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2023.09.11
分かっているようで分かっていない?高額療養費制度とは【住宅FP関根が答える!Vol.67】
みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
みなさんは高額療養費制度について理解できていますでしょうか。医療保険を検討する際に考えることは、医療費は多くの場合自己負担3割となり、さらにその3割負担分が一定額を超えると高額療養費制度の対象となり、実際に支払う金額が大幅に減るということです。こういったことを前提に医療保険に加入するべきかどうかを検討する人も多いと思います。
医療保険に加入する際によく出てくる高額療養費制度ですが、実際にはどういった制度なのでしょうか。医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、大幅に医療費を抑えられるということはご存知の方も多いと思いますが、具体的な内容はご存知でしょうか。本日はこの高額療養費制度に関してまとめていきたいと思います。
高額療養費制度の自己負担限度額
高額療養費制度を適用した場合の自己負担限度額は、年齢や所得によって異なります。まず70歳以上の方と、69歳以下の方で分けられ、さらにそれぞれ所得によっても変わってきます。
以上のようになりますが、計算式が難しいので具体的に計算をしてみましょう。
- 69歳以下
- 年収が370万円から770万円(目安)
- 1か月の医療費が100万円
- 窓口負担が30万円(3割)
だった場合、窓口で30万円を支払うことになりますが、実質は高額療養費分のみの負担となります。
80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円
これにより既に窓口で支払っている30万円から自己負担限度額である87,430円を差し引いた212,570円が返金されます。
また、過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から「多数回」該当となり、上限額が下がります。
高額療養費制度の申請方法は?
では高額療養費を申請するにはどのような手続きを行ったらよいのでしょうか。
70歳未満の人は、「限度額適用認定証」または「限度額適用・標準負担額減額認定証」を国保の場合には市役所、その他の場合には加入している保険機関で取り寄せ、通院や入院の際に病院窓口に提示します。
70歳以上の人は、原則手続きの必要はありません。ただし、住民税非課税世帯と課税所得145万円以上690万円未満の世帯は、70歳未満の人と同様「限度額適用認定証」などを取り寄せる必要があります。オンライン資格確認を導入している病院では、健康保険証またはマイナンバーカードによる健康保険証を提示し、病院による情報閲覧に同意することで「限度額適用認定証」などの取り寄せが基本的に不要になります。
「限度額適用認定証」などを提示せず、病院の窓口でいったん3割などの自己負担分を支払った場合は、通院・入院した月の翌月から2年以内であれば高額療養費を請求し、払戻しを受けることができます。同じ月に入院が複数回あった場合など、病院窓口での各支払額が自己負担限度額までであっても、「世帯単位の合算」により全体では自己負担限度額を超える場合があります。超えた分は公的医療保険へ請求すれば払い戻されます。
計算サイトなどもあるため、自分たちの負担はいくらくらいになるのかを計算するのもお勧めです。
ただ入院をするというのは想定外のお金もかかってきます。代表的なものでいうと以下のようなものが挙げられます。
- 差額ベッド代
- 入院時食事代の自己負担額(1食につき460円)
- 衣類、タオル、洗面用具など
- 家族が通うための交通費
こういった費用が掛かってきます。ちなみに医療現場ではインフレが進んでおり入院時食事代の自己負担額は2016年までは260円でしたが、その後360円に値上げされ、2018年からは460円へ値上げをしております。
私も昨年の10月に腰の手術があり、6日間入院をしておりました。その際にも食事代の自己負担額はもちろん、家族の交通費や自分の交通費もかかります。特に腰の手術をしていたため、退院後の帰りはタクシーを利用し支払いは高額になりました。また衣類やタオル、洗面用具などはフルレンタルをしており、1日当たり1,000円かかったため、それなりの負担になりました。
高額療養費制度により仮に100万円かかった医療費が最終的に87,430円になるというと割安に感じられるかもしれませんが、その他の費用も掛かりますし。また高額療養費制度は月末清算となっているため、入院が月をまたいでしまうともう一度同じように計算をしなければいけなくなり、負担は大きくなります。この辺りも考えながらもしもの備えをしていきたいです。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。