保険見直しQ&A
2023.11.28
ちょっと待って!保険見直しの注意点!【FP監修】
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。
保険に加入したらほったらかしにせず、定期的に見直しすることが大切です。ただし、見直しをすると言っても、かならずしも保険を解約・乗り換えしないといけないわけではありません。
この記事では保険を見直しする際の注意点を解説します。保険を解約せずに保険料を安くできる方法も紹介しますので参考にしてみてください。
保険の見直しでの3つの注意点
保険の見直しには保険料の無駄を省く、ライフプランに合った保障内容にするなどのメリットがありますが、注意したいポイントもあります。
ここでは保険見直しの注意点を3つ紹介します。いま入っている保険を解約する前に確認しておきましょう。
無保険状態を避ける
保険を見直しした結果、いま加入している保険を解約して別の保険に入り直すときには無保険期間ができないように注意しましょう。無保険期間中に病気やケガなどが起きても、給付金などは受け取れません。
無駄を避けるために新旧2つの保険の保険期間が重ならないようにしたいと考える人は多いでしょう。しかし、
- 健康状態などが理由で新しい保険に入れなかった
- 新しい保険に免責期間があった
といった理由で無保険期間ができてしまうことがあります。
保険加入の際には一般的に健康状態や年齢、職業などの告知が必要です。場合によっては保険会社の審査の結果、新規加入を断られてしまう可能性もあります。無保険期間ができるのを防ぐためには、新しい保険の契約が成立してから古い保険を解約するようにしましょう。
また、免責期間とは保険契約開始後、支払事由が発生しても保険金や給付金が受け取れない期間です。主にがん保険などで設定されており、自覚症状がない初期のがんの人などが加入直後に給付金などを受け取るのを防ぎ、加入者間の公平性を保つ役割があります。
免責期間は加入から3カ月や90日程度であることが一般的です。加入したい保険が決まったら免責期間の有無を確認し、無保険状態が発生しないタイミングで古い保険を解約しましょう。
見直しで保険料が安い保険を見つけても、無保険状態を防ぐためには新旧の保険両方に加入している期間が必要になります。2つの保険が重なる期間の保険料も考慮したうえで、新しい保険に乗り換えるほうが得なのかを判断したほうがよいかもしれません。
貯蓄性のある保険は中途解約で元本割れの可能性がある
終身保険や養老保険のように解約返戻金や満期保険金が受け取れる保険は、解約するタイミングによっては元本割れすることがあるため注意が必要です。元本割れとは、解約時に受け取れる解約返戻金の額が支払った保険料の総額を下回る状態です。
本来、解約返戻金は契約期間が長いほど大きくなるため、一定の期間を過ぎると支払う保険料の総額を上回ります。しかし、見直しのために解約すると元本割れしたり、場合によってはまったくお金を受け取れなかったりすることもあるのです。
貯蓄性のある保険を見直しする場合は、元本割れするデメリットと、新しい保険に乗り換えることで保険料が安くなるメリットを比べることをおすすめします。
また為替にも注意が必要です。加入時に円安(1ドル140円や150円の状態)だったものが、解約時に円高(1ドル110円や120円の状態)ともなれば、貯蓄性保険のメリットが為替差損によって目減りしてしまいます。ドル建ての貯蓄性保険にはそのような傾向があることに注意しましょう。
お宝保険を解約するのはもったいない
古い保険契約のなかには、いわゆる「お宝保険」と呼ばれるものがあります。日本ではここ何年も低金利が続いていますが、バブルのころは5%を上回るような高金利を約束する保険が販売されていました。
もしいま加入している保険がこのような好条件である場合は、解約してしまうのはもったいないといえます。保険料が高いと感じても、保険契約を維持したほうが得な場合もあるでしょう。
保険料を安くしたいときにできること
保険の見直しをする際、できれば保険料を安くしたいという人は多いのではないでしょうか。しかし、見直しの結果、新しい保険に乗り換えるよりもいまの保険を継続したほうがよい場合もあります。
ここでは、保険の見直しを通じて保険料を安くするためにできることを紹介します。掛け捨て型に変更する方法以外は、いま入っている保険を解約しないで保険料を下げられる方法ですので、ぜひ参考にしてみてください。
払い済みを活用する
貯蓄性のある保険は途中で解約すると元本割れの可能性があることを解説しました。そこで保険契約を続けながら保険料負担を抑える方法として、払い済みを紹介します。
払い済み保険とはいま入っている解約返戻金を元手に別の保険に変更する方法です。いまの保険よりも保険金額は少なくなりますが、解約返戻金を保険料に充当するため負担が軽くなります。
保険を解約しないため、解約返戻金の元本割れも防げます。保険が満期を迎えるか、ある程度の期間が経てばいずれ解約返戻金は払い込んだ保険料の総額を上回るでしょう。
ただし、保険加入から日が浅い場合は解約返戻金が少ないため払い済みが利用できない場合もあります。また、そもそも掛け捨て型の保険には解約返戻金がないため利用できません。払い済みの利用可否や手続き方法は保険会社へ問い合わせてみてください。
特約を解約する
保険契約を維持しながら保険料を安くする方法のひとつが特約だけを解約する方法です。保険契約時は必要だった特約もライフスタイルの変化などによって不要になることもあります。特約を減らすだけでも月に数千円程度の保険料を削減できるかもしれません。
特約を解約しても保険契約そのものは消滅しないため、解約返戻金や満期保険金などの計算には影響しません。元本割れを避けるために、いまの保険を解約したくない人にもおすすめです。
保険金額を減らす
保険の見直しで保険料の支払額を減らしたい場合は、保険金を減らすのもひとつの方法です。いま加入している保険の保険金額を減らすメリットは、保険料が安くなることと、手続きがスムーズであることが挙げられます。また、終身保険などのように解約返戻金がある場合は減額した分が受け取れることもあります。
ただし、保険によっては一定以上の減額ができない場合や特約の保険金額も減額される場合などがあることに注意しましょう。
なお、保険金額は契約途中で増額することも可能です。減額と異なり、増額の場合は医師の診査などが必要になることもあります。
必要な保険金額はライフスタイルや資産の状況などに応じて変化します。保険金額の設定が大きすぎる場合は保険料の無駄にもつながるため、保険の見直しの際にはかならず保険金額も確認しましょう。
掛け捨て型の保険にする
保険には大きく分けて積立型と掛け捨て型があります。掛け捨て型は積立型のように解約返戻金などは受け取れませんが、保険料が安い傾向があります。特に、保険以外の方法で貯蓄や資産運用を進めている人にもおすすめです。
子育てなどで出費が多い人やリタイア後の人など、もしものときに備えて保険に入りたいが保険料は抑えたい人は掛け捨て型を検討してみましょう。
まとめ
保険の見直しをする際は、無保険状態に注意しましょう。また、貯蓄性のある保険やお宝保険はあえて解約しないほうがよい場合もあります。
保険を解約せずに保険料を安くしたいときには、払い済みを利用したり、特約・保険金額を減らしたりすることを検討してみましょう。保険を解約し、新しい保険に入り直す場合は掛け捨て型を選ぶと同じ保障内容でも保険料を抑えられます。
WRITER’S PROFILE
リアほMAGAZINE編集局
保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。