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2023.10.04
保険はいつまで加入する必要があるの?【住宅FP関根が答える!Vol.71】
みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
保険に加入する際に保険期間を決めることになりますが、どれくらいの保険期間を設定するべきなのか分からない方も多いと思います。生命保険、医療保険などはいつまで加入しておく必要があるのでしょうか。
昔の保険というのは、日本国内の保険会社による定期付き終身保険というものがメインだった時期がありました。これは100万円や200万円など、終身の保障が主契約として用意され、その上に特約として死亡保険金が1,000万円や2,000万円などが上乗せされており、さらに入院保障が日額5,000円、手術給付金10万円、3大疾病特約100万円、がん入院特約日額5,000円などが上乗せされ、それら特約の保険料は10年から15年で更新されていくというものがメインでした。
このときの100万円や200万円という終身保険は、その名の通り終身での保障となりますが、入院特約やがん特約などは、最大でも80歳までの保障となっているものが多かったです。現在はこういった定期付終身保険は加入の仕方として効率的ではないと言われるようになり、入院保険やがん保険なども終身での保障がメインになっています。最近主流の保障として収入保障保険というものもありますが、こういった保険は何歳まで入っておく必要があるのでしょうか。今回はこういった保険の保障期間について解説していきたいと思います。
終身保険
終身保険というものは、その名の通り保険期間は終身、つまり一生涯保障です。人はいつか必ず亡くなりますので、亡くなった時に必ず100万円や200万円という保険金が手に入るという保障となっています。こういった終身保険の目的は大きく二つあり、一つ目はお葬式代の準備です。
葬儀費用の総額は、おおよそ100万円程度です。以前は200万円を超えていたのですが、コロナによる葬儀の縮小などが影響し全体的に安くなっています。ただ安くなっていると言っても葬儀にはまとまったお金がかかるため、こういった必ずかかる葬儀費用を、事前に生命保険として準備しておくというやり方があります。最近では葬儀費用を終身保険で用意するのではなく、運用や預貯金で準備するという人も増えてきましたが、今でも葬儀費用の目的で終身保険に加入している人は多いです。
また、終身保険に加入する2つ目の目的としては、相続対策があります。国税庁が発表している令和3年相続税の申告実績の概要によると、令和3年における相続税を払う人の割合は9.3%となっています。被相続人(死亡者)の11人のうち、1人が相続税を払っている計算になります。ちなみに相続税の基礎控除額が引き下げられる前年である2014年の割合は4.4%でした。11人に1人というと、高い確率で相続税を払うことになりますし、人によっては多額の納税が必要になります。納税額はあらかじめ計算することもできるため、その相続税額を生命保険で準備するというニーズがあり、被保険者が無くなった後に必ず受け取ることができる終身での保障が必要になります。
収入保障保険
収入保障保険も終身保険と同じく人が亡くなった時に保険金が支払われる保障ですが、終身保険とは大きく目的が違います。収入保障保険の目的は、遺族の生活保障です。ご主人様や、奥様、どちらかがお亡くなりになった場合、残された遺族がその後生活していけるように準備してあげるためのお金です。
この収入保障保険は、遺族の生活保障がメインになり、またその遺族は、お子様の教育費が中心になってきます。そのため保険期間として子供が大学を卒業する年齢まで準備する人が多いです。また、その大学を卒業する年齢も、大学4年生終了時というよりは、大学に6年間行く場合、留年をする場合などのリスクも考え、4年生大学を卒業する年プラス2~3年程度を上乗せした保険期間で契約をする必要もあると思います。
医療保険・がん保険
医療保険やがん保険というものは入院や手術に備えるのですが、そういった傷病は老後に罹患リスクが高まります。また現在は75歳を過ぎ、後期高齢者になると医療費の自己負担額が1割になる方が多いですが、これからの時代は少子高齢化の時代です。これからの負担率は1割ではなく、2割や、現役世代と同じ3割の負担になることも考えられ、老後、年金収入のみになる時期に、医療費の負担額が増えていくというのは、老後における大きなリスクとなります。そのため医療保険やがん保険は一生涯保障として入るのが基本となります。
以上のように終身保険、収入保障保険、医療保険やがん保険など、どの保険に加入するにも言えることですが、そもそもなぜその保険に入らなければいけないのか、その加入目的を整理していくと、何歳までその保障が必要なのかが自然と見えてくると思います。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。