損害保険・少額短期保険
2024.02.15
葬儀保険で親の葬儀費用に備える!知っておきたいポイントを紹介【FP監修】
株式会社FP-MYS 代表取締役 工藤 崇
ファイナンシャルプランニング技能検定2級・証券外務員二種。レタプラ開発・提供。YMYL領域の執筆多数。相続・保険・資産運用などの個人相談。IFA事業展開予定。ライフプラン・シニア関連の開発案件受任。
親にはいつまでも元気でいてほしいと思うものですが、高齢になってくると健康面などで気にかかることが増えてきます。また、万が一のときに慌ててしまったり悔いが残ったりしないように、あらかじめ葬儀費用をどのように確保するかも考えておくと安心です。
この記事では親の葬儀費用の平均や誰が支払いをするのかなど、もしものときに備えて知っておきたいポイントを解説します。また、葬儀費用を賄う方法も紹介します。
親の葬儀にかかる費用
鎌倉新書が2022年に実施した「第5回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀にかかる金額は平均110.7万円です。この金額には数十万といわれる戒名料などが含まれていないことや、葬儀の規模によって費用が変わることを踏まえると、実際には100〜200万円程度が必要と考えられます。
※参考:第5回お葬式に関する全国調査(2022年)|株式会社鎌倉新書
葬儀費用は誰が払うのか
葬儀の代表者を喪主と呼び、慣習として多くの場合、喪主が葬儀費用を支払います。喪主を務めるのは亡くなった人と近い関係の人です。具体的には配偶者や、子どもがいれば長男・長女がなることが多いものの、明確な決まりはありません。
最近では葬儀費用を兄弟同士で分割して支払ったり、親の財産を充当したりすることもあります。
親の葬儀費用を賄う方法
葬儀はいつ必要になるかわからないうえに、100万円単位の大きなお金がかかります。突然のことでも慌てないために、親の葬儀費用を賄う方法を確認しておきましょう。ここでは5つの方法を紹介します。
葬儀保険
葬儀保険は、自分の葬儀費用を用意するための保険です。保険金額は最大300万円で生命保険などよりは少ないものの、保険料が一般的な保険商品と比べて割安・高齢でも加入しやすいなどの特徴があります。
生前に親が葬儀保険に入っていれば、保険金で葬儀費用を支払いましょう。葬儀保険の多くは申請から数営業日以内に保険金が受け取れるため、葬儀会社への支払い期限が短くても心配ありません。
最近は家族に葬儀費用の負担をかけないために葬儀保険に入る人が増えています。詳しくは以下の記事もご覧ください。
終身保険・養老保険
親が終身保険や養老保険に加入していれば、死亡保険金が受け取れる可能性があります。親が亡くなる前に保険証書の保管場所や加入している保険会社の連絡先を聞いておくと、もしものときにスムーズに手続きができます。また、保険金の受取人が誰かも確認しておきましょう。
生命保険の支給は基本的に迅速ですが、状況によっては申請から保険金の受け取りまでには1カ月程度時間がかかることもあります。葬儀費用の支払いに間に合わない可能性もあるため、それまでは別の方法で葬儀費用を立て替えることも考えておきましょう。
親の貯蓄の一部を使う
親に貯蓄があれば、その一部を葬儀費用に充てられる場合があります。基本的に、人が亡くなると相続が終わるまで故人の銀行口座などは凍結されるため、お金を引き出せなくなります。しかし、2019年に民法および相続法が改定され、相続を待たずに預金を引き出せるようになりました。
ただし、故人の口座から相続前に引き出せる金額は最大150万円です。葬儀費用に足りない分はほかの方法で賄う必要があります。
また、口座からお金を引き出そうとして、親に貯蓄がないことがわかる可能性もあります。いざというときには気が動転してじっくり考えられない可能性もあるため、親に貯蓄がない場合にどのように葬儀費用を賄うかをあらかじめ考えておくと安心です。
香典で支払う
葬儀の参列者から受け取る香典を葬儀費用の一部に充てることは可能ですが、すべてを賄うのは難しいと考えておきましょう。
香典の金額は故人と参列者との関係や、参列者の年齢などにもよるため、事前に予測するのは困難です。一般的には、親族で1万円〜5万円、友人や仕事関係で5,000円〜1万円程度が相場です。
また、香典を受け取ったらお返しをするのがマナーのため、全額を葬儀費用に充てられるわけではないことも押さえておきましょう。
葬儀ローンで借りる
葬儀会社に期日までに葬儀費用を支払うのが難しい際の解決方法として、葬儀ローンがあります。葬儀ローンを使うと葬儀費用を分割で支払えます。
ただし、申込する人の年収や職業などによっては借入ができない可能性があることには注意が必要です。また、借入した金額と期間に応じて利息がかかります。
葬儀保険には親本人でなくても入れる
親の葬儀費用を払う方法として紹介したもののうち、葬儀保険は葬儀費用に備えるのに特化した保険です。そのため、保険金の支払いが早い・高齢でも加入しやすいといった、葬儀費用を支払う人にとって使い勝手がよいのが特徴です。
便利な葬儀保険は、親本人でなくても入れます。たとえば、親本人を被保険者、子どもである自分が契約者および受取人として加入することが可能です。この場合、自分が親に代わって保険料を支払います。
親に貯蓄がなかったり、収入がなく保険に入るのが難しかったりといった事情がある場合は、自分が契約者として葬儀保険に加入することを検討してみましょう。
親のために葬儀保険に入れる条件
本人以外が葬儀保険に入るためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 3親等以内の血族である
- 内縁のパートナーなどで、関係性を証明する書類がある
3親等以内の血族とは、親・子・配偶者以外に兄弟・姉妹や祖父母・孫、姪・甥などが該当します。ただし、配偶者の家族など、直接的に血のつながりがない家族(姻族)は該当しません。
本人以外が葬儀保険に入る際の注意点
親本人以外が契約する場合と、本人が加入する場合では、申込に必要な書類が異なる可能性があります。詳しい条件や必要書類は保険会社へ問い合わせして確認することをおすすめします。
まとめ
親の葬儀では、子どもが喪主として葬儀費用を支払うことがあります。葬儀費用を賄う方法としては、親の保険や貯蓄、参列者から受け取った香典を充てる方法がありますが、足りない場合は葬儀ローンを借りる人もいます。
あらかじめ親の葬儀費用に備えるのであれば、葬儀保険がおすすめです。支払いが早く高齢でも加入できるなどのメリットがあります。親本人が加入するのが難しい場合は、親を被保険者として子どもが契約することも可能です。
葬儀費用は大きな金額のため、すぐに用意するのが難しい場合もあります。もしものときに慌てないために、この記事が参考になれば幸いです。
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リアほMAGAZINE編集局
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