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2023.11.09

生命保険は還元率が低すぎ!当たらないギャンブルなのか?【住宅FP関根が答える!Vol.76】

みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
最近、生命保険や医療保険に入る必要はないという話をよく聞くようになりました。いろいろな意見があるなかで「生命保険はパチンコや競馬よりも還元率が悪いから効率が悪い」という意見を聞くことがあります。そもそも生命保険というものはギャンブルではないためギャンブルと生命保険を一緒に考えるのは違います。本日は生命保険とギャンブルの還元率という考え方をお話ししたいと思います。

ギャンブルにおける期待値・還元率とは

ギャンブルの世界には「期待値」という言葉があります。期待値とは、賭ける金額に対して戻ってくる見込み金額の平均値のことをいいます。世の中にはパチンコ、競馬、競輪、競艇など、いろいろなギャンブルがありますが、それぞれ期待値は違います。

期待値を説明するのに一番わかりやすいのはコイントスです。2人でコインを投げ、表と裏どちらが出るのか予想し、外れた方は当たった方に1,000ポイントを支払うというゲームを行うとします。このゲームにおいては勝つ確率は2分の1です。ゲームにおいては負けたときに支払う1,000ポイントを先に用意します。コイントスを行い、勝つことができれば相手から1,000ポイントをもらうことができ、手元に用意していた1,000ポイントと合わせて合計2,000ポイントとなります。この場合の期待値は2,000ポイント× 1/2 = 1,000ポイントとなります。ギャンブルにおける還元率とは、参加者全体がかけた金額に対する利益の割合のことをいうため、還元率が高いギャンブルの方が利益は大きくなります。

一般的にパチンコやパチスロの場合、還元率は85%といわれており、1万円賭けた場合の期待値は8,500円、競馬や競輪、競艇などの還元率は75%といわれており、期待値は7,500円です。
こういったギャンブルの期待値が語られるときに、必ず上がるのが宝くじです。宝くじの還元率は40%から50%といわれており、1万円を賭けたときの期待値は4,000円から5,000円程度といわれています。こういった数字を見ると、賭け事の還元率や期待値は、意外と高いなと感じられるのではないでしょうか。

生命保険の還元率

それでは生命保険の還元率は何%になるのか計算をしています。例えば40歳男性が入院日額5,000円、終身医療保険、終身払いで加入をした場合、かなりシンプルなプランで契約をすれば、毎月の保険料は2,000円程度で加入することができます。入院をした場合、何日間くらい入院をするのでしょうか。厚生労働省が発表している「退院患者の平均在院日数等」によると、35歳から64歳の平均入院日数は24.4日間です。ここから計算をすると24.4日× 5,000円= 122,000の給付金が受けられます。そして40歳から44歳男性の入院率は0.28%とされているため109,500円の0.28%が期待値となり、その金額は約342円となります。ここでは毎月2,000円の保険料で計算したため、年間で支払う保険料は24,000円です。24,000円の保険料に対し、戻ってくるお金は342円、つまり還元率は1.4%程度になります。

※参考:令和2年(2020)患者調査の概況|厚生労働省

パチンコ、パチスロの還元率は85%、競馬、競輪、競艇でも75%、当たる気がしない宝くじでさえ40%から50%といわれている中、一般的な医療保険の還元率は1.4%と聞くと、確かにほかのギャンブルと比較した場合、圧倒的に不利な還元率だといえます。

ただここで考えなければいけないのは、「生命保険をギャンブルと同等に考えることができるのか」という問いです。私自身、保険とギャンブルは全く違い、比較するものではないと考えています。どのギャンブルにおいても還元率が100%を超えてこないということは、最終的には損をすることとなります。一方でギャンブルというものは手を出さなければ現金が減ることはありません。手元に1万円があったとして、パチンコに投じた場合、8,500円に減ってしまいますが、ギャンブルをしなければ現金が減ることはありません。この場合の還元率は100%となります。「ギャンブルに手を出さない」という選択をすることで大切な資産を守ることができます。

しかし病気による入院や手術、万一の死亡などは万人に対し可能性があります。日々の生活習慣でどんなに気を付けていても、入院や手術などの可能性は誰にでもあるため、病気や死亡による資産の減少は誰もが備える必要があるといえます。また今回、医療保険の還元率を計算する際に厚生労働省が発表している「退院患者の平均在院日数等」を例に計算をしましたが、こちらの数値はあくまでも平均値です。実際の医療現場では入院が長引くこともありますし、また手術や高額な薬剤の投与など医療費がかさみ、高額療養費の限度額いっぱいの請求が数か月単位、人によっては数年単位で続くこともあります。

さらに考えなければいけないのは少子高齢化による社会保障費の負担です。現在、そして今後の日本は少子高齢化がより進んでいくことは間違いないと考えられています。老人の人口が増えて、働く生産人口が減り続ければ社会保障費は現在と同じ水準を保つことはできません。後期高齢者の健康保険自己負担額も年収によって割合が引き上げられましたし、今後も更なる見直しが行われていくと言われています。
手を出さなければ減らない資産、手を出さなくても減ってしまうかもしれない資産、生命保険は本当にギャンブルだと考えますか。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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WRITER’S PROFILE

㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直

ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。

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