保険の非喫煙体の場合、保険料が2割くらい安くなっています。つまりそれくらい、たばこを吸っている人は死亡リスクが高いということです。それからたばこは、本人は良くても周りが迷惑することが多いです。
受動喫煙も肺がんになる危険性を2~3割程度高めるといわれています。
そして、たばこは妊娠合併症も引き起こします。妊娠中の喫煙、受動喫煙は自然流産、早産、子宮外妊娠などの危険性を高めるほか、子どもの低体重、出生後の乳児突然死の危険性も高まります。家族みんなの健康を守るためには、妊婦さん本人だけではなく、家族みんなが禁煙をすることが必要です。
ちなみに厚生労働省科学研究班の発表によると、毎年受動喫煙と因果関係のある疾患によって1万5千人が亡くなっていると言われています。今は医療の進化から、3大疾病を乗り越えることができれば90歳まで生きることは普通になると言われています。健康な老後生活を送れなかったら、何のための人生なのかと思ってしまいませんか。
※参考:たばこ対策の健康影響および経済影響の包括的評価に関する研究|厚生労働省科学研究班
人は亡くなった時のリスクに備えて死亡保険に加入するのですが、実は人には長生きリスクというものもあります。何歳まで生きるのかが分からないため、お金の使い方は難しいです。健康寿命から寿命までの期間を短くしていくことが楽しい老後生活を送る秘訣になっていきます。そのためにできることは今からです。いざ老後から楽しく過ごしたいと考えて運動を始めてもできることは限られます。後々後悔しないように、今から習慣付けていくことが重要です。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。