保険の基礎知識
2023.06.29
50代・60代女性に医療保険は必要ない?女性特有の病気と老後に備えるには【FP監修】
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。
50歳を過ぎてからでも保険に加入すべきか、いま入っている保険はこのまま継続すべきか悩んでいる人は多いのではないでしょうか。
女性は年齢に応じてさまざまなリスクがあり、特に50歳を過ぎるといわゆる更年期障害が始まることもあります。また、年齢が上がるほど病気やケガのリスクが高まることが一般的です。
この記事では50代や60代でかかりやすい病気や医療保険の必要性を解説します。医療保険に加入したり、見直したりする際の注意点も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
50代~60代の女性がかかりやすい病気
50歳ごろからホルモンバランスが変化するため、いわゆる更年期障害と呼ばれる体調不良が続きやすくなる女性は少なくありません。また、病気になる確率が高まる年代でもあります。50代や60代の女性がかかりやすい病気のうち、代表的なものを紹介します。
糖尿病による合併症
糖尿病は50代ごろから増え始めます。血糖値が高くなることで血管が詰まりやすくなる糖尿病は、細い血管が多い目や神経、腎臓などで合併症を引き起こすことがあります。
厚生労働省が行った「令和2年患者調査」によれば、糖尿病による入院日数は年齢が上がるにつれて長くなる傾向にあり、65歳以上では40.7日です。
■糖尿病での入院日数
平均 | 0~14歳 | 15~34歳 | 35~64歳 | 65歳以上 | 75歳以上 | |
入院日数 | 30.6日 | 16.7日 | 11.5日 | 15.6日 | 40.7日 | 51.1日 |
乳がん
乳がんは女性のがんのなかでも最も罹患率が高いがんです。30代から徐々に増え始め、罹患率は45歳ごろから上昇し65歳ごろにピークを迎えます。治療が長期にわたることが多く、抗がん剤の投与や手術が必要ながんは医療費が高額になりがちです。乳がんで手術をした場合には、乳房再建術の費用が別途必要になることもあります。
骨粗しょう症
更年期を迎えて女性ホルモンが急激に減少すると、骨代謝のバランスが崩れてしまいます。これによって起こる病気が骨粗しょう症です。
女性は閉経後から少しずつ骨量が減り続け、10年でおよそ20%も減少すると言われています。骨量が減ると骨折のリスクが高くなりますが、自覚症状がないため、気づきにくいのが問題です。骨粗しょう症の場合、骨折が重症化し、長期入院が必要になることもあります。
50代~60代でも医療保険が必要な理由
50歳を過ぎてからでも医療保険に加入すべきなのか、すでに加入している保険は今後も必要なのかと悩まれる方も多いでしょう。ここからは50代~60代の医療保険の必要性について解説します。
年齢が上がるほど長くなる入院日数
医療技術の発展などにより、全体的に以前より入院日数は短縮化する傾向にあります。しかし、年齢が高くなるにつれて入院日数は長くなっており、令和2年度患者調査(厚労省)によれば、35歳〜64歳の平均入院日数が24.4日なのに対し、65歳以上では40.3日です。
入院が長期化すればそれだけ医療費は多くかかるため、年齢が上がるほど医療保険の必要性は増すと言うこともできるでしょう。
貯蓄を老後のためにのこしておける
万が一の時に医療費を支払えるだけの十分な貯蓄があれば、医療保険は必要ないという考え方があります。しかし、もし医療保険の給付金で医療費などの費用が確保できれば、貯蓄を切り崩す必要はなくなります。
50代に入ると、そろそろ老後の生活が気になり始める人は多いでしょう。医療費のためにせっかくの貯蓄を取り崩してしまうと、もう一度お金を貯めるには時間がかかります。保険に入っていれば、医療費のために貯蓄を使うのは最低限に抑えられるため、老後のためにお金をのこしておけるのはメリットです。また、教育費などの出費が続いてそもそもあまり貯蓄ができていない場合でも、保険に加入していれば医療費をカバーできます。
50歳以降に保険加入するときの注意点
50歳以降で保険に加入するには、3つの注意点があります。必要な時に保障が受けられるよう、あらかじめポイントをおさえておきましょう。
健康状態によっては加入できないことも
保険は健康状態によって加入できない場合もあることに注意しましょう。保険に加入する際には、年齢や職業、現在の健康状態を保険会社に申告します。過去の入院歴や手術歴などや持病がある場合は、保険会社の審査により保険加入を断られたり、条件付きでの加入となる可能性があるのです。
なかには審査基準がゆるい引受基準緩和型保険や審査がない無選択型保険もありますが、一般的な保険よりは保険料が高めに設定されています。年齢とともに病気やケガのリスクが上がることを考えると、できるだけ健康状態の良いうちに保険に入るか、若い頃に入った保険がある人はその保険を継続するほうが保険料を抑えられるでしょう。
年齢に応じて保険料は高くなる
保険料は年齢に応じて設定されています。保険料は加入時の年齢で計算されるため、同じ保障内容なら20歳よりも50歳の人のほうが保険料は高くなります。
特に注意したいのは定期保険です。定期保険は継続するたびにその時の年齢で保険料が計算されるため、保険料が高くなっていきます。今後も医療保険に入り続ける予定なら、保険料が一定で一生涯保障が続く終身タイプを検討しましょう。
保険加入できる年齢に上限がある
保険加入できる年齢には上限があります。上限年齢は保険会社や商品によって異なりますが、70代や80代が多く、なかには64歳までとされているものもあります。
年齢制限がある理由は、年齢が上がるほど病気のリスクが高まるためです。健康に自信がある人ほど保険加入を先延ばしにしてしまうかもしれませんが、いざ保険に入りたいと思った時に入れないことがないように、できるだけ健康で若いうちに加入を検討しましょう。
支払限度日数は長めに
医療保険などの入院給付金には、給付金が受け取れる日数の上限を定めた支払限度日数があります。60日型や120日型が主流ですが、この日数を超えてしまうと入院中であっても給付金が支払われません。
年齢とともに入院日数は長くなるのに合わせて、支払限度日数も設定すると安心ですね。
まとめ
病気のリスクは年齢とともに高くなり、女性の場合は50代からホルモンバランスの関係で体調に変化が現れやすくなります。
医療保険などの保険料は年齢が上がると高くなりやすいですが、年齢が少しでも低く、できるだけ健康なうちに加入することで保険料を抑えられます。この記事を参考に、自分に合う保険や保障を選びましょう。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。