保険業界のリアル

2021.09.02

生命保険の予定利率ってなに?

生命保険に加入するときに「予定利率」という言葉を聞いたことはありませんか?
この数字は契約者が保険会社に支払う保険料の金額の決定に深く関わります。今回は生命保険の保険料が決まる仕組みや予定利率が保険に及ぼす影響について解説します。

■保険料を決める3つの基礎率

保険料とは契約者が保険会社に支払う掛金のことです。保険会社が保険料を決めるときには次の3つの基礎率を使います。

・予定利率

保険会社は契約者から集めた保険料の大部分を、将来起こるであろう保険金や給付金の支払いに備えて積み立てています。これを責任準備金といいます。保険会社はこの責任準備金をただ持っているだけではなく、株式や債券、不動産などさまざまな方法で運用しています。その際、どのくらいの利率で運用できるのかを予測して決めているのが「予定利率」です。

・予定死亡率

保険期間中にどのくらいの人が亡くなるか、その割合を予測した数値です。性別や年齢別に過去の膨大な統計から亡くなる人の数を割り出し、将来を予測します。

・予定事業費率

保険会社に必要な事業費の割合を予測した数値です。事業費とは「新契約の募集」や「契約管理」「家賃」などさまざまな必要経費が含まれます。

■予定利率が高くなると保険料が安くなる?

今あげた3つの率の中でみなさんが目にすることが多いのは「予定利率」ではないでしょうか?予定利率が高いということは契約者が支払う保険料を高い利率で運用できる見込みがあるということですから、保険料は安くなります。逆に予定利率が低いときには保険料は高くなります。
下の表は一般的な貯蓄型の保険(30年満期の養老保険・満期保険金額100万円)に30歳の男性が加入したときの予定利率と保険料の推移です。

■予定利率と保険料の推移
30年満期の養老保険・満期保険金額100万円に30歳の男性が加入したとき 

出典:保険毎日新聞「生保商品の変遷」を元に作成

上の保険、30年かけて100万円が貯まる保険なんですが、保険料の合計をみてみましょう。
予定利率5.50%のときの年間保険料は19,578円、30年で587,340円です。
予定利率1.50%のときの年間保険料は31,416円、30年で942,480円です。
満期のときに受け取れる満期保険金はどちらも100万円です。

いかがでしょうか?予定利率の違いでこれだけ保険料は違うんです!

■予定利率ってどうやって決めているの?

保険会社が予定利率を決めるときに参考にするのが「標準利率」です。「標準利率」とは、金融庁が国債の利回りを元に決めている利率のことです。国債の利回りの低下に伴って標準利率も下落を続けており、現在は過去最低水準となっています。保険会社は、契約者からお預かりした保険料の多くを国債で運用していますので、予定利率を決める際には標準利率を参考にするのです。いわゆるバブル期~1990年代前半をピークに予定利率も下がり続けています。

~はみ出しコラム~

この記事をお読みの方は、きっと他にもいろいろな保険に関する記事をお読みなのではないでしょうか?その中で「お宝保険」とか「逆ザヤ」なんて言葉を聞いたことはありませんか?
簡単に言うと「お宝保険」っていうのは予定利率の高い時期に加入した「終身保険」「養老保険」「個人年金保険」「学資保険」などの貯蓄性のある保険のことです。自分が加入している保険の予定利率が知りたい方は保険会社に問い合わせてみてください。もしかしたらお宝保険かもしれませんよ!
保険会社は契約のときに約束している予定利率を契約の途中で変更(下げる)ことはできません。保険会社は約束した利率で実際に運用できないと、見込んでいた運用収益を得られなくなります。これが逆ザヤ状態です。逆ザヤ状態を解消するために保険会社は資産構成の見直しや経営の効率化による経費削減などに努めます。
でも、実際の販売現場でおこなわれていることは・・・昔の予定利率の高い貯蓄性のある養老保険や終身保険(お宝保険)を今の予定利率の低い保険に言葉巧みに乗り換え(転換)させるのです!保険会社としては無事に逆ザヤ解消です。でも契約者にとっては損していますよね!?高い予定利率を残したまま新しい保険に加入することだって出来るのに。。。こんなことが公然と行われている保険業界ってどうなんだ?とこの業界で働く私でも思ってしまいます。

■まとめ

ご自身のライフプランに合わせて保障内容の見直しをすることは、大切なご家族を守るために必要なことです。ですが生命保険会社の外務員や代理店の勧められるがまま、よくわからないのに加入してしまうのはやめましょう。加入しようとしている保険の目的は何なのか金額の根拠は?これから支払う保険料と万が一のときに受け取れる保険金や給付金を比較して、本当に納得できる保険に加入してくださいね。

※この記事に記載の情報は公開日時点のものです。

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リアほMAGAZINE編集局

保険選びのリアルな情報やノウハウをシンプルに分かりやすく解説するリアほ編集局です。

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