保険の基礎知識
2023.03.22
そのがん保険はなぜ安い?安い保険料の理由はコレ!【FP監修】
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。日本FP協会AFP認定者。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。
がん保険には加入したいけど、できるだけ保険料を安く済ませたい。そう考えている人も多いでしょう。しかし、安い保険料ばかりに目がくらんでしまうと、万が一のときにしっかりとした保障を受けられず、結果支払った保険料が無駄になってしまう可能性があります。
そこで本記事では、がん保険に加入する前に知っておいてほしい、安いがん保険に加入するときのポイントについて解説していきます。
保険期間、保障内容、契約方法などで保険料は異なります。万が一のときに備えられる保険を見つけていきましょう。
安いがん保険はなぜ安い?
がんは日本人の死因の上位に入る病気のひとつです。統計では悪性腫瘍として括られるケースもあります。心疾患や脳血管障害とともに三大疾病のひとつにも数えられる病気であり、治療費も高額になりがちであることから、多くの保険会社は医療保険とは別にがん保険を発売しています。しかし、同じがん保険という種類でありながら、がん保険の保険料は月々の保険料が1,000円台から1万円以上までばらつきがあります。
家計への負担を考えれば、保険料は安いほうが良いでしょう。しかし、保険を安さだけで選ぶのは考えものです。がん保険の保険料が商品ごとに異なるのには理由があります。特に、保険料が安いがん保険は、保障内容や保険期間、販売方法などに他社の保険との違いがあるかもしれません。安い保険を選ぶ際は加入前によく確認し、なぜ安いのかを理解し納得したうえで加入しないと、いざという時に思っていた保障が受けられないなどのトラブルが起こる可能性もあります。次の項目で、安いがん保険で注意すべきポイントを解説します。
安いがん保険は保障内容に注意
がん保険の保険料を決める大きなポイントが保障内容です。一般的に保障内容が充実しているほど保険料が高い傾向があるため、逆にいえば安いがん保険は保障内容が十分でない可能性があります。保障内容が不足していれば、最悪の場合、もしもの時に給付金を受け取れない可能性があるので注意が必要です。
保障内容は自分に必要な保障額と見合っているか
がん保険の主な保障は診断給付金・入院保障・通院保障です。保険に入る前に、それぞれの保障について保険料が払われる条件や金額を確認しましょう。保険料が安い保険はその分、保障内容が控えめであることが多いですが、人によってそれで十分な場合もあれば、より手厚い保障を受けられる保険でないともしもの時の備えに足りない場合もあります。
診断給付金の支払い回数
がんと診断された際に、受け取れるのが診断給付金です。治療開始前にまとまった金額が受け取れるため、使い勝手の良い保障ですが、がん保険によっては受け取れるのは加入期間中の一度きりと限定しているものがあります。
しかし、がんが再発や転移することが多い疾患であることを考えると、診断給付金は複数回受け取れるほうが安心です。ただし、複数回受け取れるもののほうが保障は手厚くなる分、保険料も高い傾向があります。
保障対象に上皮内がんは含まれるか
がんが上皮内にとどまっている状態のものを上皮内新生物(上皮内がん)と呼びます。転移や再発のおそれがあるがんと異なり、上皮内新生物は手術で切除すれば完治が期待できるため、がん保険によっては保障対象外としていることもあります。
しかし、がんよりもリスクは少ないとはいえ、治療にお金は必要です。がんが再発や転移することが多い疾患であることを考えると、加入前に、上皮内新生物が保障されるかを確認しておくことで、いざという時に慌てずに済むでしょう。
保険料が安い理由は他にもある
保障内容以外に保険料に影響を与える項目には、保険期間・販売方法・貯蓄型か掛け捨て型かがあります。それぞれの項目について、保険料が安くなる理由を解説します。保険料を抑えたい時に、どのような保険を選ぶべきかという参考にも役立ててください。
終身タイプより定期タイプを選ぶ
がん保険には終身タイプと定期(更新型)タイプがあり、2つの違いは保険期間です。終身タイプでは、保障は一生涯続きます。また、保険料は加入時から一定で年齢が上がっても変わらないという特徴がありますが、同じ年齢・同じ保障内容で比べると定期型よりも割高です。一方、定期タイプのがん保険は、保障期間が10年や15年に限定されている代わりに、保険料が割安に設定されているのが特徴です。
保険料が安い保険には、定期タイプのものがよく見られます。定期タイプは安い保険料で充実した保障を得られるのが魅力ですが、注意したいポイントもあります。それは、満期後も継続する場合、継続時の年齢に合わせて保険料が高くなることです。安さにひかれて加入したのに、更新のタイミングでグッと保険料が上がることもありえます。そのため、更新を前提に定期タイプの保険に入るならはじめから終身タイプを選ぶほうが、結果的には保険料を抑えられるでしょう。
一生涯がんに備えるのなら終身タイプ、保険料を抑えながら一定期間だけ保障を受けるなら定期タイプと考えておくと良いでしょう。
貯蓄型より掛け捨て型を選ぶ
生命保険のようにがん保険にも貯蓄型と掛け捨て型があります。がん保険の多くは保険料が安い代わりに、解約返戻金などの貯蓄性がある仕組みを備えていない掛け捨て型を採用していますが、なかには貯蓄型のがん保険もあります。
できるだけ保険料を抑えるという観点からは、がん保険は掛け捨て型がおすすめです。また、解約返戻金は保険を解約して初めて受け取れるお金ですが、年齢が上がるほどがんの罹患率が高まる傾向にあることを踏まえると、がん保険は生涯解約しない可能性もあります。その点からも、特段の理由がない限りはがん保険は掛け捨て型のほうが良いことが多いでしょう。
ネット保険を選ぶ
保険といえば、営業担当者から対面で説明を受けて加入申し込みをするスタイルが一般的でしたが、最近ではインターネットの普及によりオンラインで加入できるネット保険も増えています。そしてネット保険にはもちろん、がん保険もあります。
ネット保険は店舗や営業担当者をなくし、家賃や人件費といった経費を最小限に抑えることで、安い保険料を実現しています。そのため、良く似た保障内容であればネット保険を選ぶことで保険料を下げられるでしょう。
ただし、営業担当者がいないネット保険では自分に必要な保障内容を判断し、商品を選ぶというプロセスを自分で行わなければいけないというデメリットがあります。万が一の時に必要な保障を受けられるよう、契約前に基本的な保険に関する知識を身に着けておきましょう。
まとめ
がん保険の加入を検討する際、家計の負担を考えると安い保険に魅力を感じることもあるでしょう。しかし、保険料が安いのには理由があります。保険料だけで保険を選ぶと、本当に必要な時に想像していた保障が受けられないことがあるかもしれません。
反対に、保障内容や定期タイプ・終身タイプの違いといった保険の知識を身に着けることで、賢く保険料を抑えられる可能性もあります。この記事を参考に、がん保険の保険料が安くなる仕組みを理解し、自分に合った保険選びに役立てていただければ幸いです。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。