保険の基礎知識
2023.05.24
このがん保険はおすすめ?自分に合う保険かをチェックする方法【FP監修】
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。
さまざまながん保険のなかから自分に合うものを選ぶにはどうすれば良いのでしょうか。がん保険の保障内容はそれぞれの商品によって異なるため、選ぶのが難しいと感じる人は少なくありません。
自分に合ったがん保険を選ぶには、まずがん保険で備えたいリスクを明確にすることが大切です。また、加入前に確認しておきたいチェックポイントを5つ解説します。
がん保険を選ぶ基準を知りたい人はぜひ参考にしてください。
おすすめのがん保険は年齢や年代でも異なる
がん保険とはがんの治療にかかる医療費に備える保険です。しかし、一口にがん保険といっても、保障内容は商品によってさまざまです。そのため、誰かにとってのおすすめの保険が自分にも合うとは限りません。
自分に最適な保険を見つけるには、なぜがん保険に加入するのかを明確にすることが大切です。目的に合った保険でなければ、がんになったときに必要な保障が得られないおそれもあるのです。
がん保険で備えられるリスクには
- 入院や手術の医療費
- 入院中の食事代、差額ベッド代など医療費以外の費用
- 通院でかかる医療費
- 先進医療などの健康保険が適用されない医療費
- がんのために仕事を休んだり、退職したりすることによる収入減少
があります。
独身で貯蓄が多ければ、がん保険の保障は最低限でも良い場合があります。しかし、経済的に支えなければいけない家族がいれば、収入減少もカバーできるほどの手厚い保障が必要かもしれません。保険に入る前に、家族の状況や資産の状況などから、保険で備えるべきリスクにどのようなものがあるかを確認しておきましょう。
がん保険を比較するにあたって、具体的に何を確認すべきかは次の項目で解説します。
がん保険に入る前のチェックポイント5つ
がん保険に入る前に押さえておきたいポイントを5つ紹介します。自分に必要な保障をはっきりさせることで、ぴったりの保険を探せます。
1. 診断給付金(一時金)の支払い条件
がん保険の診断給付金(一時金)では、がんと診断された時に50万円や100万円などのまとまったお金を受け取れます。治療が始まる前にお金を受け取れるため、病院までの交通費や入院に必要な日用品の購入費用、家族の生活費など、医療費以外のさまざまな経済的な負担をカバーするのに利用できます。
診断給付金(一時金)には、初めてがんと診断されたときのみ支払われるタイプと、年に1回までなどの条件はあるものの複数回受け取れるタイプがあります。
がんは再発や転移のリスクがある病気のため、診断給付金(一時金)が複数回受け取れるタイプのがん保険だと心強いでしょう。
しかし、1回のみ支払われるタイプのほうが保険料は抑えられます。保険料の負担を考慮しながら、保障内容を検討しましょう。
2. 通院保障があるか
かつてはがん治療といえば入院・手術が主流でしたが、最近は通院による治療が増えています。そのため、がん保険のなかには通院で受け取れる保障(通院給付金)を設けているものが多くなりました。
通院給付金は、がん治療のために通院した日数に応じて給付金を受け取れます。通院給付金がないがん保険だと、せっかく保険に加入したのに、通院が中心の治療だったために保障が受けられないということもありえます。がんの治療では何度も通院する可能性があるため、がん保険は通院給付金を手厚くしておくと安心です。
3. 上皮内新生物でも保障されるか
上皮内新生物が保障の対象に含まれているかどうかも大きなポイントです。上皮内新生物は初期のがんと言われているように、そのまま放置しておくと悪性腫瘍になる可能性はあるものの、摘出してしまえば再発や転移のリスクは少ないといわれています。そのため、上皮内新生物は保障の対象外としている保険もあるのです。
上皮内新生物イコールがんではないとはいえ、治療にお金がかかることに変わりありません。がん保険を選ぶ際は、上皮内新生物も保障されるかどうかを確認しておきましょう。
4. 先進医療は保障されるか
健康保険の高額療養費制度などを利用することで、がん治療にかかる医療費の自己負担はある程度抑えられます。しかし、なかには公的健康保険が適用されない先進医療による治療もあり、その費用は全額自己負担です。
先進医療の一つである重粒子線治療では、1度の治療で300万円以上もの費用がかかるといわれています。これだけの費用を貯蓄などでまかなうのは簡単ではありません。治療の選択肢を広げたいと考えるなら、先進医療への保障があるがん保険を選びましょう。
一方、気をつけたいのがすでに医療保険に加入している場合です。医療保険で先進医療特約を付帯させている場合は、がん保険と保障が重複してしまうことがあります。保険料の無駄を省くためにも、がん保険の加入前に確認しましょう。
5. 保障期間は終身か定期か
がん保険には一生涯保障される終身タイプと期間限定で保障される定期タイプがあります。
定期タイプは5年や10年ごとに更新していくタイプで、割安な保険料が魅力です。住宅ローンや教育費などの負担が多く、がんに備えたいけど保険料はできるだけ抑えたいという方に向いています。
ただ、定期タイプは更新時のたびに保険料は高くなるため、ある程度長い期間継続するなら終身タイプのほうが保険料が安くなることもあります。
一生涯にわたってがんに備えるのなら、終身タイプがおすすめです。定期タイプよりも加入時の保険料が高くても、契約期間中は保険料が一定のため、長い目で見ると支払う保険料の総額が抑えられるでしょう。
定期タイプ・終身タイプともに長所と短所がありますので、保険加入の目的に合うものを選びたいですね。
まとめ
同じがん保険という名前がついていても保険会社によって保障内容は異なります。自分に合ったがん保険を選ぶには万が一、がんになってしまったときに、どのようなことに備えなければいけないのかを考えることが大切です。
また、がんの治療方法の中心が入院から通院へ変化したように、医療技術などの進歩は保障内容にも影響を与えます。すでにがん保険に入っている人は、いまの保障内容が現代の医療事情に合ったものかどうか、定期的に見直してみましょう。
この記事ががん保険の加入を検討している人の役に立てば幸いです。
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リアほMAGAZINE編集局
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