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2024.10.04
昔の保険、現在の保険、時代とともに変化する保険【住宅FP関根が答える!Vol.118】
みなさん、こんにちは。ファイナンシャルプランナーの関根です。
みなさん、保険は時代とともに変化していることはご存知でしょうか。今回のコラムでは保険の紀元、歴史とともに現在の保険についてお話していきたいと思います。
保険の起源
保険文化はいつどこから始まったのでしょうか。保険の歴史は大変古く、現在のカタチになるまでに長い道のりがありました。最初に保険という文化ができたのは古代エジプトやローマ時代です。このころは船を使っての貿易が盛んとなっており、商人や航海者がリスクに備えるための共済的な制度として存在していました。しかしこれは現代の生命保険とは異なります。航海や商取引における損失を分担するための「商業同盟」といったカタチをとっています。現在に置き換えるのであれば、損害保険に近いものでした。
現在の保険のカタチになるまで
では現在の生命保険に近いカタチになったのはいつ頃なのでしょうか。現代の生命保険の起源は、17世紀のイギリスにおいて、教会の牧師たちが組合をつくり、自分たちに万が一のことがあった場合に遺族に生活資金を遺すために保険料を出しあう制度を始めたところから始まったと言われています。
さらに1762年には、イギリスで「エクイタブル・ソサエティ」が設立されました。これは現在に近い生命保険会社の一つとされています。この保険会社は、加入者の死亡リスクに対して金銭的な保障を提供するモデルを確立しました。
1800年代になるとアメリカにも生命保険会社が設立され、事業的な生命保険が普及し始めました。1850年代には、生命保険の数理的な基礎が確立され、より精密なリスク評価と保険料の設定が可能になりました。この時期には保険数理学が発展し、リスクの評価や保険料の算出がより科学的になりました。
日本の保険制度の始まり
また、日本においても保険制度が始まったのはこのころのことです。1881年、明治時代に「日本生命保険株式会社」が設立されました。日本初の生命保険会社となります。これをきっかけに他の保険会社も設立され、日本の保険市場が発展していくこととなりました。
さらには第二次世界大戦後、日本は戦争によって破壊された経済の再建に取り組みました。経済の復興と成長に伴い、国民の生活水準が向上し、保険への関心も高まりました。そこから日本の生命保険市場は急速に成長しました。特に1970年代以降は、今までにはなかった多くの種類の保険がでてきました。それまでの生命保険というと、定期保険や終身保険、養老保険といった保険が主流でした。それが、医療保険やがん保険などの新しい保険商品が追加され、保険加入の選択肢が広がりました。
現在の保険
現在の日本では、保険に加入することが特別珍しいものではなく、生活環境や家庭環境に合わせて保険を検討している方は大変多くいます。様々なニーズに応じた保険商品が提供されており、その人にあった保険商品はきっとあると思います。また、以前は保険加入も手続きが非常に厳しく、対面での面談のみでしか保険契約をすることができませんでした。しかし現在はテクノロジーの進化により、オンラインでの契約や保険商品の見直しが簡単に行えるようになっています。一昔前に比べて保険加入や見直しといった保険相談はより身近なものになりました。
では保険商品はどのように変化しているのでしょうか。昔の保険というと、終身保険や養老保険が主流でした。定期保険は少数派で、保障内容が単純でわかりやすかったです。また、保険料は一律で保険商品も比較的シンプルでした。積立式の保険が多く、貯蓄機能が重視されていました。また、保険の営業方法は保険会社の営業担当者が直接家庭や勤務先に訪問して契約を勧めるのが一般的でした。
それに対して現在の保険は定期保険、終身保険、養老保険に加えて、医療保険、がん保険、収入保障保険など様々な保険商品があります。保険商品が細分化され、ニーズに合わせて特約をつけることができ、カスタマイズが可能となっています。さらにはインターネットを通じて保険の比較や申し込みが簡単にできるようになりました。
テクノロジーの進化により、保険業界も大きく変化しています。昔の保険はシンプルで固定的だったのに対し、現在の保険は多様でカスタマイズ可能です。現在ではインターネットでも保険会社、保険商品など様々な情報を自分自身の力で手に入れることができます。
昔は営業に来た保険会社の担当者に勧められる保険に加入する方法しかなかったところを、比較検討がしやすくなったため、保険に加入したい方は以前に比べ、より自分に合った条件で保険を選ぶことができるようになりました。また、保険に加入したい際には最初から保険会社も一社に絞ってしまうのではなく、複数社の保険商品を比較検討することでより自分に最適な保険を見つけることができるでしょう。
WRITER’S PROFILE
㈱投資用マンションSOS 代表取締役 関根克直
ファイナンシャルプランニング技能士2級。独立系FPとして18年。ライフプラン作成、保険見直し、住宅ローン提案、投資用不動産計算など、年間300件ほどの面談をおこない幅広いサービスを展開しています。 元ウィンドサーフィンインストラクター、またチャンネル登録10万人YouTuberとしても活躍中。